世界トップスプリンターが競演したフランドルで最古のワンデーレースことシュヘルデプライス。前回覇者のフィリプセンやフルーネウェーヘンを退け、ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が初優勝し、女子はロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)が4連覇を達成した。



ファンポッペルと共に優勝を目指す、今季好調の サム・ウェルスフォード(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

ベルギーのフランドル地方で行われたロンド・ファン・フラーンデレンから3日後の水曜日、同じフランドルで最も歴史あるシュヘルデプライス(1.Pro)が行われた。オランダののテルネーゼンからベルギーのスコーテンを結ぶコースは205.3kmで、周回コースを巡る終盤には5箇所の石畳区間が登場。しかし難易度は高くないため、過去の優勝者には名だたる強豪スプリンターの名前が並んでいる。

昨年の優勝者かつ、今年末に他チームへの移籍も噂されるヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)をはじめ、スタート地点にはヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)やディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)など豪華スプリンターが集結。朝まで降っていた雨が止み、濡れた路面を出発した選手たちの中からリアム・スロック(ベルギー、ロット・デスティニー)ら5名がエスケープした。

落車し、足首を骨折したヘルベン・テイッセン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ) photo:CorVos

序盤に優勝候補の一人であるヘルベン・テイッセン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)が落車して足首を骨折するアクシデントがありながら、メイン集団では横風による分断が発生する。しかし再び一つに戻ったプロトンは逃げを吸収し、例年通り集団スプリントが繰り広げられた。

最終ストレートで先頭に立ったのはダニー・ファンポッペル(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)。しかしエースであるサム・ウェルスフォード(オーストラリア)は集団の中に埋もれ、代わりにその背後からメルリールがスプリントを開始する。

フィリプセンを退け、初優勝を飾ったティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

メルリールのトップスピードにユーゴ・オフステテール(フランス、イスラエル・プレミアテック)が引き離され、フルーネウェーヘンもついていけない。そしてオフステテールとフルーネウェーヘンに前を塞がれたフィリプセンが隙間を見つけ懸命にもがいたものの、メルリールが2車身差をつけフィニッシュラインを通過した。

シュヘルデプライス2024表彰台:2位フィリプセン、1位メルリール、3位フルーネウェーヘン photo:CorVos

前回覇者フィリプセンを破り、今季7勝目を飾ったメルリール。「途中パンクという不運もあったが、無事集団に復帰してスプリントに臨むことができた。このレースで初めて優勝ができ、また今季7勝をマークすることができて嬉しいよ」と、メルリールは語っている。

同日に行われたシュヘルデプライス女子(UCI1.1)も集団スプリントで決着し、ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)が2021年の初開催から続く4連覇を達成している。

大会4連覇を達成したロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos
シュヘルデプライス2024
1位 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) 4:17:04
2位 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
3位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)
4位 ケース・ボル(オランダ、アスタナ・カザクスタン)
5位 ユーゴ・オフステテール(フランス、イスラエル・プレミアテック)
6位 ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)
7位 サム・ウェルスフォード(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
8位 マッテオ・モスケッティ(イタリア、Q36.5プロサイクリング)
9位 マディス・ミケルス(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ)
10位 マッテオ・トレンティン(イタリア、チューダー・プロサイクリング)
シュヘルデプライス女子2024
1位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム) 3:12:00
2位 シャーロッテ・コール(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
3位 マルティナ・フィダンツァ(イタリア、セラティツィット・WNTプロサイクリング)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos