2024/09/02(月) - 12:03
完全ドライコンディションのパル・アリンサル特設コース。熾烈な最終周回の一騎打ちでヴィクトル・コレツキー(フランス)を下したアラン・ハースリー(南アフリカ)がMTB新世界王者に輝いた。トーマス・ピドコック(イギリス)は出遅れが響いて3位に甘んじている。
MTB世界選手権最終日、クロスカントリー世界一を決める一大決戦がアンドラ公国の名門コース「パル・アリンサル」で繰り広げられた。絶えずアップダウンを繰り返し、無慈悲なスノーゲレンデの直登区間を含むコースを合計6周回。嵐の襲来によって現地時間12時ちょうどに早められた男子エリートレースがスタートした。
ディフェンディングチャンピオンで東京・パリ五輪王者のトーマス・ピドコック(イギリス)や、2日前のXCC(ショートトラック)を制したヴィクトル・コレツキー(フランス)、復調を望んで21回目の世界選手権に挑んだニノ・シューター(スイス)といった優勝候補たちが最前列からダッシュ。スタートを得意とするルカ・シュワルツバウアー(ドイツ)がホールショットを決め、立て続けに好調コレツキーが先頭を奪う。一方ピドコックは埋もれ、20番手付近からの追い上げを強いられた。
遅れたピドコックの代わりにイギリスから先頭グループに加わったのはXCC2位のチャーリー・アルドリッジで、好調アラン・ハースリー(南アフリカ)やルカ・ブライド(イタリア)もジョイン。シューターやマティアス・フルッキガーなどスイス勢不在の先頭グループが人数を減らしながら先行した。
淡々と、しかしどこか苦しげな様子で追い上げを続けたピドコックは4周目、遂にハースリーとコレツキーだけとなっていた先頭グループの影を捉える。コレツキーとの一騎打ちを制した五輪同様の展開になるかと思われたが、合流まであと僅かというタイミングでペースダウン。チームメイトのアルドリッジの先行すら許してしまった。
ハースリーとコレツキーはペースを緩めることなく一騎打ちへと移行し、再復活して合流のラストチャンスに賭けるピドコックを振り払う。最終周回前半でのコレツキーのアタックは不発に終わり、石と砂が浮いた激坂区間ではコレツキーが真っ先にアタックし、喰らい付いたハースリーがカウンターパンチを見舞う。振り絞るような長時間全開アタックに対して遂にコレツキーが遅れ、6秒ほどのリードを得たハースリーが頂上を越えて下り区間に入った。
集中した表情を崩さないハースリーは、残る登坂区間も、木の根や岩が露出したダウンヒル区間も、パンプトラックも危なげなく、再合流不可能を悟ったコレツキーとの差を広げながらクリアした。リードを22秒まで広げて最終コーナーを曲がり、頭を抱え、両手でガッツポーズ。激しい戦いを支えたバイクを空に掲げた。
「信じられない。とてもエモーショナルだ。脚がいい感じだったのは分かっていたけれど、こんな風に勝てるだなんて。夢が叶ったよ。アルカンシエルはこの先ずっと僕のジャージに加わることになるし、この先一年は世界王者としてレースを走れる。残りのシーズン、そして来年が今から楽しみでならない」と喜ぶハースリーが、自身初、そして南アフリカ出身選手としての初のXCO世界王者となった。勝負を決めたハースリーの最終周回はこのレース全体の最速ラップだった。
コレツキーは2日前のXCCで世界王者に輝いたものの、今季最大の目標として臨んだXCOのオリンピックと世界選手権ではどちらも一騎打ちの末の銀メダルという苦い結果に。追い上げ届かなかったピドコックは3位銅メダル、アルドリッジが大健闘の4位に入っている。
「メダル獲得を狙って頑張りすぎてしまったのかもしれない。恐らく休養が必要なタイミングをトレーニングに充ててしまった。調子が戻ってくることを期待していたけどダメだった」と言うシューターは13位でトップ10入りを逃している。元XCC世界王者のサムエル・ゲイズ(ニュージーランド)も振るわず38位と本来の調子からかけ離れた結果に終わった。
また、この日最初のカテゴリーとして開催された男子U23レースを制したのはルカ・マルタン(フランス)。ダリオ・リロ(スイス)が2位、トビアス・リルレン(デンマーク)が3位銅メダルを獲得している。
MTB世界選手権最終日、クロスカントリー世界一を決める一大決戦がアンドラ公国の名門コース「パル・アリンサル」で繰り広げられた。絶えずアップダウンを繰り返し、無慈悲なスノーゲレンデの直登区間を含むコースを合計6周回。嵐の襲来によって現地時間12時ちょうどに早められた男子エリートレースがスタートした。
