栄光のピンクジャージをかけた3週間の戦いが本日5月9日(金)に開幕。共に盤石の布陣で臨むプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)とフアン・アユソ(UAEチームエミレーツXRG)を中心に、ランダやティベーリ、アレンスマンなどマリアローザ争いをプレビューする。

総合優勝者に与えられるトロフェオ・センツァフィーネ photo:RCS Sport
イタリアの対岸、アドリア海に面した国アルバニアで本日幕を開ける第108回ジロ・デ・イタリア。3週間にわたる厳しい戦いを制し、最終到着地で総合優勝者が手にするのが、天に向かい螺旋を描く「トロフェオ・センツァフィーネ」。そして栄誉ある「マリアローザ」だ。
この鮮やかなピンク色のジャージは、ツール・ド・フランスのマイヨジョーヌと並び称されるリーダージャージ。その起源は古く、1931年大会にまで遡る。主催者であるスポーツ新聞「ガゼッタ・デッロ・スポルト」の紙面の色がそのままジャージの色となり、「バラ色のジャージ」として選手たちの憧れの的となってきた。
マリアローザの争奪戦は、日々のステージ成績によって左右される。各ステージ終了時点での累積タイムが最も少ない選手が、翌日のステージでマリアローザを着用する栄誉を得る。そして、全ステージを終えた最終日にこのジャージを保持している選手こそが、ジロ・デ・イタリアの総合優勝者となるのだ。

2024年にマリアローザを着用したタデイ・ポガチャル(スロベニア) photo:CorVos
しかし、総合優勝への道は単にステージのタイムを争うだけではない。レースをさらにスリリングにするのが「ボーナスタイム」の存在だ。個人タイムトライアルを除く各ステージでは、フィニッシュラインをトップ3で通過した選手(1位10秒、2位6秒、3位4秒)に、そしてコース途中に設けられたレッドブル・ポイント(今年から導入)を上位3名で通過した選手(1位3秒、2位2秒、3位1秒)にも、貴重なボーナスタイムが与えられる。
フィニッシュでの着順はもちろんのこと、この日々積み重ねられる秒単位のボーナスが最終的な総合タイムに大きな影響を及ぼす。アルバニアから始まり、厳しい山岳や風光明媚な海岸線、そして熱狂的なティフォージ(ファン)の声援を受けながら、選手たちはマリアローザを目指しペダルを回す。
マリアローザ候補の筆頭は2023年覇者ログリッチ

2023年大会でマリアローザを獲得したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア) photo:CorVos
今大会には4名の総合優勝経験者が出場する。その中でも最も近年にマリアローザを着用したのが、2年振り2度目の制覇目指すプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)だ。昨年はブエルタ・ア・エスパーニャで最多タイ記録となる4度目の総合優勝に輝き、今年は3月のボルタ・ア・カタルーニャで区間2勝&総合優勝とこれ以上ないコンディションで臨む。
またチームの戦力でもログリッチには隙がない。2022年覇者ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)と昨年総合2位のダニエル・マルティネス(コロンビア)を揃え、平地では同国の盟友ヤン・トラトニクがアシスト。下馬評でも当然ログリッチを優勝候補の筆頭に挙げる声が多い。

前日勝者でリーダージャージを着るフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
そんな難攻不落なログリッチに挑むのが、チーム力では勝るとも劣らないUAEチームエミレーツXRGだ。そのエースを務めるのはジロ初出場の22歳フアン・アユソ(スペイン)で、これが4度目のグランツールと経験は十分。直近ではボルタ・ア・カタルーニャでログリッチに総合逆転を許しながらも、ティレーノ〜アドリアティコでは総合優勝と、過去最高の成績でジロに臨む。
注目はそのチームメイトで、アダム・イェーツ(イギリス)にジェイ・ヴァイン(オーストラリア)、ブランドン・マクナルティ(アメリカ)とエース級がずらりと並ぶ。特にベテランのラファウ・マイカ(ポーランド)と若手のイサーク・デルトロ(メキシコ)が鍵を握ることになりそうだ。
今大会では第2ステージ(13.7km)と第10ステージ(28.6km)に個人タイムトライアルが登場。この合計42.3kmの距離は、共にTTを得意とするログリッチとアユソがそれ以下との差を拡げる可能性が大きい。

エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos 
リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

ミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos
名門イネオス・グレナディアーズは、2年連続総合6位のテイメン・アレンスマン(オランダ)を軸にエガン・ベルナル(コロンビア)が出場。白地の特別ジャージで臨むEFエデュケーション・イージーポストは2019年覇者リチャル・カラパス(エクアドル)が狙い、ミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ)も表彰台候補に挙がる。
バーレーン・ヴィクトリアスは昨年のヤングライダー賞のアントニオ・ティベーリ(イタリア)をペリョ・ビルバオ(スペイン)などベテランが支え、ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)はツールとの連戦を選択。そして6月の現役引退が決まっているロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL)は最後のグランツールで成功を目指す。

