ツアー・オブ・ジャパン第5ステージは、最終周回にアタックしたニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)が優勝。石原悠希(シマノレーシング)が4位に入った。中井唯晶(シマノレーシング)が山岳賞ポイントを加点し、ジャージを守った。



飯田市街を見下ろす高台のコース photo:Satoru Kato

山岳賞ジャージとポイント賞ジャージを着たシマノレーシングの2人 photo:Satoru Kato
スタート地点に多くの観客が集まった photo:Satoru Kato


ツアー・オブ・ジャパン5日目は、長野県飯田市でのステージ。下久堅小学校前をスタートして1周12.2kmの周回コースに入り、9周して再び下久堅小学校前にフィニッシュする120.9kmのレースだ。3km地点には1級山岳に指定される登りがあり、3回の山岳賞が設定される。超級山岳となる第6ステージの富士山を前に、山岳賞獲得を目指すにはここで山岳ポイントを加点することが必須となる。

肉を焼きながら観戦するのが飯田の流儀 ©️TOJ2024

飯田は焼肉の町としても知られ、コースサイドのあちこちで香ばしい煙をたなびかせながら観戦する方々が多いことでも知られる。山岳賞ポイントの先にある「焼肉コーナー」は今年も観戦者で盛況となっていた。

4賞ジャージを先頭にスタート photo:Satoru Kato

前日の美濃同様に雲多めの1日。標高の高さもあって朝方は気温低めだったが、レースがスタートする前後から陽射しが戻り、徐々に暑くなる中レースが進行した。

1周目からニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)が逃げ集団に乗る photo:Satoru Kato

最初の山岳賞を獲りに行く中井唯晶(シマノレーシング) photo:Satoru Kato

リアルスタートが切られた直後からレースは動いた。ニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)らの飛び出しに後続から合流が続き、2周目までに15名の先頭集団が形成される。1回目の山岳賞は中井唯晶(シマノレーシング)が先頭通過。これで計32ポイントとし、山岳賞争いのリードを広げた。

石橋学を先頭にJCLチーム右京が集団コントロール photo:Satoru Kato

後続のメイン集団はJCLチーム右京がコントロール。レース中盤には2分30秒差まで開き、バーチャルリーダーは先頭集団に入ったマックス・ウォーカー(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム、1分36秒遅れ)に移る。しかしレース後半に入ると石橋学や小石祐馬らの牽引により1分30秒前後まで差を縮め、バーチャルリーダーをジョバンニ・カルボーニが取り戻す。

レース中盤以降7名まで減った先頭集団 photo:Satoru Kato

一方先頭集団では、2回目の山岳賞が設定された5周目にアスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチームのニコラス・ヴィノクロフとウォーカーの2人がペースアップを図り、7名まで人数を絞る。残ったメンバーは以下の通り。

ニコラス・ヴィノクロフ
マックス・ウォーカー(以上アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)
ライアン・カバナ(キナンレーシングチーム)
ヒュー・バックジョーンズ(セント・パイラン)
レオネル・キンテロ(ヴィクトワール広島)
ルーク・バーンズ(チーム・ブリッジレーン)
ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)

終盤に入ってもアスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチームの2名の攻勢は続き、7周目にトリビオとキンテロが遅れて5名になる。この間にメイン集団も徐々に差を縮め、8周目に1分以内まで詰める。

5名まで絞られて最終周回に入る先頭集団 photo:Satoru Kato

最終周回に入り、登り区間に入るとメイン集団が先行していた5名に追いつく。頂上の手前でニコラス・ヴィノクロフがアタックし、単独先行で下り区間に入る。その後TOJコーナーを過ぎた残り2km付近で、後続から単独追走してきたベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)が合流。しかし残り500mでニコラス・ヴィノクロフはダイボールを引き離し、再び単独先行。電話をかけて受話器を置くポーズを見せながらフィニッシュラインを越えた。

電話をかけ・・・ photo:Satoru Kato
受話器を置く photo:Satoru Kato


ニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)が信州飯田ステージ優勝 photo:Satoru Kato

リーダージャージのジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京)はメイン集団前方でフィニッシュ photo:Satoru Kato
4位でフィニッシュした石原悠希(シマノレーシング) photo:Satoru Kato


