最後に4級山岳を駆け上がる40.6km個人タイムトライアルで争われたジロ・デ・イタリア第7ステージ。マリアローザを着たタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が登りで圧巻の走りを見せ、区間2勝目と共に総合リードを2分36秒まで拡げた。



ジロ・デ・イタリア第7ステージの個人TTに165名が臨んだ photo:RCS Sport

ジロ・デ・イタリア2024第7ステージ コースプロフィール image:RCS Sport

前日の未舗装路と勾配20%の壁で疲弊した選手たちに、今大会一つ目となる個人タイムトライアルが用意された。ジロ・デ・イタリア第7ステージの舞台は総距離40.6kmの個人タイムトライアル。このステージに星4つの難易度が与えられた理由は、最後に登坂距離6.6kmの4級山岳を駆け上がるからだ。

フォリンニをスタートして2つ目の中間計測地点(34km)までは平坦路。そしてフィニッシュ地点ペルージャの前に、最大勾配16%から始まる登坂距離1.3km/平均勾配11.8%の登りが立ちはだかる。

現地時間1時10分、総合順位で最下位のマーティン・トゥスフェルト(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)から1分間隔(ラスト15名は3分間隔)でスタートが切られる。パトリック・ルフェーブルGMがこの日もスーダル・クイックステップの選手たちを見守るなか、まずはヨセフ・チェルニー(チェコ)がトップタイムをマーク。しかしすぐに現U23TT世界王者であるロレンツォ・ミレージ(イタリア、モビスター)が53分56秒(平均45.167km/h)というタイムで上回った。

52分1秒の暫定トップのタイムでフィニッシュしたフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:RCS Sport

更にこれを、過去にU23TT世界選手権3連覇の経験があるミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ)が16秒更新。この53分40秒というタイムが塗り替えられることがないまま、全体の88番目に優勝候補の一人であるフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が走り出した。

イタリア王者ジャージを着用するガンナは、序盤に沿道の観客の手が当たるトラブルに見舞われながらも、自身7度目のステージ優勝(個人TTでは過去5勝)を目指して良いリズムを刻む。第1中間計測(18.6km地点)をトップタイム(21分15秒)で駆け抜け、第2第中間計測(34km地点)も38分43秒をマークするハイスピードで最後の登りへ。

平均スピードが47km/hに迫る46.831km/hで駆け抜けたガンナは、ビョーグを39秒上回る52分1秒でフィニッシュ。そのタイムにはチームメイトのテイメン・アレンスマン(オランダ)は43秒、マグナス・シェフィールド(アメリカ)も32秒届かなかった。

ステージ7位で総合順位を上げたルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) photo:RCS Sport

ステージ8位でトーマスを抜き、総合2位に上がったダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:BORA - hansgrohe

タイムが伸びず、区間10位で総合も3位に後退したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:RCS Sport

その後アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)やルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)も好タイムでフィニッシュし、総合順位を上げることに成功。しかしこの時点でトップ3を独占するイネオスの牙城を崩すことはできず、総合3位のダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)はビョーグを7秒上回る好タイムでまとめた。

そして最後から2番目、総合2位につけるゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が走り出す。ツール・ド・フランスのTTでも優勝経験のあるトーマスだったが、「何かが足りなかった」と振り返るようにペースに乗ることができず、ガンナから1分43秒遅れの暫定9位でフィニッシュ。そして最初の選手のスタートから約3時間後の現地時間16時24分、マリアローザを着るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)がスタートを切った。

第3ステージに着用して物議を醸し、その後UCI(国際自転車競技連合)から正式に認められた紫のビブショーツを履いたポガチャルは、第1計測をガンナから44秒遅れと抑えめのペースで前半をクリア。そして第2計測でも47秒遅れで通過したポガチャルが、いよいよ登坂距離6.6kmの4級山岳に入った。

マリアローザのタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)がスタート photo:RCS Sport

ホットシートでポガチャルの走りを観るガンナと元チームメイトのプラップ photo:RCS Sport
コース前半は抑えめなペースで入ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:RCS Sport


驚異的な登坂速度で駆け上がるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:RCS Sport

ここからポガチャルが驚異のスピードを披露する。上位の選手たちが平均時速29〜30kmで登るなかマリアローザは平均32.4km/hで踏み続け、ガンナよりも1分4秒早い登坂タイムをマーク。その結果トップタイムを17秒上回る51分44秒で駆けたポガチャルが、ガッツポーズする余裕も見せながら40.6kmを走り終えた。

第2ステージに続き、今大会区間2勝目をゲットしたポガチャル。「昨年のTT世界選手権以来となるTTバイクでのレースとなった。だがこのステージに向けて準備を進めており、前半はTTバイクに慣れるためイージーペースで進んだ。そして最後の山岳を全力で踏み込んだ」と、ポガチャルは圧巻のタイムトライアルをそう振り返った。

この結果、総合首位ポガチャルは2位との差を46秒から2分36秒まで大幅に拡大。またマルティネスはトーマスを抜いて総合2位に上がり、区間11位だったベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)は総合4位にジャンプアップ。そして総合5位だったプラップはマリアビアンカ(ヤングライダー賞ジャージ)争いで首位に立っている。

ガンナを17秒上回り、ステージ優勝を飾ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:RCS Sport

総合リードを大幅に拡大したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:RCS Sport


ジロ・デ・イタリア2024第7ステージ結果
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 51:44
2位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) +0:17
3位 マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ) +0:49
4位 テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) +1:00
5位 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +1:05
6位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +1:21
7位 ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) +1:45
8位 ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) +1:49
9位 ミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ) +1:56
10位 ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +2:00
11位 ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) +2:07
マリアローザ 個人総合成績
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 24:12:36
2位 ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) +2:36
3位 ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +2:46
4位 ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) +3:33
5位 ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) +3:42
6位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザクスタン) +3:49
7位 キアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) +3:50
8位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +4:11
9位 フィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) +4:41
10位 ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、アスタナ・カザクスタン) +4:44
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) 134pts
2位 カーデン・グローブス(オーストリア、アルペシン・ドゥクーニンク) 97pts
3位 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) 89pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 54pts
2位 リリアン・カルメジャーヌ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ) 32pts
3位 ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) 28pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) 24:16:18
2位 キアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) +0:08
3位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:29
チーム総合成績
1位 イネオス・グレナディアーズ 72:44:56
2位 デカトロンAG2Rラモンディアル 7:34
3位 アスタナ・カザクスタン 8:31
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos