日本でもファンの多いシモン・ゲシュケの現役最終レースとなったシュパルカッセン・ミュンスターラント・ジロ。ベルギー勢による争いをヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)が制し、週末のパリ〜トゥールに向け弾みをつけた。



花道を通るシモン・ゲシュケ(コフィディス) photo:CorVos

クラシックレーサーやスプリンターにとってシーズンの最終目標となるパリ〜トゥールを3日後に控えた10月3日(木)、ドイツ西部でシュパルカッセン・ミュンスターラント・ジロが行われた。2006年にスタートし、今年で第18回目を迎えた本大会は中盤に短い丘をいくつも越えるスプリンターズレース。その予想通りこの日も大集団によるスプリントで決着した。

出場したのは昨年20歳にして驚きの勝利を飾ったペールストランド・ハーゲネス(ノルウェー、ヴィスマ・リースアバイク)を含む150名。イル・ロンバルディア(10月12日)には出場せず、パリ〜トゥールに標準を定めたヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)やヨルディ・メーウス(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)など強豪スプリンターが多数出場した。

この日は髭がトレードマークのドイツ出身選手、シモン・ゲシュケ(コフィディス)の現役ラストレース。スタート前には選手たちがバイクを持ち上げ、車輪を回す花道を用意。レースが始まるとヤニック・シュタイムレ(ドイツ、Q36.5プロサイクリング)ら7名が逃げグループを形成した。

終盤に集団を牽引したイスラエル・プレミアテック photo:CorVos

逃げ集団にはトッシュ・ファンデルサンデ(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)も入ったため、メイン集団の牽引はヴィスマではなく、ヤスペル・フィリプセン(ベルギー)を擁するアルペシン・ドゥクーニンクが担当する。気温13度と大半の選手がアームウォーマーも着用する寒さのなか、残り距離と共にタイム差も縮まっていった。

残り16kmで逃げを吸収したプロトンは、パスカル・アッカーマン(ドイツ)で勝利を狙うイスラエル・プレミアテックが牽引を開始する。そして激しく集団先頭が入れ替わるなか、リードアウト職人であるダニー・ファンポッペル(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)を先頭に最終ストレートに突入。ヨルディ・メーウス(ベルギー)がスプリントを開始し、その背後からフィリプセンが飛び出した。

狙いすましたタイミングで踏み込んだフィリプセンは、フィニッシュに向かってスピードに乗る。それにメーウスやミラン・フレティン(ベルギー、コフィディス)は届かず、フィリプセンが勝利した。

勝利したヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

パリ〜トゥールに向け弾みをつけたヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

パリ〜トゥールに向け弾みをつけたフィリプセン。ツール・ド・フランスでの区間3勝を含む今シーズン9勝目、またプロ51勝目となった。

一方、2009年のスキル・シマノから16年の現役生活に幕を下ろしたゲシュケは「11月に子どもが生まれる予定なんだ。今日からは一切のトレーニングを辞め、家でパートナーを支える。その後は自転車界に残る、良い機会に恵まれることを願っている。若い選手たちの手本となりたい」と語った。

現役ラストレースを終えたシモン・ゲシュケ(コフィディス) photo:CorVos
シュパルカッセン・ミュンスターラント・ジロ2024結果
1位 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) 4:22:50
2位 ヨルディ・メーウス(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
3位 ミラン・フレティン(ベルギー、コフィディス)
4位 ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)
5位 マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、ジェイコ・アルウラー)
6位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
7位 パスカル・アッカーマン(ドイツ、イスラエル・プレミアテック)
8位 ニルス・エーコフ(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
9位 ルーク・ランパーティ(アメリカ、スーダル・クイックステップ)
10位 トム・ファンアスブルック(ベルギー、イスラエル・プレミアテック)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos