5月1日にドイツで行われたエシュボルン・フランクフルトは、登りで絞られた集団によるスプリントで決着。マイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)がコルトらを退け、念願の大会初優勝を決めた。



この後ジロ・デ・イタリア出場を控えるマルク・ヒルシ(スイス、チューダー・プロサイクリング) photo:CorVos

エシュボルン・フランクフルト2025 コースプロフィール image:Eschborn-Frankfurt
1962年に初開催され、ドイツ最古のワンデーレースであるのがエシュボルン・フランクフルト(UCIワールドツアー)だ。発着地点はその名の通り、エシュボルンからフランクフルトまでの198.7km。フェルトベルクを2度(登るルートはそれぞれ異なる)、そしてマンモルスハイン(距離2.3km/平均勾配8.3%)を3度登坂するレイアウトで、最後のマンモルスハイン頂上からは、約40kmの下りと平坦路がフィニッシュまで続いていく。

かつては「スプリンターの祭典」と呼ばれていた大会は、近年登坂スピードが上がったことなどが影響し、昨年マキシム・ファンヒルス(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が優勝したように、よりパンチャー向きなレイアウトとなった。

そのファンヒルスが不出場となったレースは、マルク・ヒルシ(スイス、チューダー・プロサイクリング)が最大の優勝候補に上がる。また2021年覇者ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)や、”登れるスプリンター”を長年代表しているマイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)など、ワールドツアーに相応しい豪華メンバーが集結した。

序盤から逃げたローレンス・ピシー(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)とピエール・ティエリー(フランス、アルケア・B&Bホテルズ) photo:CorVos

アクチュアルスタートが切られた直後に成立した逃げは、ピエール・ティエリー(フランス、アルケア・B&Bホテルズ)とローレンス・ピシー(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)の2名。21歳と22歳という若手コンビは一気に6分差を得る一方、メイン集団はアルペシンやジェイコなどが牽引。しかし残り距離が半分を過ぎる前にピシーが吸収され、またティエリーの残り97kmで捉まった。

「労働の日」のため祝日であるドイツの気温は26度と高く、集団で走る選手たちはストッキングに入れた氷を背中に入れ、何度もボトルを交換しながら体温の上昇を防ぐ。プロトンの先頭ではジェイコが相変わらずペースを作り、またマグナス・コルト(デンマーク)を擁するウノエックス・モビリティも高速牽引で人数を絞っていく。

登りでペースを上げ、人数を絞っていくジェイコ・アルウラー photo:CorVos

この日最後のマンモルスハイン(距離2.3km/平均勾配8.3%)に入ると、地元ドイツ出身のマキシミリアン・シャフマン(スーダル・クイックステップ)がアタック。それにアンドレアス・レックネスン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)とグレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、モビスター)が追従。しかし残り18km地点で捉まり、その後もアタックが続いたものの、決め手に欠いたため集団スプリントに持ち込まれた。

スプリンターの多くが遅れた34名の集団がフランクフルトになだれ込み、残り200mの最終右コーナーでコルトが得意のアーリースプリントを開始。しかしすぐさまマシューズが追い抜き、そのままフィニッシュラインに飛び込んだ。

スプリント勝利したマイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos

念願の初優勝を飾ったマイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos

今年の春のクラシックではミラノ〜サンレモで4位、アムステルゴールドレースで5位と表彰台を逃していたマシューズ。「春を通してコンディションは良かったのだが、あと少しが足りなかった。僕に適したレースだが、ずっと勝てないでいた。素晴らしい走りをしてくれたチームメイトに感謝したい」と、過去2位と3位に入っている大会での初勝利を喜んだ。

2位はコルト、3位にはヨン・バレネチェア(スペイン、モビスター)が入っている。また同日に行われたU23のレースにはワンティ・NIPPO・リユーズのメンバーとして藤村一磨と島崎将男が出場し、藤村は74位、島崎は82位で完走している。
エシュボルン・フランクフルト2025結果
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) 4:38:33
2位 マグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ)
3位 ヨン・バレネチェア(スペイン、モビスター)
4位 ニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)
5位 フレデリク・ワンダール(デンマーク、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
6位 アルバート・ウィゼンフィリプセン(デンマーク、リドル・トレック)
7位 ステファノ・オルダーニ(イタリア、コフィディス)
8位 マルク・ヒルシ(スイス、チューダー・プロサイクリング)
9位 ニコ・デンツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
10位 ワレン・バルギル(フランス、ピクニック・ポストNL)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos