甲府盆地を満たした春を体感できる桃と桜のサイクリング。鮮烈なピンクに色づくみやさか道を走り抜けた後には、BBQやバンク体験が出来るユニークなエイドが登場。めまぐるしく、満足感の高い56kmのライドをレポート。(前編はこちら



八代ふるさと公園を出発!桜としてはここが一番の見所かも

皆さんの視線の先には
ウエディングフォトの撮影中でした



満開の桜を見ようと、多くの人が集まる八代ふるさと公園に設けらえた第2エイドを出発。公園の前の道路も桜並木となっており、薄紅色のトンネルに。

ここで決めカットを撮ろう!と待ち構えていると、なぜか一番いい所で皆さんが右(走っている側からすると左)を向いてしまう。なんだなんだと思っていると、ウェディングフォトの撮影が行われている様子。それは祝福せずにはいられない。

これだけ絶景であれば登りでも楽しめるってもんです。

子どもさんを連れて参加される猛者も!
中央市のゆるキャラとまチュウ。Tシャツは道の駅でも販売中とのこと!



リニア実験線を望む絶景ポイントです

左手にリニア実験線を望みつつ、アップダウンを一つこなせばもう一つの絶景スポットである花鳥山展望台はすぐそこだ。

リニアの見える丘とも呼ばれるこの展望台からは、桃畑が広がる向こうにリニア実験線、そして甲府の街並みを見渡せる。背後の公園には満開の桜が咲き乱れ、どこを向いても美しい光景が広がっている。そんな光景を一目見ようと、こちらも駐車場待ちの渋滞に。ほぼ動かない車列を見ていると、人気の観光地を巡るのに、自転車はこれ以上ない手段だと痛感する。

花鳥山は桜も満開
展望台へ向かう車は大渋滞。下りもかなりの斜度なので気をつけて



桃の花が一面に広がります

花鳥山展望台までくれば、激しいアップダウンが続いたみやさか道の終点ももうすぐだ。ラストの登りの頂上にある桃源郷菜の花畑では、桃の花まつりが開催され、様々な出店もあり盛り上がっていた様子。

そこからは御坂みちから一本脇道を入り、一路北上していく。目指すは第3エイドとなる「御坂農園グレープハウス」だ。ただただ下っていくだけというボーナスタイムでしっかり足を休ませて、たどり着いた第3エイドで待っているのはこの大会名物のBBQ!!

一緒に走り、同じ卓を囲めばもう仲間です

今年は牛肉も加わりボリュームアップ!
スイーツビュッフェを楽しむ皆さん



スイーツビュッフェと聞いてテンションマックスの石垣さん

仕事柄色んなイベントにお邪魔することがあるけれど、未だにライド途中に焼肉を楽しめるロングライドイベントは他に見たことが無い。エイドの振る舞いが豪華だと評判のライドイベントは数あれど、群を抜いて印象的なエイドだ。

ただ単に豪華にしよう、というのがこのエイドの目的ではない。ここまで一緒に走ってきたグループの皆さんと、同じ卓を囲むことで更に仲を深めることができるように、というのが真の狙いなのだ。友達やチームで参加している人だけでなく、ソロで参加した方も一緒に肉を焼いていれば自然と仲良くなれるもの。実際、どちらかと言えば陰キャの部類である私も、このBBQで一緒に卓を囲んだ皆さんとは結構会話が弾むのだ。

高瀬さんと石垣さんも桃と菜の花のコラボに思わず笑顔に

菜の花の海に潜るような。

ちなみにBBQの内容も更に進化しており、今年はついに牛肉が追加されることに。そして食後には地元の銘菓がそろったスイーツビュッフェも設置されており、心行くまで満腹となれる。食べすぎを心配する方はお土産としてバックポケットに入れて持ち帰っても良いのも嬉しいポイント。

