3級山岳にフィニッシュする女子ジロ2日目にアンナ・ヘンダーソン(イギリス、リドル・トレック)が逃げ切り。マリアローザを獲得した。

92kmの短距離ステージ。逃げが決まらないままステージの半分を消化した photo:UCI
マリアローザを巡る美しい戦い、ジロ・デ・イタリア・ウィメンは2日目。クルゾーネからアプリカを目指す92kmの山岳ステージが開催された。
この日のコースは3級山岳に設定されている標高1,174mのアプリカフィニッシュ。平均勾配は3.5%と難易度は低いものの、距離は12.9kmと長く、麓に至るまでも緩やかに登り続ける「総合勢はタイム差を失ってはいけない」ステージだ。全身ピンクに身を包んだマーレン・ロイサー(スイス、モビスター)らを先頭に、2時間半の短距離レースがスタートした。

風光明媚なイゼーオ湖沿いを駆け抜ける photo:UCI

逃げるアンナ・ヘンダーソン(イギリス、リドル・トレック)とディリシン・ミエルモン(フランス、セラティジット・WNT・プロサイクリング) photo:UCI
この日序盤は抜け出しが成功せず、レース半分を消化したところでようやくアンナ・ヘンダーソン(イギリス、リドル・トレック)がそのきっかけを作った。1度目の抜け出しは失敗に終わったものの、「最終盤はキツい展開になると分かっていたので逃げるには最高のチャンスだと分かっていた」と、2度目のアタックで集団を抜け出すことに成功する。単独で追いついてきたディリシン・ミエルモン(フランス、セラティジット・WNT・プロサイクリング)を伴っての2人逃げだ。
「今日は谷筋を走る場所がずっと追い風で、登りに入ってもキツい部分を越えればフィニッシュまで斜度4%ほど。チームとして絶対に逃げ切りが決まると信じていた」と言うヘンダーソンは、追い風に乗ってタイム差を3分半まで築き上げる。狙い通りアプリカの登坂に入り、タイム差を失いながらも15%に及ぶ最急勾配区間をクリアした。

エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)擁するUAEチームADQが山岳でペースメイク photo:UCI

最終山岳でメンバーを絞り込むマーレン・ロイサー(スイス、モビスター) photo:UCI
メイン集団では、マリアローザのロイサーがペースを上げて選別に入る。すると総合2位のロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)や、ステージ優勝候補と目されていたマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)らが早々にドロップ。急激に先頭2人との差は縮まったものの、ヘンダーソンが言うようにタイム差がゼロになることはなかった。
逃げ切りを決めたヘンダーソンとミエルモンが、フィニッシュライン目掛けてマッチスプリント。パワー勝負を制したのはパリ五輪の個人TTで銀メダルに輝いたヘンダーソンだった。

マッチスプリントを制したアンナ・ヘンダーソン(イギリス、リドル・トレック) photo:UCI

ワールドツアー初勝利を挙げたアンナ・ヘンダーソン(イギリス、リドル・トレック) photo:UCI
「信じられない気分。初めてのワールドツアー勝利で、初めてのグランツール勝利。チームメイトには感謝してもしきれない。今朝、ボーイフレンドに「失うものは何もない。1年間ずっと待っていたし、今日は躊躇わずにチャンスが来たら逃さずに掴む」と言った。そして、それが現実になったなんて信じられない気分。長い間ロードで勝てなかったので本当に嬉しい。身体が震えていたけれど、その後すぐチームメイトと喜べて本当によかった」と喜ぶヘンダーソンは、ロイサーから15秒差でマリアローザを奪取することにも成功。「リーダージャージを着ることは夢であり、名誉であり、とても幸せで、とても誇り。チームとレースのために誇りに思えるよう願っている」ともコメントしている。
ロイサーはマリアローザを手放しているが、クライマーではないヘンダーソンに対して15秒遅れの総合2位と依然有利な状況を維持。コペッキーが総合圏外に脱落したことでSDワークス勢の総合ライバルはファンデルブレッヘン一人となっている。

マリアローザを巡る美しい戦い、ジロ・デ・イタリア・ウィメンは2日目。クルゾーネからアプリカを目指す92kmの山岳ステージが開催された。
この日のコースは3級山岳に設定されている標高1,174mのアプリカフィニッシュ。平均勾配は3.5%と難易度は低いものの、距離は12.9kmと長く、麓に至るまでも緩やかに登り続ける「総合勢はタイム差を失ってはいけない」ステージだ。全身ピンクに身を包んだマーレン・ロイサー(スイス、モビスター)らを先頭に、2時間半の短距離レースがスタートした。


この日序盤は抜け出しが成功せず、レース半分を消化したところでようやくアンナ・ヘンダーソン(イギリス、リドル・トレック)がそのきっかけを作った。1度目の抜け出しは失敗に終わったものの、「最終盤はキツい展開になると分かっていたので逃げるには最高のチャンスだと分かっていた」と、2度目のアタックで集団を抜け出すことに成功する。単独で追いついてきたディリシン・ミエルモン(フランス、セラティジット・WNT・プロサイクリング)を伴っての2人逃げだ。
「今日は谷筋を走る場所がずっと追い風で、登りに入ってもキツい部分を越えればフィニッシュまで斜度4%ほど。チームとして絶対に逃げ切りが決まると信じていた」と言うヘンダーソンは、追い風に乗ってタイム差を3分半まで築き上げる。狙い通りアプリカの登坂に入り、タイム差を失いながらも15%に及ぶ最急勾配区間をクリアした。


メイン集団では、マリアローザのロイサーがペースを上げて選別に入る。すると総合2位のロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)や、ステージ優勝候補と目されていたマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)らが早々にドロップ。急激に先頭2人との差は縮まったものの、ヘンダーソンが言うようにタイム差がゼロになることはなかった。
逃げ切りを決めたヘンダーソンとミエルモンが、フィニッシュライン目掛けてマッチスプリント。パワー勝負を制したのはパリ五輪の個人TTで銀メダルに輝いたヘンダーソンだった。


「信じられない気分。初めてのワールドツアー勝利で、初めてのグランツール勝利。チームメイトには感謝してもしきれない。今朝、ボーイフレンドに「失うものは何もない。1年間ずっと待っていたし、今日は躊躇わずにチャンスが来たら逃さずに掴む」と言った。そして、それが現実になったなんて信じられない気分。長い間ロードで勝てなかったので本当に嬉しい。身体が震えていたけれど、その後すぐチームメイトと喜べて本当によかった」と喜ぶヘンダーソンは、ロイサーから15秒差でマリアローザを奪取することにも成功。「リーダージャージを着ることは夢であり、名誉であり、とても幸せで、とても誇り。チームとレースのために誇りに思えるよう願っている」ともコメントしている。
ロイサーはマリアローザを手放しているが、クライマーではないヘンダーソンに対して15秒遅れの総合2位と依然有利な状況を維持。コペッキーが総合圏外に脱落したことでSDワークス勢の総合ライバルはファンデルブレッヘン一人となっている。
ジロ・デ・イタリア・ウィメン2025 第2ステージ結果
1位 | アンナ・ヘンダーソン(イギリス、リドル・トレック) | 2:24:30 |
2位 | ディリシン・ミエルモン(フランス、セラティジット・WNT・プロサイクリング) | |
3位 | ソラヤ・パラディン(イタリア、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト) | +0:26 |
4位 | エレオノラ・チアボッコ(イタリア、ピクニック・ポストNL) | |
5位 | マーレン・ロイサー(スイス、モビスター) | |
6位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、UAEチームADQ) | |
7位 | アシュリー・ムールマン(南アフリカ、AGインシュランス・スーダル) | |
8位 | ジュリエット・ラブース(フランス、FDJ・スエズ) | |
9位 | ヤラ・カステレイン(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) | |
10位 | シリン・ファンアンローイ(オランダ、リドル・トレック) |
個人総合成績(マリアローザ)
1位 | アンナ・ヘンダーソン(イギリス、リドル・トレック) | 2:42:03 |
2位 | マーレン・ロイサー(スイス、モビスター) | +0:15 |
3位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、UAEチームADQ) | +0:31 |
4位 | アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス・プロタイム) | +0:35 |
5位 | モニカ・トリンカコロネル(イタリア、リブ・アルウラー・ジェイコ) | +0:56 |
6位 | シリン・ファンアンローイ(オランダ、リドル・トレック) | |
7位 | カトリーヌ・アーレルッド(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) | +0:59 |
8位 | アントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト) | +1:03 |
9位 | ジュリエット・ラブース(フランス、FDJ・スエズ) | +1:06 |
10位 | ディリシン・ミエルモン(フランス、セラティジット・WNT・プロサイクリング) | +1:10 |
その他の特別賞
ポイント賞 | アンナ・ヘンダーソン(イギリス、リドル・トレック) |
山岳賞 | アンナ・ヘンダーソン(イギリス、リドル・トレック) |
ヤングライダー賞 | アントニア・ニーダーマイヤー(キャニオン・スラム・ゾンダクリプト) |
チーム総合成績 | リドル・トレック |
text:So Isobe
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