フランス北西部マイエンヌを巡るブックル・ドゥ・ラ・マイエンヌで、アーロン・ゲイト(ニュージーランド、XDSアスタナ)が区間1勝&総合優勝。今年加入したゲイトが、ワールドチームから降格の危機に瀕するチームに貴重なUCIポイントをもたらした。



5月29日から6月1日にわたり、田園風景が美しいフランス北西部マイエンヌで開催されたのが、ブックル・ドゥ・ラ・マイエンヌ・クレディ・ミュチュエルだ。2021年よりレースカテゴリーがプロ(上から2番目)に昇格した本大会は、プロローグを含む4日間で争われるステージレース。初開催の1975年から今年で45回目を迎え、エキップアサダ時代の新城幸也(現ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)も出場した2006年には、福島康司が総合優勝している大会だ。

フランス北西部マイエンヌで行われたブックル・ドゥ・ラ・マイエンヌ photo:Boucles de la Mayenne - Crédit Mutuel

本大会には、同時期開催のジロ・デ・イタリアで活躍するXDSアスタナをはじめ8つのワールドチームが出場。なかでも、今シーズンはここまでコンディションが上がらず、いまだ未勝利のビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)に注目が集まった。

大会初日のプロローグは5.4kmの個人タイムトライアルで争われ、秒単位の戦いをティボー・グリュエル(フランス、グルパマFDJ)がトップタイムとなる6分46秒で勝利する。同じフランス出身の有力選手であるブノワ・コスヌフロワ(デカトロンAG2Rラモンディアール)を3秒上回ったグリュエルは、下部チームより昨年トップチームに昇格した21歳。2022年のTTフランス選手権のジュニア王者にふさわしい強さを見せた。

終盤に登り距離の短い丘が連続する第1ステージは逃げが集団に吸収され、集団スプリントが濃厚と見られるなか、ラスト1.5km地点でフロリアン・セネシャル(フランス、アルケア・B&Bホテルズ)がアタック。それにピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー)が反応し、一段スピードを上げるとセネシャルを引き離し、単独先頭に立つ。

そのままフラムルージュ(残り1km)を通過したラトゥールが、独走のままフィニッシュラインを通過。劇的なアタックで勝利を掴み取った

第2ステージで勝利したアーロン・ゲイト(ニュージーランド、XDSアスタナ) photo:XDS Astana Team

第2ステージは、レース後半に2つのカテゴリー山岳(共に登坂距離2km程度の丘)を含む約28kmの周回コースを5周する、210.2kmで争われた。精鋭集団に入った前日勝者のラトゥールが残り13km地点でアタック。総合首位グリュエルの繰り下げで黄緑色のポイント賞ジャージを着るラトゥールは、順調にフィニッシュに向けて踏み続ける。

しかし最終ストレートに単独で入ったラトゥールをアーロン・ゲイト(ニュージーランド、XDSアスタナ)が残り300mでキャッチ。2名によるスプリントは、より脚がフレッシュだったゲイトがラトゥールを退け、ステージ優勝を果たした。

2日連続で集団スプリントではなく、アタックした選手による勝利が続いた今大会。最終日である第3ステージも、プロトンを飛び出したマリウス・マイヤーホーファー(ドイツ、チューダー・プロサイクリング)が勝利した。

平坦路で行われた最終日は、スプリンターを擁するEFエデュケーション・イージーポストやロットがメイン集団を先導した。しかしマイヤーホーファーが残り15km地点でアタックすると、チューダー・プロサイクリングの選手たちが集団先頭のローテーションを巧みに阻害する。その甲斐もあり、最後まで懸命に踏み続けたマイヤーホーファーが後続に32秒差をつけて勝利した。

最終ステージでアタックを決め、勝利したマリウス・マイヤーホーファー(ドイツ、チューダー・プロサイクリング) photo:Boucles de la Mayenne - Crédit Mutuel

後続集団の先頭はギルマイが獲り、今大会2度目となる2位。そして第2ステージの勝者であるゲイトが総合優勝に輝いた。

ブルゴス・ブルペレットBHに所属した昨年、ニュージーランドとオセアニアのロード王者に輝き、XDSアスタナへのステップアップを果たしたゲイト。「先週から監督と話し合い、第2ステージを狙うと決めていた。チームの走りを総合優勝という結果に繋げることができて嬉しい。この好調さがこの後も続くことを願っている」と、ゲイトは喜びを表現している。

総合優勝したアーロン・ゲイト(ニュージーランド、XDSアスタナ) photo:XDS Astana Team
プロローグ(5月29日)結果
1位 ティボー・グリュエル(フランス、グルパマFDJ) 6:46
2位 ブノワ・コスヌフロワ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) +0:03
3位 ローリー・タウンセンド(アイルランド、Q36.5プロサイクリング) +0:06
第1ステージ(5月30日)結果
1位 ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー) 3:54:03
2位 ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ) +0:03
3位 ポール・ペンウェット(フランス、グルパマFDJ)
第2ステージ(5月31日)結果
1位 アーロン・ゲイト(ニュージーランド、XDSアスタナ) 5:07:37
2位 ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー)
3位 ミラン・メンテン(ベルギー、ロット) +0:05
第3ステージ(6月1日)結果
1位 マリウス・マイヤーホーファー(ドイツ、チューダー・プロサイクリング) 3:32:54
2位 ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ) +0:32
3位 ブライアン・コカール(フランス、コフィディス)
個人総合成績
1位 アーロン・ゲイト(ニュージーランド、XDSアスタナ) 12:41:56
2位 ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー) +0:01
3位 ティボー・グリュエル(フランス、グルパマFDJ) +0:03
その他の特別賞
ポイント賞 ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー)
山岳賞 レナイク・ランジェラ(フランス、CIC・Uナント)
ヤングライダー賞 ティボー・グリュエル(フランス、グルパマFDJ)
チーム総合成績 EFエデュケーション・イージーポスト
text:Sotaro.Arakawa
photo:Boucles de la Mayenne - Crédit Mutuel

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