グルパマFDJと共に世界最高峰のレースを戦うラピエールのフラッグシップレーサー"XELIUS SL3"をテスト。フレーム素材と製法から見直し、造形やジオメトリーなどにエアロダイナミクスを入れ込むことで、クライマーやパンチャーの味方となるオールラウンド性能を手に入れた一台を紹介しよう。



ラピエール XELIUS SL3 FDJ photo:Makoto AYANO / cyclowired.jp

ツール・ド・フランスやパリ〜ニース、パリ〜ルーベなど伝統的なロードレースをいくつも有するフランス。イタリアやベルギー、オランダと肩を並べる自転車大国としてロードレースには欠かせない存在であり、トップチームから地域クラブに至るまで無数のチームと選手を抱えている国だ。

そんなフランスのトリコロールをチームカラーとして彩り、フランス国民からの大きな期待を背負っているUCIワールドチームがグルパマFDJだ。フランス企業による手厚いサポートを受けるグルパマFDJは、2002年よりフランスのバイクブランドであるラピエールに乗って世界最高峰レースを戦い、共にバイクを開発することで栄光の歴史を築き上げてきた。

シートステーがトップチューブに接続される設計によって快適性を高めている
ヘッドとフォーククラウン部分もエアロに配慮した造形が採用される
フォークもエアロプロファイルへと進化した



今回ピックアップするXELIUSシリーズは、2010年の登場以来グルパマFDJと激戦を共にしてきた。XELIUS EFIを経て現在のXELIUS SLシリーズへと進化を遂げたのは2015年のこと。XELIUS SLはチームを代表するヒルクライマーのティボー・ピノと共に何度もツール総合制覇に挑み、その中で我々の印象に残る勝利を収めてきた。

2021年のツールで未発表の新型として3代目XELIUS SLが投入されたのち、ダヴィド・ゴデュら次世代のエースを支える一台として正式なローンチが行われた。テストの機会を得たのは、そのグルパマFDJの選手たちが乗るフラッグシップグレードの"XELIUS SL FDJ"。第2世代までULTIMATEと呼ばれていたグレードだ。

シートチューブからシートステーが独立することで快適性と剛性のどちらも向上している
オリジナルステムでフル内装システムを実現する


ダウンチューブもカムテールデザインでエアロを高める
エアロを意識したフロント周り



XELIUS SL3では、ラピエールが持つカーボンテクノロジーの中でも最新鋭かつ最高の技術UD SLI(スーパーライトイノベーション)が用いられている。これはカーボンフレーム成形時に使われるブラダーに硬質なポリプロピレン素材を使用することで、レイアップされたカーボンへ均一な圧縮を加えることが可能となり、不要な樹脂削減による軽量化と、完成時に狙った性能を出しやすくなっている。

トレカのIM T800、HM M40J、VHM YS60、T1000といった軽くて強いカーボン素材と相まって、Mサイズで725gという軽量性を実現した。もちろん先述の通り最先端技術と、大型なダウンチューブや1.5インチベアリングを備えたヘッドチューブ、マッシブなボトムブラケットなど形状の設計によって、プロのパワーを効率的に推進力に変換する剛性も手に入れている。

ペダリング効率を高めるボトムブラケットシェル
パワーメーター用のマグネット装着エリアが設けられている



もちろんXELIUSの特徴でもある3Dチューブラーテクノロジー(シートステーがトップチューブに直接接続される設計)によって、リアホイールが受けた衝撃に対する柔軟性確保や、シートステーとトップチューブの接合面積の拡大が生み出すねじれ剛性向上を果たす設計は、第3世代にも受け継がれている。

XELIUS SL3の大きな変更点は、エアロダイナミクスを大きく取り入れていること。各チューブをNACAとカムテール形状に成形することはもちろん、風が最初に当たるフォークとヘッドチューブの設計を改善し、ブレーキラインとホースを完全に内装するシステムを導入した。

結果としてSL2に対して40km/h走行時に7ワット(1%)、50km/hで12ワット(7.5%)、60km/hで22ワット(8.5%)もの空気抵抗削減に成功している(*正面からの風)。さらにヨー角(斜め方向)がついた風でもエアロ向上を果たしており、50km/h走行時に10°の風を受けた場合は15ワットを削減している。

丸型断面のシートポストを採用するトラッドな作りだ
3DチューブラーシステムはXELIUSの特徴の一つ
エアロ形状となったヘッドチューブ周り



さらに、XEILUSよりも一足早くモデルチェンジを迎えたAIRCODE DRSで取り入れられた新しいジオメトリー設計もXELIUS SL3に採用。リーチを長めに設計することで、これまでよりも低いエアロポジションをとることが可能に。そのため近年の勝負所となるダウンヒルでもアドバンテージを得られるバイクに進化した。

ティボー・ピノ、ダヴィド・ゴデュ、マデュアス・ヴァランタンらオールラウンダーと共に世界最高峰のレースを戦う新型XELIUS SL3。ついに日本国内に上陸したフレンチ・オールランドレーサーの実力を、東京の老舗プロショップなるしまフレンドの小西裕介が迫る。



―インプレッション by 小西裕介(なるしまフレンド)

「まさにピュアレーサー。どのような加速にも対応する素晴らしい一台」

「まさにピュアレーサー。どのような加速にも対応する素晴らしい一台」小西裕介(なるしまフレンド) photo:Makoto AYANO / cyclowired.jp

乗り出した瞬間から剛性の高さと、それに起因する加速の素晴らしさを感じられるクオリティの高いバイクでした。ダンシングとシッティングのどちらでもフレームの軽快さを感じられ、どのスピード域からでも加速、減速をリニアに反応してくれる。まさにピュアレースバイクという印象でした。

前モデルのリムブレーキにも試乗したことがあるのですが、今作はそれ以上にリアバックが硬くなっているように感じました。フレーム自体は剛性が高いのですが、ホイールやタイヤなど全体を含めて考えてみると丁度良い塩梅に整えられています。それは近年ワイド化するホイールとタイヤのリム幅、タイヤ幅の影響もあるのでしょう。昔と比べると足回りの快適性が高まっていますからね。

最近はその足回りの性能に引っ張られてしまうフレームがある中で、XELIUS SL3はフレームの性能がそれに負けていません。リアバックの剛性の高さによってダンシングの時に大きく自転車を左右に振ってもリニアにバイクが反応してくれて、とても印象的でした。

XELIUSというと、グルパマFDJのクライマーたちが頭に思い浮かびますが、スプリントしてもフレームが捩れる感覚がなかったのでパンチャーにもぴったりだと思います。レースの最後にトレインから発射してスプリントをかけるようなシーンではピュアなエアロロードに分がありますが、癖のない乗り味のXELIUSは幅広いライダーが好きになるバイクだと思います。

「フレームの剛性感の高さが際立つ」小西裕介(なるしまフレンド)

フレーム剛性が高いバイクは最も進ませやすい入力ポイントが狭い傾向にあり、その分スキルが求められます。しかし、ペダリングのリズム感を習得すると気持ちよく加速するバイクがある。XELIUS SL3はまさにそれです。このバイクのリズム感をつかめれば、一定のペースでの登坂でもスピード感が光りますし、勾配の変化があるヒルクライムで攻勢に出ることができるバイクだと思いました。

今回は強風の中でのテストとなりましたが、決してハンドルを取られるようなことはなく、安定性や高いエアロ性能も感じることができました。しかしやはりこのバイクは軽いハンドリングが特徴なので、直進安定性が高いバイクではありません。なので初心者の方が乗ると不安に感じるシーンもあると思いますが、ある程度経験をつけさえすればこのクイックなハンドリングは味方になってくれるでしょう。

XELIUS SL3が国内のレースで光るのは周回サーキットのコースで、絶えずスピードの上げ下げがあるような状況じゃないでしょうか。合わせるホイールは硬すぎず、癖のないものが良さそう。レースで優勝を目指す方にぴったりなバイクでした。

ラピエール XELIUS SL3 FDJ photo:Makoto AYANO / cyclowired.jp

ラピエール XELIUS SL FDJ FRAME KIT
フレーム:New Xelius SL Disc thru axle UD Superlight carbon (Team Layup)
フォーク:New Xelius SL Disc thru axle UD Superlight carbon
ヘッドセット:Acros integrated + Xelius Acros Spacer
ハンドルバー:Lapierre UD carbon, Width: 400mm (XS/S), 420mm (M/L)
ステム:Lapierre, -5,7°, Ø: 31.8mm, L: 90mm (XS/S), 100mm (M), 110mm (L)
サイズ:44、46、49、52
カラー:FDJ
価格:561,000円(税込)



インプレッションライダーのプロフィール
小西裕介(なるしまフレンド)
小西裕介(なるしまフレンド)

なるしまフレンド神宮店メカニックチーフ。長年実業団登録選手として活躍し、国内トップレベルのレーサーとしてホビーレースで数多くの優勝経験を持つ。レース歴は20年以上に及び走れるスタッフとして信頼を集めながらもメカニックの知識も豊富で、走りからメカまで幅広いアドバイスをお客さんに提供する。

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text:Gakuto Fujiwara
photo:Makoto AYANO
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