さて、ついつい根が生えてしまいそうになるほど居心地の良い御坂農園グレープハウスエイドだが、ここまで来ればフィニッシュまではほぼ平坦。

残るエイドはあと一つ。再び走りだします

辺り一面桃畑。どこでもピンクの背景になります
境川自転車競技場へのアプローチは結構な激坂



まだまだ続く桃畑の合間を縫うようなルートを走っていくと、目の前にこんもりとした丘が現れる。その中腹には自転車を象ったオブジェが設置されている。そう、これが第4エイドとなる境川自転車競技場だ。ちなみにこのエイドの前後はかなりの激坂となっている。後半最大の難所とも言える区間だが、距離としては短めなので押し歩いたってそんなに時間がかかるわけでもないのでご安心を。

さて、この境川自転車競技場エイドでは、甘酸っぱい果実酢が皆さんを待っている。そして何よりユニークなのが、バンク走行を体験できるという点だ。トラック競技をやるでもなく趣味でロードバイクに乗っているだけでは、とんと縁のないバンクという場所だが、やはり憧れはあるもの。自転車競技の為に作り出されたコースとはいかなるものか、やはり皆さん興味津々なようで、大多数の方が体験走行に参加されていた。

バンク体験の前には簡単に注意事項説明が
山梨の各地にいる「チャリたぬ」くん。絶賛3期放送中のゆるキャン△にも登場しています。



甲府を見下ろす境川自転車競技場

横から見ているだけだとそこまで高低差が無いように見えるバンクも、実際に走ってみると凄い斜度。よっぽどスピードを出さないと転がり落ちてしまうんじゃないか、と心配になるが、路面自体のグリップ力が非常に高いため、意外に安心して走れる。

走り終わった方も、「上まで行けた!」とか「怖かったけど楽しい!」といったように、普段走れない貴重な経験に興奮している様子。パリ五輪も近づいていることですし、これを機にトラック競技に興味を持つ方が増えるといいですね!

境川自転車競技場エイドを出発すると早速激坂の続きが登場。でも距離は短いのでご安心を

激坂では仲間をサポートする姿も

さて、ひとモガキした後はフィニッシュへ向けて走るのみ。競技場前の激坂はもう少し続いているので、もう少しだけ踏む必要があるけれど、そのあとはもう文句のない平坦区間となる。

笛吹川沿いの平坦路を快走していけば、フィニッシュの中央市役所は間もなくだ。フィニッシュゲートをくぐり抜ける皆さんは一様に満面の笑顔を浮かべている。自転車を置いたら、フィニッシュエイドとして用意されている豚汁を頂こう。

笑顔でフィニッシュする皆さん

ゲストライダーとフィニッシュ記念に

ホッとあったかい豚汁は、中央市食生活改善推進員会に所属するみなさまの手によるもの。一人暮らしで普段は荒んだ食生活を送っている人が思わず涙を流しそうな具沢山で温もりを感じる一杯だ。

そして完走者には、大量のお土産も用意されている。フルーツジャムやリーフレタスをはじめ、カップ麺やらスナックやら、これでもか!と言わんばかりにトートバックに詰め込まれている。自走派の方は持ち帰る方法に悩んでしまうレベルのボリュームだ(笑)

具だくさんの豚汁で怒涛のエイドラッシュも〆

豚汁を用意してくださったお姉さまたち。
登りはつらいけど、下ると楽しいのが悔しかった(笑)と語る高瀬さん。



ゲストライダーと望月市長らによるトークショー

メイン会場では、今中さんたちゲストライダーらと望月市長によるトークショーも開催。桃と桜のサイクリングの魅力をたっぷりと語り合うひと時となった。

56kmという、走り慣れた人にとっては少し物足りなく感じるかもしれない規模のコースながら、いやむしろ「なればこそ」、走り終わった後の満足感は最高レベルの桃と桜のサイクリング。来年は仲間も誘ってきます!という声もそこかしこで聞かれ、来年は更なる人気大会になること間違いなし。レポートを読んだ皆さん、来年の4月頭は予定を空けておいてくださいね!