寒暖差の大きな秋というシーズン。ウェア選びが難しいけど、サイクリングにうってつけの季節だからこそ楽しんでもらいたいとアソスはいう。トップスやボトムス、ベースレイヤーの組み合わせ次第で様々な状況やライダーに合わせられるアイテムが揃うラインアップから、今時期にぴったりなMILLE GT SPRING FALL LS JERSEY C2とMILLE GTS SPRING FALL BIB SHORTS C2をテストした。



アイテムやレイヤリング次第で秋も楽しく走れるとアソスは提案する

1年の中で最も走りやすい季節といったら秋口や初夏と言っても過言ではない。夏は猛暑日の日数が年々増している気がするし、冬場はシンプルに辛い。初夏は新緑、秋口は紅葉で自然の彩りもミッドシーズンが最高であり、この季節に走らないのは勿体なさを感じるほど。

しかし、走り出すまでの気持ちの整理が最も高いハードルなのは皆さんわかってくれると思う。春秋は花粉症を言い訳にできるし、時間帯によって気温が大きく変動するためウェア選びが億劫だ。いつだって走り始めればサイクリングの楽しさを再確認できるはずなのに、家を出るまでが果てしなく険しい峠のよう。

ウェアに関する悩みは年中走りたおすエンスーなサイクリストでは解決策を持っているはず。一つの案はコアとなるサマージャージにアクセサリーを加え、ベストを羽織ること。この組み合わせは走り出せば体が温まること、走る場所の気温帯が念頭にあるはずだ。

ベースレイヤー次第で様々な気温に対応できる

一方で経験をもとに導き出されている答えでもあるため、その経験をしたことがなければ、必要以上の保温性を備えたトップスなどを選んでしまうこともある。その結果、ウェア選択が難しいからサイクリングから足が遠のいてしまうのは勿体無い。

最も気持ちよく走れるこの季節だからこそサイクリングを楽しんでもらいたいと考えるアソスは、程よい起毛生地を使用したウェアと、それを起点としたレイヤリングを提案する。

トップスはMILLE GT SPRING FALL LS JERSEYで、ボトムスはMILLE GTS SPRING FALL BIB SHORTS C2。アソスが提唱するレイヤリングシステムではCLIMA CODE "2/3”にあたり、まさに今時期用のモデルとして用意されているプロダクトだ。

アソス MILLE GT SPRING FALL LS JERSEY C2

いずれもアソスが独自開発した起毛素材RXシリーズを使用していることが特徴。この素材は、常に走行風を受け続け、運動によって体温が上がりやすいサイクリングならではの事情を考慮して開発されており、外部からの風を敢えて通すことで、上昇した体温の調整や、生地が吸い上げた汗を乾燥させることを意識している。

もちろん超極細な糸が絡み合うことで生まれる空間に熱が蓄えられるフリースとしての機能は忘れられていない。保温性と風を通すことによるクーリング性、速乾性のバランスを整えているということだ。

程よい起毛感で、通気性とのバランスを整えた

この生地を使用したMILLE GT長袖ジャージは、ライダーの好みや外気温に合わせてインナーウェアの種類をチョイスすれば、非常に幅広いシチュエーションで着用可能となる。例えば、CLIMA CODE 2/3のASSOSOIRES SPRING FALL SKIN LAYERを組み合わせても良いし、1/3のSUMMER SKIN LAYERでも良い。つまり、MILLE GTとアンダーウェアを2種類揃えれば、このミッドシーズンを乗り越えることが可能になる。

シクロワイアードでは、のんびりマイペースでのライドをメインとする筆者・藤原と、JPTを走るアスリートの高木で、MILLE GT長袖ジャージ、MILLE GTS起毛ビブショーツ、SPRING FALL SKIN LAYERをテストしてみた。同日、同時間帯ではないものの、気温13℃から17℃程にまで上昇する朝のライドでの印象はそれぞれで異なった。

まず、ミッドシーズンでウェアに悩む典型的なサイクリストである藤原としては、薄手起毛ジャージとベースレイヤーがどれほどまで快適なのか不安を持ちつつ、テストウェアに身を包み家から飛び出した。

高めかつフィット感に優れる襟で防風性を確保した
非常にしなやかな生地が採用されている


アームホールの形状も秀逸で、非常に優れたフィット感を実現する
袖口はカットアウトされているため非常に快適なフィットとなっている



顔、膝と脛周り、手のひら、ウェアに守られていない部分にひんやりとした空気があたり、十分に肌寒い日であることが伝わる。一方で起毛ウェアに覆われている部分は、しっかりと暖かさを感じられたので、ニーウォーマーなどを追加せず、意を決して走り出した。気温13℃のことだった。

走り出して走行風を受けるとヒンヤリとした風がウェアを突き抜けてきて、通気性の良さを実感する。主に腕部分にそれを感じ、体幹部分は発熱も相まって心地よさがあった。ライドコースにある小高い丘に差し掛かり、否が応でも運動強度が高まり走行スピードが落ちると、ウェアの保温性が通気性に勝り、若干の暑さを感じ始める。気温は15℃前後。

バックポケットも深く作られている

クライマレンジ2/3に設定されている

その暑さを感じたままダウンヒルに差し掛かって冷風を強烈に浴びても、ウェアが蓄えた熱が体を守ってくれるため至って快適な状態となる。下り終わると再び心地よい環境が整う。その後は息が上らない程度にマイペースを保ち、気温が上昇する中で淡々とライドをこなしたが、保温性がストレスになることはなかった。

一方、常に運動強度高めのペースで走り続ける高木にとって同じ組み合わせは若干保温性優位に感じたという。13℃ほどの屋外に出たその時点では保温性に心地よさを感じるほどだが、ライドを開始して程なくウェアの暖かさが際立ち、高木にとってこのジャージはもう少し冷え込んでからが活躍する時期のようだ。

二人とも気温17℃からは暑く感じることがあるため、ベースレイヤーを夏用に切り替えるのは一つの手だろう。もちろん感じ方には個人差があるため、自分の好みを把握することがウェア選びには大切になりそうだ。

アソス ASSOSOIRES SPRING FALL LS SKIN LAYER

ジャージに合わせた袖周りの設計
薄手ながら保温性に富むことが特徴だ



もう一点ウェアのレイヤリングで考慮したいのは目的地の気温。正確な気温の動きを頭に入れるというよりは、自宅より寒くなりがちかどうかの勘所をつけておきたい。特にヒルクライムなどで標高を上げていく際は、運動強度が上がっていても、気温が下がれば、結果として快適な状態が維持される可能性があるためだ。

その点を考慮してもMILLE GT長袖ジャージは気温10〜15℃±2℃前後がベストシーズンなのだと思う。それ以上気温が高くなる場合はのんびりマイペースで走る方におすすめ。これ以上寒くなる場合は通気性の影響で冷えすぎてしまう可能性があるため、防風レイヤーなどをチョイスすればこのジャージを活かせる季節の幅は広がるかもしれない。

ベースレイヤーで調整しきれなくなった冬本番では、CLIMA CODE 3/3のシェルが登場する。シェルもレイヤリングを基本としているため、ベースレイヤーの基本的な構成は変わらない。いくつかウェアを買い足していくことで、数年後には完璧なレイヤリングシステムが完成し、全ての季節どんと来いのワードローブとなってくれるはずだ。

パネル枚数を抑えフィット感を高めている

そして起毛ビブショーツ。藤原は気温13℃、肌が露出している部分に寒さを感じる場面でも、ビブショーツで覆われている部分は一切冷えている感覚はない。そして走り始め、運動強度が高まった瞬間、気温が高くなった時、どのシチュエーションを切り取っても、ビブショーツ部分に暑さを感じられず、非常に素晴らしい快適性を提供してくれた。

高い競技レベルに向けた運動強度で走る高木にとっては、気温10℃くらいからが本番の季節だという。気温が15℃を超えるシチュエーションにおいては長袖ジャージと同様に、体温が温まり始めたらオーバースペックに感じるとのこと。総合すると気温15℃前後は運動強度次第だが、それを下回る時は起毛ビブショーツが活躍する。

程よい起毛で暖かさを提供する
MILLE GTS CSインサート


パッドの前方はパンチングが施されている
13mm厚のパッドによって高い快適性を実現する



そして起毛ビブショーツは東京都内や神奈川など都市部であれば秋から春にかけてのオールシーズンで使えることが魅力だ。もちろんニーウォーマーやレッグウォーマーを追加していく必要があるものの、最も風が当たりやすい部分で生地が重なることで、冷風の影響を受けにくくなるため、特別に防風レイヤーなどがなくとも快適に過ごせるということだ。特に防風素材のつっぱり感が苦手な方には良い選択肢となるだろう。

ただ厳冬期の峠などで気温が大きく下がるような場所、足を止めて冷風を受け続けるダウンヒルが組み込まれたルートの場合は、万全な防寒対策を講じた方が吉なのは間違いない。

肩紐が二つのパーツに分けられ、フィット感とホールド力を高めた

zeroPressure Waistで圧迫感を軽減する腹部

ここまでシチュエーションや組み合わせるアイテムによって対応できる状況も変化すると紹介してきたが、ウェアを重ねても違和感のない着心地を実現できるのは全てを開発するアソスだから。特にトップスとベースレイヤーは縫い目の位置まで重ね着することを前提として設計されており、着用した際に肩周りがごわつかないようになっている。

さらに各アイテムが非常に柔軟性と伸縮性に優れているため、体を優しく包み込んでくれるようなフィット感をもたらしてくれる。特に生地が厚くなり着心地にも影響しやすい秋から冬にかけてのウェアだが、MILLE GT長袖ジャージとMILLE GTS起毛ビブショーツいずれも体の動きに追従してくれるため、非常にストレスフリーに着用できるモデルだった。

アソスの新モデルMILLE GT SPRING FALL LS JERSEY C2

目の前に迫る朝は寒く、日中も気温は上がるが20℃までは到達しないという秋本番は、この2つのウェアとベースレイヤーを着込めばライドも億劫にならない。紅葉が美しい今だからこそ、快適なウェアに身を包みサイクリングを楽しんでもらいたい。



アソス MILLE GT SPRING FALL LS JERSEY C2
クライマレンジ:SPRING FALL 2/3
サイズ:XS / S / M / L / XL / XLG / TIR
カラー:Black Serises、Torpedo Grey、Stone Blue、Turquoise Green、Bolgheri Red
価格:29,920円(税込)

アソス MILLE GTS SPRING FALL BIB SHORTS C2
クライマレンジ:SPRING FALL 2/3
サイズ:XS / S / M / L / XL / XLG / TIR
カラー:Black
価格:29,930円(税込)

アソス ASSOSOIRES SPRING FALL LS SKIN LAYER
クライマレンジ:SPRING FALL 2/3
サイズ:0(XS-S) / I(M) / II(L-XL) / III(XLG-TIR)
価格:17,930円(税込)
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