32歳のティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)が2023年シーズン限りでの引退を発表した。同選手はイル・ロンバルディア制覇や3大グランツールすべてでの区間優勝を果たし、数年に渡る不調の末、昨年4月に1007日ぶりの勝利を挙げた。



現役引退を発表したティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) photo:Équipe Cycliste Groupama-FDJ

「何年も前から慎重に考えた末の決断だ。いまは引退後の出会いや発見が楽しみでしょうがない。だが同じぐらい現役ラストイヤーに向けてワクワクしている。シーズンが始まる前にもかかわらず、これほどモチベーションが上がることは滅多にない。だからこそ格好よく終わりたい」と、2023年シーズンで現役を退くティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)は語った。

ピノは1990年生まれの32歳。フランス人クライマーとしてこれまでジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャという3大グランツールの全てで区間優勝を達成し、2018年イル・ロンバルディアでは前年王者ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)を突き放し勝利した。

弱冠22歳で2012年ツールの山岳ステージを制して以降、2014年大会では総合3位とフランス期待の星として注目を集めたピノ。だが、その後は度重なる怪我や体調不良で思うような結果を出せず、2019年ツール以降は勝利から遠ざかっていた。しかし2022年のツアー・オブ・ジ・アルプス第5ステージで実に1007日ぶりの勝利を掴み、ツール・ド・スイスでも区間優勝を挙げ、復活を印象づけた。

昨季は1007日振りの勝利を含む2勝を挙げたティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) photo:CorVos

グルパマFDJはピノの引退発表を受け、マルク・マディオ監督のロングインタビューを掲載。「引退について語り合うことはなかったものの、彼の心に空白が出来ていることは感じていた。推測するにティボーは2022年の半ばに決断したのだと思う。だからシーズン終了時にティボーから引退を告げられても驚かなかった。”その時が来た”と思っただけだ」と、素直な感情を表している。

今シーズンのピノはエトワール・ド・ベセージュ(2月1日〜)でシーズン開幕を迎え、その後はティレーノ~アドリアティコなどステージレースを転戦する。その後はツール・ド・ロマンディ(4月25日〜)を挟んでジロ・デ・イタリア(5月6日〜)に出場する予定だが、現時点でツール・ド・フランスのメンバーには入っていない。

2022年ツール・ド・フランスに出場したティボ・ピノー(フランス、グルパマ・エフデジ) photo:Makoto AYANO

2010年のプロデビュー後、グルパマFDJ一筋で14年目のシーズンに臨むピノ。「今年はいままで通り全力を尽くし、ベストな成績を目指す」と引退発表を締めくくった。

text:Sotaro.Arakawa

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