その直後、リーダージャージのカルボーニを含む集団がフィニッシュ。石原悠希(シマノレーシング)が4位に入り、このステージでの日本人最上位となった。個人総合上位勢に大きな変化はなく、ポイント賞は寺田吉騎(シマノレーシング)からカルボーニに移った。山岳賞は中井、新人賞はザッカリー・マリッジ(チームブリッジレーン)がそれぞれ維持した。

第5ステージ優勝 ニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム) photo:Satoru Kato

第5ステージ優勝 ニコラス・ヴィノクロフ コメント
「とてもハードなレースだった。序盤からマックス・ウォーカーと共に逃げに乗ったが、それが15名の大きな集団だった。レース中盤にマックスと共にアタックして逃げ集団の人数を絞り、最終周回までに5名になり、最後の登りでアタックした。その後1人が追いついてきたが、残り500mから仕掛けて振り切った。ステージ1勝を目標にしていたので、勝ててとても嬉しい。明日の富士ステージの後になると思うけれど、チームとしてもう1勝挙げられるようにしたい。

ウィニングポーズに特に意味はなく、トレーニングキャンプの時にチームメイトと日本で勝ったらやろうと話していた。私が最初に勝ったのであのポーズをしたが、何か面白いジェスチャーをしたかった。日本の多くのファンが父のことを知ってくれているのは嬉しいし、その日本で勝てたことはとても幸せな気分だ」

山岳賞 中井唯晶(シマノレーシング) photo:Satoru Kato

山岳賞 中井唯晶 コメント
「1周目からバンバンアタック合戦が始まって、ここは逃げた方が有利なので逃げに乗りたいチームが多かった。僕も乗ろうとしたけれど登りがきつくて遅れてしまい、2周目の登りでライアン(・カバナ、キナンレーシングチーム)の飛び出しに乗ってジョインすることが出来た。1回目の山岳賞を1位通過出来て、とりあえず目標は達成できたなと。これで35ポイントになって、明日の富士山で優勝したとしても15ポイント、相模原は2級山岳3回で計15ポイントだけれど、富士山を狙うような選手が相模原で山岳を取りにくるようなことは無いと願いたい。チームとしては寺田(吉騎)選手のポイント賞も取り返したい」

第5ステージ表彰選手 photo:Satoru Kato

信州飯田の定番、シードルファイト photo:Satoru Kato
ツアー・オブ・ジャパン 第5ステージ信州飯田 結果(120.9km)
1位 ニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム、カザフスタン) 3時間2分43秒
2位 ダヴィデ・トネアッティ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム、イタリア)+3秒 +3秒
3位; ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島、オーストラリア)
4位 石原悠希(シマノレーシング)
5位 ライアン・カバナ(キナンレーシングチーム) +9秒
6位 アドネ・ファン・エングレン(ルージャイ・インシュランス)
7位 クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム)
8位 ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京)
9位 小林 海(マトリックスパワータグ)
10位 レオネル・キンテロ・アルテアガ(ヴィクトワール広島、ベネズエラ)
個人総合成績 第5ステージ終了時
1位 ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京、イタリア) 12時間4分51秒
2位 アナトリー・ブディアク(トレンガヌ・サイクリングチーム、ウクライナ) +15秒
3位 カーター・ベトルス(ルージャイ・インシュランス、オーストラリア) +18秒
4位 ドリュー・モレ(キナンレーシングチーム、オーストラリア) +19秒
5位 ザッカリー・マリッジ(チームブリッジレーン、オーストラリア) +41秒
6位 ニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム、カザフスタン) +1分30秒
ポイント賞 第5ステージ終了時
1位 ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京、イタリア) 52p
2位 寺田吉騎(シマノレーシング) 45p
3位 マッテオ・マルチェッリ(JCLチーム右京、イタリア) 43p
山岳賞 第5ステージ終了時
1位 中井唯晶(シマノレーシング) 32p
2位 ニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム、カザフスタン) 12p
3位 マックス・ウォーカー(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム、イギリス) 10p
チーム総合成績 第5ステージ終了時
2位 キナンレーシングチーム 36時間18分31秒
1位 JCLチーム右京 +24秒
3位 チーム・ブリッジレーン +39秒

明日の第6ステージは富士山。個人総合優勝の行方を決める大一番となる。3連覇を目指すネイサン・アール(JCLチーム右京)は1分51秒遅れとなっているが、十分逆転可能な差だ。ふじあざみラインを先頭で登ってくるのは誰か?


text:Satoru Kato
photo:Satoru Kato, TOJ2024
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