ディフェンディングチャンピオンで東京・パリ五輪王者のトーマス・ピドコック(イギリス)や、2日前のXCC(ショートトラック)を制したヴィクトル・コレツキー(フランス)、復調を望んで21回目の世界選手権に挑んだニノ・シューター(スイス)といった優勝候補たちが最前列からダッシュ。スタートを得意とするルカ・シュワルツバウアー(ドイツ)がホールショットを決め、立て続けに好調コレツキーが先頭を奪う。一方ピドコックは埋もれ、20番手付近からの追い上げを強いられた。
遅れたピドコックの代わりにイギリスから先頭グループに加わったのはXCC2位のチャーリー・アルドリッジで、好調アラン・ハースリー(南アフリカ)やルカ・ブライド(イタリア)もジョイン。シューターやマティアス・フルッキガーなどスイス勢不在の先頭グループが人数を減らしながら先行した。
淡々と、しかしどこか苦しげな様子で追い上げを続けたピドコックは4周目、遂にハースリーとコレツキーだけとなっていた先頭グループの影を捉える。コレツキーとの一騎打ちを制した五輪同様の展開になるかと思われたが、合流まであと僅かというタイミングでペースダウン。チームメイトのアルドリッジの先行すら許してしまった。
ハースリーとコレツキーはペースを緩めることなく一騎打ちへと移行し、再復活して合流のラストチャンスに賭けるピドコックを振り払う。最終周回前半でのコレツキーのアタックは不発に終わり、石と砂が浮いた激坂区間ではコレツキーが真っ先にアタックし、喰らい付いたハースリーがカウンターパンチを見舞う。振り絞るような長時間全開アタックに対して遂にコレツキーが遅れ、6秒ほどのリードを得たハースリーが頂上を越えて下り区間に入った。
集中した表情を崩さないハースリーは、残る登坂区間も、木の根や岩が露出したダウンヒル区間も、パンプトラックも危なげなく、再合流不可能を悟ったコレツキーとの差を広げながらクリアした。リードを22秒まで広げて最終コーナーを曲がり、頭を抱え、両手でガッツポーズ。激しい戦いを支えたバイクを空に掲げた。
「信じられない。とてもエモーショナルだ。脚がいい感じだったのは分かっていたけれど、こんな風に勝てるだなんて。夢が叶ったよ。アルカンシエルはこの先ずっと僕のジャージに加わることになるし、この先一年は世界王者としてレースを走れる。残りのシーズン、そして来年が今から楽しみでならない」と喜ぶハースリーが、自身初、そして南アフリカ出身選手としての初のXCO世界王者となった。勝負を決めたハースリーの最終周回はこのレース全体の最速ラップだった。
コレツキーは2日前のXCCで世界王者に輝いたものの、今季最大の目標として臨んだXCOのオリンピックと世界選手権ではどちらも一騎打ちの末の銀メダルという苦い結果に。追い上げ届かなかったピドコックは3位銅メダル、アルドリッジが大健闘の4位に入っている。
「メダル獲得を狙って頑張りすぎてしまったのかもしれない。恐らく休養が必要なタイミングをトレーニングに充ててしまった。調子が戻ってくることを期待していたけどダメだった」と言うシューターは13位でトップ10入りを逃している。元XCC世界王者のサムエル・ゲイズ(ニュージーランド)も振るわず38位と本来の調子からかけ離れた結果に終わった。
また、この日最初のカテゴリーとして開催された男子U23レースを制したのはルカ・マルタン(フランス)。ダリオ・リロ(スイス)が2位、トビアス・リルレン(デンマーク)が3位銅メダルを獲得している。
MTB世界選手権2024 XCO男子エリート結果
1位 | アラン・ハースリー(南アフリカ) | 1:09:51 |
2位 | ヴィクトル・コレツキー(フランス) | +0:22 |
3位 | トーマス・ピドコック(イギリス) | +0:39 |
4位 | チャーリー・アルドリッジ(イギリス) | +0:54 |
5位 | マティス・アッザロ(フランス) | +1:21 |
6位 | ルカ・ブライド(イタリア) | +1:49 |
7位 | ルカ・シュワルツバウアー(ドイツ) | +1:55 |
8位 | マティアス・フルッキガー | +1:58 |
9位 | ジョーダン・サルー(フランス) | +2:07 |
10位 | デーヴィッド・リスト(ドイツ) | +2:12 |
MTB世界選手権2024 XCO男子U23結果
1位 | ルカ・マルタン(フランス) | 59:48 |
2位 | ダリオ・リロ(スイス) | +0:21 |
3位 | トビアス・リルレン(デンマーク) | +0:52 |
text:So.Isobe
photo:UCI
photo:UCI
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