イタリアの対岸、アドリア海に面した国アルバニアで本日幕を開ける第108回ジロ・デ・イタリア。3週間にわたる厳しい戦いを制し、最終到着地で総合優勝者が手にするのが、天に向かい螺旋を描く「トロフェオ・センツァフィーネ」。そして栄誉ある「マリアローザ」だ。
この鮮やかなピンク色のジャージは、ツール・ド・フランスのマイヨジョーヌと並び称されるリーダージャージ。その起源は古く、1931年大会にまで遡る。主催者であるスポーツ新聞「ガゼッタ・デッロ・スポルト」の紙面の色がそのままジャージの色となり、「バラ色のジャージ」として選手たちの憧れの的となってきた。
マリアローザの争奪戦は、日々のステージ成績によって左右される。各ステージ終了時点での累積タイムが最も少ない選手が、翌日のステージでマリアローザを着用する栄誉を得る。そして、全ステージを終えた最終日にこのジャージを保持している選手こそが、ジロ・デ・イタリアの総合優勝者となるのだ。

しかし、総合優勝への道は単にステージのタイムを争うだけではない。レースをさらにスリリングにするのが「ボーナスタイム」の存在だ。個人タイムトライアルを除く各ステージでは、フィニッシュラインをトップ3で通過した選手(1位10秒、2位6秒、3位4秒)に、そしてコース途中に設けられたレッドブル・ポイント(今年から導入)を上位3名で通過した選手(1位3秒、2位2秒、3位1秒)にも、貴重なボーナスタイムが与えられる。
フィニッシュでの着順はもちろんのこと、この日々積み重ねられる秒単位のボーナスが最終的な総合タイムに大きな影響を及ぼす。アルバニアから始まり、厳しい山岳や風光明媚な海岸線、そして熱狂的なティフォージ(ファン)の声援を受けながら、選手たちはマリアローザを目指しペダルを回す。
マリアローザ候補の筆頭は2023年覇者ログリッチ

今大会には4名の総合優勝経験者が出場する。その中でも最も近年にマリアローザを着用したのが、2年振り2度目の制覇目指すプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)だ。昨年はブエルタ・ア・エスパーニャで最多タイ記録となる4度目の総合優勝に輝き、今年は3月のボルタ・ア・カタルーニャで区間2勝&総合優勝とこれ以上ないコンディションで臨む。
またチームの戦力でもログリッチには隙がない。2022年覇者ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)と昨年総合2位のダニエル・マルティネス(コロンビア)を揃え、平地では同国の盟友ヤン・トラトニクがアシスト。下馬評でも当然ログリッチを優勝候補の筆頭に挙げる声が多い。

そんな難攻不落なログリッチに挑むのが、チーム力では勝るとも劣らないUAEチームエミレーツXRGだ。そのエースを務めるのはジロ初出場の22歳フアン・アユソ(スペイン)で、これが4度目のグランツールと経験は十分。直近ではボルタ・ア・カタルーニャでログリッチに総合逆転を許しながらも、ティレーノ〜アドリアティコでは総合優勝と、過去最高の成績でジロに臨む。
注目はそのチームメイトで、アダム・イェーツ(イギリス)にジェイ・ヴァイン(オーストラリア)、ブランドン・マクナルティ(アメリカ)とエース級がずらりと並ぶ。特にベテランのラファウ・マイカ(ポーランド)と若手のイサーク・デルトロ(メキシコ)が鍵を握ることになりそうだ。
今大会では第2ステージ(13.7km)と第10ステージ(28.6km)に個人タイムトライアルが登場。この合計42.3kmの距離は、共にTTを得意とするログリッチとアユソがそれ以下との差を拡げる可能性が大きい。



名門イネオス・グレナディアーズは、2年連続総合6位のテイメン・アレンスマン(オランダ)を軸にエガン・ベルナル(コロンビア)が出場。白地の特別ジャージで臨むEFエデュケーション・イージーポストは2019年覇者リチャル・カラパス(エクアドル)が狙い、ミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ)も表彰台候補に挙がる。
バーレーン・ヴィクトリアスは昨年のヤングライダー賞のアントニオ・ティベーリ(イタリア)をペリョ・ビルバオ(スペイン)などベテランが支え、ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)はツールとの連戦を選択。そして6月の現役引退が決まっているロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL)は最後のグランツールで成功を目指す。
歴代マリアローザ獲得選手
2024年 | タデイ・ポガチャル(スロベニア) |
2023年 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア) |
2022年 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア) |
2021年 | エガン・ベルナル(コロンビア) |
2020年 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス) |
2019年 | リチャル・カラパス(エクアドル ) |
2018年 | クリストファー・フルーム(イギリス) |
2017年 | トム・デュムラン(オランダ) |
2016年 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア) |
2015年 | アルベルト・コンタドール(スペイン) |
2014年 | ナイロ・キンタナ(コロンビア) |
2013年 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア) |
2012年 | ライダー・ヘシェダル(カナダ) |
2011年 | ミケーレ・スカルポーニ(イタリア) |
2010年 | イヴァン・バッソ(イタリア) |
2009年 | デニス・メンショフ(ロシア) |
2008年 | アルベルト・コンタドール(スペイン) |
2007年 | ダニーロ・ディルーカ(イタリア) |
2006年 | イヴァン・バッソ(イタリア) |
2005年 | パオロ・サヴォルデッリ(イタリア) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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