「独走するつもりはなく、展開を厳しくしたかっただけ。アルカンシエルを着て良い走りがしたかった」と、パリ〜ルーベを連覇したマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)は語る。平均時速47kmの過去最速レースを、選手たちのコメントで振り返ります。



優勝 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)

パリ〜ルーベ2連覇を達成したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

信じられない。おそらく僕らチームは昨年よりも強かっただろう。チームメイトの走りを誇りに思うし、それを勝利に繋げることができて本当に嬉しい。(残り60km地点からのアタックは)狙っていたわけではなく、とにかくレース展開を厳しくしたかった。それが自分の強さを活かす方法だからね。

今日は調子が良く、レースの大部分は追い風が吹いていた。もちろんルーベではパンクの心配もあったが、常にチームカーが側にいたので自信を持ちながら走ることができた。限界に近かった先週(のロンド・ファン・フラーンデレン)よりも楽しんで走ることができたよ。

アルカンシエルを纏い、トロフィーを掲げたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

子どもの頃、こんな未来が待っているなんて夢にも思わなかった。このアルカンシエルを着て臨んだ今年は特にモチベーションが高かった。だがこれは予想を上回る結果。言葉が見つからないほど嬉しいよ。

2位 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)

表彰式でファンデルプールを称えるヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

今日はチームの全員がそれぞれベストなレベルの走りができた。それがチームとしての走りに繋がった。チームとして立てた目標は(アランベールの直前に設置された)シケイン(減速を促すコーナー)までに集団の数を減らすことだった。

石畳を走るのがとても好きなので、このレースはモチベーションを高めてくれるんだ。だからいつかは勝ちたいね。だが、今日は明らかに飛び抜けた脚を持つ選手がいて、それが僕のチームメイトだった。良いチームワークを見せることができて本当に嬉しいよ。

3位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)

2位を争うスプリントでフィリプセンに敗れたピーダスン photo:CorVos

良いレースだった。マチューはすば抜けており、彼は単に自分のレースをしていただけ。またヤスペルを、それも脚を溜めていた彼をスプリントで抜くのは難しい。だから表彰台に上がることができただけでとても嬉しいし、これは一歩前進であると思っている。

アタックしたマチューに食らいつこうとしたのだが、不可能だった。その後追走集団を形成したのだが、その差は拡がっていった。だから2位を目指すレースを強いられた。

4位 ニルス・ポリッツ(ドイツ、UAEチームエミレーツ)

今日の感覚はとても良かった。ファンデルプールがアタックした瞬間、アルペシンが前を塞いだんだ。だから追いかけることが難しかった。追走集団ではスプリントの強い2人に敵わず、4位という結果だった。この結果には満足しているし、少し休んでから次なるレースに臨みたい。

6位 ジャンニ・フェルミールス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)

リースビークと共にハイペースで集団を牽引したフェルミールス photo:CorVos

昨年はトップ10にチームから3名を入れたかったが、成功しなかった(昨年11位)。だが今年(のレース終盤は)ローレンス・ピシーという強い選手が前を牽いてくれた。(その結果6位に入ることができたので)今夜は良く眠れそうだよ。昨年僕たちはこれ以上ない完璧な走りを披露し、今年は更にそれを上回った。

オスカル・リースビークが高速で集団を牽引し、横風もありプロトンに決定打を与えた。後ろを振り返ったら集団が縦に伸びていたのだが、まだ30〜40名が残っていた。だから無線で「このままフルスピードで行くべきだ」と大声で叫んだんだ。

11位 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)

11位でフィニッシュしたジョン・デゲンコルプ(ドイツ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) photo:CorVos

最悪なタイミングでパンクし、結果は良いものにならなかった。だが良いレースと言うことができるし、とても満足しているよ。パリ〜ルーベは僕の血に流れているんだ。これは最も過酷で粗野なレース。他と比較することのできない唯一無二な存在だ。

ヴィスマ・リースアバイクのメーリン・ゼーマン監督

ファンデルプールに食らいついたミック・ファンダイケ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

ミックとティム(ファンダイケ兄弟)やペールストランド(ハーゲネス)など若い選手が自らの力を発揮させるのが、このレースで我々のとった作戦だった。もちろんシーズン当初からの考えではないが、チームでの出来事(ファンアールトの骨折やファンバーレ不出場)があれば当然の選択だ。若手の育成はチームとして大切で、彼らは見事ステップアップした姿を示した。彼らの走りは素晴らしかった。石畳クラシックで良い成績は残せなかったが、その理由は明らか。彼らに感謝し、未来に繋がるレースとなった。僕らの未来は決して暗くはない。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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