ファンデルプールが世界王者との2冠を狙ったヨーロッパ選手権男子エリートロードレースは、大集団によるスプリントで決着。今季好調のティム・メルリールがライバルを退け、ベルギーに初優勝をもたらした。



アルカンシエルを着て出場したマチュー・ファンデルプール(オランダ) photo:CorVos

ロードヨーロッパ選手権2024 男子エリートロードレース コースマップ&プロフィール photo:Limburg 2024
5日間に及んだロードヨーロッパ選手権も最終日を迎え、9月15日に大会を締めくくる男子エリートのロードレースが行われた。コースはフースデン・ゾルデルからハッセルトまでの222.9kmで、8箇所の石畳区間が登場。獲得標高差1,273mのフラットコースのため、クラシックレーサーよりもスプリンター有利なレイアウトとなった。

29カ国/128名で争われたレースには現ロード世界王者のマチュー・ファンデルプール(オランダ)や前年優勝者クリストフ・ラポルト(フランス)が出場。また有力スプリンターとして初制覇を狙うベルギーはヤスペル・フィリプセンとティム・メルリールを揃えた。

序盤はヨナス・ルッチ(ドイツ)やイヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル)など6名が逃げを打ち、メイン集団はレミ・カヴァニャ(フランス)がペースを作る。カヴァニャの強力な牽引は逃げに2分以上のリードを許さず、そのまま1つ目の石畳区間に突入。プロトンのプレッシャーを受ける逃げ集団からはフェリックス・リツィンガー(オーストリア)が早々と遅れ、5名となった。

序盤に6名が逃げを打った photo:CorVos

プロトンはフランスが先導し、その後ろにオランダが続いた photo:CorVos

レース中盤に入るとここまで積極的に牽引していたフランスがペースを緩め、秩序が崩れたプロトンからはマッズ・ピーダスン(デンマーク)ら4名が飛び出す。この動きは決まらなかったものの、ドイツが先導する集団から今度はファンデルプールがアタック。これにマッテオ・トレンティン(イタリア)とミッケル・ビョーグ(デンマーク)の2名が追従した。

このファンデルプールら3名は逃げに合流したが、先頭集団を引き戻したプロトンが展開を降り出しに戻す。2箇所の石畳坂を含む周回コースに入り、ファンデルプールによる2度のアタックも決まらない。その後もアタックは繰り返され、残り54kmでファンデルプールやピーダスン、ラポルトなど6名の先頭集団が形成された。

レース中盤にアタックを繰り返したマチュー・ファンデルプール(オランダ) photo:CorVos

選手を入れることができなかったベルギーとイタリアが中心となるプロトンが追いかけ、残り26kmでキャッチ。そしてレースは約50名による集団スプリントに持ち込まれた。

フィリプセンとメルリールは協力し合うことなくそれぞれ単独で位置取りをするなか、緩やかに左に曲がる最終ストレートに突入。フィリプセンが内側でスプリントを開始し、大外から追い上げたメルリールが先頭に立つ。フィリプセンのスピードが伸び悩むなか、メルリールは背後についたオラフ・コーイ(オランダ)を振り切り、先頭でフィニッシュラインに飛び込んだ。

集団スプリントを制したティム・メルリール(ベルギー) photo:CorVos

ロードヨーロッパ選手権2024 男子エリートロードレース表彰台:2位コーイ、1位メルリール、3位ミケルス photo:CorVos

今年で9回目を迎えるヨーロッパ選手権で、ベルギーに初優勝をもたらしたメルリール。「信じられない。残り300m地点でチェーンが外れ”もう終わった”と思った。だが(チェーンが戻り)その後も走り続けたら隙間を見つけ、集団スプリントに持ち込まれた。自分の勝利を信じて出場し、勝利を掴むことができて誇りに思う」と振り返った。

また「2度のベルギー王者を経て得られたこのジャージが意味するものは大きい。ここ2週間で2度の落車に見舞われたものの、信じ続けたおかげで勝つことができた」と語り、白地に3種類の青と星が入った欧州王者ジャージに袖を通した。
ロードヨーロッパ選手権2024 男子エリートロードレース結果
1位 ティム・メルリール(ベルギー) 4:37:10
2位 オラフ・コーイ(オランダ)
3位 マディス・ミケルス(エストニア)
4位 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー)
5位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)
6位 マッズ・ピーダスン(デンマーク)
7位 パヴェル・ビットネル(チェコ)
8位 スタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド)
9位 クリストフ・ラポルト(フランス)
10位 アレックス・キルシュ(ルクセンブルク)
30位 マチュー・ファンデルプール(オランダ)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos