残り10km地点で単独先頭に立ったブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)が、ファンヒルスに追いつかれながらも一騎打ちスプリントで先着。グランプレミオ・ミゲル・インデュラインを制し、来るバスク一周レースに向け弾みをつけた。



3月30日に行われたグランプレミオ・ミゲル・インデュライン photo:CorVos

いよいよ翌日にロンド・ファン・フラーンデレンを控えた3月30日(土)、スペイン北部のナバーラ州でグランプレミオ・ミゲル・インデュライン(1.Pro)が行われた。ツール・ド・フランスで総合5連覇を成し遂げたミゲル・インデュライン(スペイン)の名を冠した本大会は今年で33回目。発着するエステーリャを取り囲む山岳を巡るコースは198.1kmで、低難易度の山岳ばかりだが細かなアップダウンが続くため総獲得標高差は3,100mに達する。

4月1日に開幕するイツリア・バスクカントリー(UCIワールドツアー)の前哨戦の意味合いも強いレースには、前回王者のヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス)やサイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー)など有力クライマーが出場。またバスク一周レースに参戦する新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)もスタートラインに並んだ。

イスラエル・プレミアテックなどが中心にプロトンのペースを作る photo:CorVos

地元スペイン人選手が4名入った逃げグループは7名。その中にはリドル・トレックの下部チームに所属し、今季はトップチームで走る機会の多い18歳のルイス・ライダート(ドイツ)も入り、それを追うメイン集団はイスラエル・プレミアテックがペースをコントロール。逃げとプロトンのタイム差が2分のままレース距離は進んでいき、残り40kmを切った辺りで強い雨が降り出した。

DSMフィルメニッヒ・ポストNLの作るペースにメイン集団の人数は20名程度まで絞られ、逃げを飲み込んだ最終2級山岳アルト・デ・エラウラ(残り13km地点)でパヴェル・シヴァコフ(ロシア、UAEチームエミレーツ)が加速する。ライバルたちが遅れていくなか、その背後についたブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)が残り10kmでアタック。その後アルト・デ・エラウラの下りでマクナルティは後続との差を15秒まで拡げた。

今年は得意だった独走力を更に鍛え、2月のUAEでは個人タイムトライアルで区間優勝したマクナルティは順調にフィニッシュへと突き進む。それをDSMが中心となった集団が追いかけ、フィニッシュ手前2km地点の短い急坂でマキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー)がマクナルティに合流。マクナルティを頂上手前で引き離したファンヒルスは単独先頭に立ったものの、フィニッシュまで続く下りで今度はマクナルティが追いついた。

引き離されたファンヒルスを捉え、スプリントで下したブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

オスカー・オンリー(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が先頭の2人を猛追するなか、マクナルティとファンヒルスは腰を上げる。そして一騎打ちスプリントをマクナルティが制した。

今シーズンはボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアで総合優勝を飾り、UAEツアーでは区間優勝、そして直近のパリ〜ニースでは総合3位と好調をキープするマクナルティ。

「最後の登りで飛び出したがファンヒルスに追いつかれてしまった。そこで勝負が終わったと思ったものの、下りで逆に追いつくことができた。既に最高のシーズンとなっているものの、僕はまだまだハングリーだ。月曜に開幕するイツリアではこの自信を結果に繋げたい」と語り、バスク一周レースに向け意気込みを語った。

グランプレミオ・ミゲル・インデュライン2024表彰台:2位ファンヒルス、1位マクナルティ、3位オンリー photo:CorVos
グランプレミオ・ミゲル・インデュライン2024結果
1位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) 4:55:48
2位 マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー)
3位 オスカー・オンリー(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +0:02
4位 ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス) +0:06
5位 アーチー・ライアン(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト) +0:08
6位 サムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナ・カザクスタン) +0:16
7位 クレモン・シャンプッサン(フランス、アルケアB&Bホテルズ)
8位 ステフ・クラス(ベルギー、トタルエネルジー)
9位 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
10位 フェルナンド・バルセロ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos