5月18日に開催された「グルメフォンド軽井沢&タンデムフォンド軽井沢」。20kmというショートコースの中で、軽井沢ならではのロケーションとグルメを堪能した1日をレポートしよう。

雨模様の中、開催されたタンデムフォンド軽井沢
バラバラとテントを叩く雨のなか、ズラリと並ぶタンデムバイク。こんなに多くのタンデムバイクが並ぶ様を見ることはそうそう無いだろう。避暑地として名高い軽井沢に、10台をゆうに超えるタンデムバイクが集まっていた。
この日、雨に包まれた軽井沢タリアセンは「タンデムフォンド軽井沢」のスタート/フィニッシュ会場となっていた。集まったのは、軽井沢の町と自然、そして豊かな食を楽しめる「グルメフォンド軽井沢」と「タンデムフォンド軽井沢」の参加者達だ。

バラバラと降りつける雨の中、開会式が行われた

タンデムバイクがテントの中にずらっと並ぶ
短いコースの中に軽井沢らしいグルメをたっぷり味わえるとあって例年人気のイベントだが、今年はかなりタンデムバイクの比率が高い。今回はなんと愛媛から「タンデム自転車NONちゃん倶楽部」の皆さんがやってきてくれたのだ。
NONちゃん倶楽部とは、タンデムバイクを通じて障がい者やその家族と交流し、「心のバリアフリー」を目指すNPO団体。健常者と障がい者が協力しあうことで、共にサイクリングを楽しめるタンデムバイクの魅力を発信し続けてきた。

NONちゃん倶楽部の皆さんが先頭でスタート

NONちゃん倶楽部代表の津賀薫さん
そして、長野県は日本で初めてタンデムバイクの公道走行を許可した県でもあり、今年からは障がい者サイクリングの環境整備と普及啓発のため、グランフォンド軽井沢実行委員会と一般社団法人サイクリング・フェスティバル ASAMAが長期的な連携を表明。その活動のファーストステップとして、今回のタンデムフォンド軽井沢にて、NONちゃん倶楽部の皆さんを招聘したのだという。
雨が激しかったこともあり、スタート前の整列は無し。NONちゃん倶楽部の皆さんを先頭に、いくつかのグループに別れ、三々五々走り出した。

車道と完全に分離された自転車道が整備されている。
約20kmのコースとだけ聞くと、短くてちょっと物足りなさそうにも聞こえるけれど、いざ走り出せばかなり満足感のあるルートだった。
スタートすると間もなく軽井沢バイパスへ。こちらは片側2車線の幹線道路だけれど、ご心配なく。完全に車道と分離されたプロテクテッドな自転車レーンが整備されているのだ。大きな交差点以外では、車道との段差もほぼ存在せず、非常に安心して走ることができる環境が用意されている。

10%の斜度を示す看板が……

二人で力を合わせて登ります
8の字を描くようなコースの丁度上側の折り返しに当たる地点に、しなの鉄道を渡る跨線橋がある。そして一路南へと針路をとると爽快なダウンヒルへ。谷底に流れる湯川を渡ると、再び登り返すことになる。
登り口には斜度10%を示す看板が。大きな弧を描くヘアピンがひとつだけと、距離としてはそう長くはない登りだけれど、タンデムライダーにはかなりの難所。自転車に乗るのをしばらくサボっていた私にとっても、壁であったことは間違いない。

小径車のタンデムバイクも登場

田んぼや畑を貫く一直線の農道を走っていく
さて、一つ目の峠を越えて、次に向かうのは8の字の下側のループ。ちなみにループが交差する地点には、カーリングの強豪チーム・SC軽井沢の本拠地である軽井沢アイスパークが立地している。
下仁田街道を進み、右折するとこの日2つ目の登りが登場。先ほどよりも斜度は緩いが、その分距離が長めの丘だ。下った先で農道へ誘導される。田んぼやキャベツ畑を貫くストレートは、晴れていれば浅間山が見えそうなロケーション。

アトリエ・ド・フロマージュの生チーズソフトを頂きました

ここまでタンデムしてきた親子も。雨で冷えた身体も暖かい飲み物でほっと一息 
絹代さんも今回はタンデムで参加
農道区間を走り終えれば、お待ちかねのエイドステーションが登場だ。「軽井沢発地市庭」に用意されたエイドでは、軽井沢の有名チーズ工房の「アトリエ・ド・フロマージュ」の生チーズソフトをいただける。チーズの深いコクを感じられる濃厚なソフトクリームは、まさに絶品。正直、雨に打たれて冷えた身体にソフトクリームはちょっとキツいな……と思わないでもなかったが、そんな懸念も一口食べれば吹き飛ぶ美味しさだ。
冷えてしまった身体をホットコーヒーで温めていると、NONちゃん倶楽部の方々も到着。自転車の乗り降りの為に折り畳み式の昇降台と車椅子がスタッフさんの自転車で運ばれてきており、瞬く間に展開されていく。共に自転車を楽しむための工夫に感服させられる。

NONちゃん俱楽部の皆さんもエイドに到着

折り畳んで自転車に積めるお手製の昇降台や車いすが登場
エイドステーションを出発すると、ちょっとした登りをこなすと見覚えのある交差点に降りてきた。そう、8の字の交差する地点である。ここからフィニッシュのタリアセンまでは指呼の間。ぐーんと下った先に、フィニッシュ地点が見えてきた。
無事にフィニッシュした参加者たちには、ホットコーヒーとお饅頭が待っている。そして完走証と参加賞として軽井沢の有名ベーカリー「浅野屋」の紅茶ブレッドとイチゴジャムのお土産まで頂いた。

まもなくフィニッシュ!

フィニッシュ後の抽選でうまい棒をゲット

牛肉がゴロゴロ入った豪華なタリアセンオリジナルカレー
しかしメインディッシュとなる引換チケットがまだ残っている。なんとタリアセンのレストラン「湖水」の名物であるビーフカレーを頂けるのだ。雨に濡れそぼったサイクルウェアで訪ねるのも忍びないため、一旦着替えてレストランへ。
タリアセンオリジナルのビーフカレーは牛肉がゴロゴロ入った豪華な一皿。思ったより激しめのコースではあったけれど、このカレーを美味しくいただくためだと思えば、納得だ。走ってヨシ、食べてヨシ。今年は景色は分からなかったけれど、きっと晴れれば三拍子そろったイベントだったことは間違いないはずだ。
今回遠路はるばる参加されたNONちゃん倶楽部の皆さんも、それぞれ楽しまれたよう。

今回軽井沢に集まったNONちゃん倶楽部の皆さん (c)NONちゃん倶楽部
「想像よりも厳しいコースでした(笑)でも、その分コパイロットの障がい者の子が走り切った時の感動もひとしおでした」と語るのはNONちゃん倶楽部代表の津賀薫さん。「彼ら自身にとっても大きな感動だったと思いますし、パイロットやサポートしていたスタッフの皆にとっても、良い経験になったと思います」と、今大会を振り返る。
もともと津賀さんの夫であった徳行さんのニックネームから名付けられたというNONちゃん倶楽部。徳行さんは、扁桃腺治療の薬害によって視力障害を患ってしまったのだという。「タンデム自転車で公道を走りたい」という叶わなかった徳行さんの生前の願いを叶えるため、薫さんはNONちゃん倶楽部の活動を始めたのだという。

NONちゃん倶楽部代表の津賀薫さん。「誰一人取り残さない自転車文化」をモットーにする。
そんな津賀さんが大切にするのが「誰一人取り残さない自転車文化」という考え方。速さや距離といった、ついついサイクリストが寄る辺としてしまいがちなわかりやすい指標ではなく、真に誰もが享受でき普く通じる自転車の楽しみ、存在意義。それが一体何であるのかは分からないけれども、目が見えずとも、身体が思うように動かずとも自転車は楽しめるのだと、NONちゃん倶楽部の皆さんの走る姿が教えてくれた。
text&photo:Naoki Yasuoka

バラバラとテントを叩く雨のなか、ズラリと並ぶタンデムバイク。こんなに多くのタンデムバイクが並ぶ様を見ることはそうそう無いだろう。避暑地として名高い軽井沢に、10台をゆうに超えるタンデムバイクが集まっていた。
この日、雨に包まれた軽井沢タリアセンは「タンデムフォンド軽井沢」のスタート/フィニッシュ会場となっていた。集まったのは、軽井沢の町と自然、そして豊かな食を楽しめる「グルメフォンド軽井沢」と「タンデムフォンド軽井沢」の参加者達だ。


短いコースの中に軽井沢らしいグルメをたっぷり味わえるとあって例年人気のイベントだが、今年はかなりタンデムバイクの比率が高い。今回はなんと愛媛から「タンデム自転車NONちゃん倶楽部」の皆さんがやってきてくれたのだ。
NONちゃん倶楽部とは、タンデムバイクを通じて障がい者やその家族と交流し、「心のバリアフリー」を目指すNPO団体。健常者と障がい者が協力しあうことで、共にサイクリングを楽しめるタンデムバイクの魅力を発信し続けてきた。


そして、長野県は日本で初めてタンデムバイクの公道走行を許可した県でもあり、今年からは障がい者サイクリングの環境整備と普及啓発のため、グランフォンド軽井沢実行委員会と一般社団法人サイクリング・フェスティバル ASAMAが長期的な連携を表明。その活動のファーストステップとして、今回のタンデムフォンド軽井沢にて、NONちゃん倶楽部の皆さんを招聘したのだという。
雨が激しかったこともあり、スタート前の整列は無し。NONちゃん倶楽部の皆さんを先頭に、いくつかのグループに別れ、三々五々走り出した。

約20kmのコースとだけ聞くと、短くてちょっと物足りなさそうにも聞こえるけれど、いざ走り出せばかなり満足感のあるルートだった。
スタートすると間もなく軽井沢バイパスへ。こちらは片側2車線の幹線道路だけれど、ご心配なく。完全に車道と分離されたプロテクテッドな自転車レーンが整備されているのだ。大きな交差点以外では、車道との段差もほぼ存在せず、非常に安心して走ることができる環境が用意されている。


8の字を描くようなコースの丁度上側の折り返しに当たる地点に、しなの鉄道を渡る跨線橋がある。そして一路南へと針路をとると爽快なダウンヒルへ。谷底に流れる湯川を渡ると、再び登り返すことになる。
登り口には斜度10%を示す看板が。大きな弧を描くヘアピンがひとつだけと、距離としてはそう長くはない登りだけれど、タンデムライダーにはかなりの難所。自転車に乗るのをしばらくサボっていた私にとっても、壁であったことは間違いない。


さて、一つ目の峠を越えて、次に向かうのは8の字の下側のループ。ちなみにループが交差する地点には、カーリングの強豪チーム・SC軽井沢の本拠地である軽井沢アイスパークが立地している。
下仁田街道を進み、右折するとこの日2つ目の登りが登場。先ほどよりも斜度は緩いが、その分距離が長めの丘だ。下った先で農道へ誘導される。田んぼやキャベツ畑を貫くストレートは、晴れていれば浅間山が見えそうなロケーション。



農道区間を走り終えれば、お待ちかねのエイドステーションが登場だ。「軽井沢発地市庭」に用意されたエイドでは、軽井沢の有名チーズ工房の「アトリエ・ド・フロマージュ」の生チーズソフトをいただける。チーズの深いコクを感じられる濃厚なソフトクリームは、まさに絶品。正直、雨に打たれて冷えた身体にソフトクリームはちょっとキツいな……と思わないでもなかったが、そんな懸念も一口食べれば吹き飛ぶ美味しさだ。
冷えてしまった身体をホットコーヒーで温めていると、NONちゃん倶楽部の方々も到着。自転車の乗り降りの為に折り畳み式の昇降台と車椅子がスタッフさんの自転車で運ばれてきており、瞬く間に展開されていく。共に自転車を楽しむための工夫に感服させられる。


エイドステーションを出発すると、ちょっとした登りをこなすと見覚えのある交差点に降りてきた。そう、8の字の交差する地点である。ここからフィニッシュのタリアセンまでは指呼の間。ぐーんと下った先に、フィニッシュ地点が見えてきた。
無事にフィニッシュした参加者たちには、ホットコーヒーとお饅頭が待っている。そして完走証と参加賞として軽井沢の有名ベーカリー「浅野屋」の紅茶ブレッドとイチゴジャムのお土産まで頂いた。



しかしメインディッシュとなる引換チケットがまだ残っている。なんとタリアセンのレストラン「湖水」の名物であるビーフカレーを頂けるのだ。雨に濡れそぼったサイクルウェアで訪ねるのも忍びないため、一旦着替えてレストランへ。
タリアセンオリジナルのビーフカレーは牛肉がゴロゴロ入った豪華な一皿。思ったより激しめのコースではあったけれど、このカレーを美味しくいただくためだと思えば、納得だ。走ってヨシ、食べてヨシ。今年は景色は分からなかったけれど、きっと晴れれば三拍子そろったイベントだったことは間違いないはずだ。
今回遠路はるばる参加されたNONちゃん倶楽部の皆さんも、それぞれ楽しまれたよう。

「想像よりも厳しいコースでした(笑)でも、その分コパイロットの障がい者の子が走り切った時の感動もひとしおでした」と語るのはNONちゃん倶楽部代表の津賀薫さん。「彼ら自身にとっても大きな感動だったと思いますし、パイロットやサポートしていたスタッフの皆にとっても、良い経験になったと思います」と、今大会を振り返る。
もともと津賀さんの夫であった徳行さんのニックネームから名付けられたというNONちゃん倶楽部。徳行さんは、扁桃腺治療の薬害によって視力障害を患ってしまったのだという。「タンデム自転車で公道を走りたい」という叶わなかった徳行さんの生前の願いを叶えるため、薫さんはNONちゃん倶楽部の活動を始めたのだという。

そんな津賀さんが大切にするのが「誰一人取り残さない自転車文化」という考え方。速さや距離といった、ついついサイクリストが寄る辺としてしまいがちなわかりやすい指標ではなく、真に誰もが享受でき普く通じる自転車の楽しみ、存在意義。それが一体何であるのかは分からないけれども、目が見えずとも、身体が思うように動かずとも自転車は楽しめるのだと、NONちゃん倶楽部の皆さんの走る姿が教えてくれた。
text&photo:Naoki Yasuoka
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