3日前のミラノ〜トリノでワンデーレース初優勝を飾ったばかりのティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)が、ついに五大モニュメントのひとつイル・ロンバルディアを制した。上りで何度も攻撃を仕掛け、ニバリと逃げ5位に終わった昨年大会のリベンジを達成した。



世界選手権覇者アレハンドロ・バルベルデがアルカンシェルをお披露目する世界選手権覇者アレハンドロ・バルベルデがアルカンシェルをお披露目する photo:CorVos
例年より1週間遅れ、10月13日(土)に開催された第112回イル・ロンバルディア。その名の通りイタリア北部ロンバルディア州を舞台に、ベルガモからコモまでの241km、獲得標高が約4,000mにのぼる過酷な「落ち葉のクラシック」に168名の選手たちが挑んだ。天候はスタートからフィニッシュまで快晴。コモ湖の美しい湖水に黄色い落ち葉が舞い散る。

ディフェンディングチャンピオンのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)ディフェンディングチャンピオンのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:CorVosアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がスタートにつくアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がスタートにつく photo:CorVos


世界選3位のマイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)も期待の存在世界選3位のマイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)も期待の存在 photo:CorVos世界チャンピオンのバルベルデをアルベルト・コンタドールが祝福する世界チャンピオンのバルベルデをアルベルト・コンタドールが祝福する photo:CorVos


ミラノ〜サンレモ、ロンド・ファン・フラーンデレン、パリ〜ルーベ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュと同格の「モニュメント」のひとつであり、最高のステイタスを誇るクラシックレースだ。ディフェンディングチャンピオンのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、世界選手権の優勝者アレハンドロ・バルベルデ、2位のロマン・バルデ(アージェードゥーゼル・ラモンディアル)、3位マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)ら世界戦上位メンバーも勢揃い。豪華メンバーが欧州最終戦に臨んだ。

秋の深まるロンバルディア地方へと進んでいくプロトン秋の深まるロンバルディア地方へと進んでいくプロトン photo:CorVos
コースレイアウトは昨年とほぼ同じだが、今年は最終盤ラスト8〜5km地点にあったサンフェルモ・デッラ・バッターリアが地すべりのためカットされ、代わりにフィニッシュ前3kmで頂上を迎える「モンテ・オリンピノ」が新たに加わった。レース終盤に迎えるマドンナ・デル・ギザッロ、最大勾配27%の激坂コルマ・ディ・ソルマーノ、チヴィリオの3つの山がポイントになることには変わらない。昨年は最終盤チヴィリオまで優勝争いのライバルたちのお見合いが続いたが、終盤の難易度がやや下がったことで、レースは早めに動くことが予想された。

序盤のガッロ峠までに形成された逃げグループ。若手選手が中心となり先行する序盤のガッロ峠までに形成された逃げグループ。若手選手が中心となり先行する photo:CorVosベルガモからロンバルディアの山岳地帯へと進行していくプロトンベルガモからロンバルディアの山岳地帯へと進行していくプロトン photo:CorVos


レースの前半からフロリアン・セネシャル(フランス、クイックステップフロアーズ)やヨナタン・レストレポ(コロンビア、カチューシャ・アルペシン)を含む8名の逃げ集団が形成。そしてレースが大きく動き始めたのはメイン集団がマドンナ・デル・ギザッロ(距離8.58km/平均6.2%/最大14%)の上りにさしかかり始めた、残り70kmを切ってから。逃げ集団では遅れる選手が出はじめ、メイン集団では有力選手たちが集団前方に早くも顔を出すようになった。

美しいコモ湖に山岳の岩肌が秋の晴天に映える美しいコモ湖に山岳の岩肌が秋の晴天に映える photo:CorVos
マドンナ・デル・ギザッロ教会へ向かう上りを利用して、残り68kmで逃げ集団からウンベルト・オルシーニ(イタリア、バルディアーニCSF)が飛び出すと、マイケル・ストーラー(オーストラリア、チームサンウェブ)とフランク・ボナムール(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)が反応。アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、バルディアーニCSF)が2kmほどして追いつき、すでにレストレポとセネシャルが遅れて6名になっていた逃げ集団は4名に数を減らす。

サイクリストの守護神マドンナ・デル・ギザッロ協会を通過するプロトンサイクリストの守護神マドンナ・デル・ギザッロ協会を通過するプロトン photo:CorVos
後方のメイン集団ではヤン・ヒルト(チェコ、アスタナプロチーム)が集団から抜け出して逃げ集団を追いかける。前からは逃げ集団からこぼれていたマルコ・マルカート(イタリア、UAEチームエミレーツ)が、後ろからはメイン集団を抜け出したジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が残り61kmでヒルトに合流。そのままヘイグが前に出て集団を牽くが、マルカートはついていけない。ヘイグはそのあとヒルトも置き去りにし、単独5位に浮上。

ラストレースとなるフランコ・ペリツォッティ(バーレーン・メリダ)がメイン集団を牽引するラストレースとなるフランコ・ペリツォッティ(バーレーン・メリダ)がメイン集団を牽引する photo:CorVosソルマーノでアタックしたプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)ソルマーノでアタックしたプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) photo:CorVos


オルシーニが再びアタックして、単独先頭でマドンナ・デル・ギザッロ教会前を通過。下り区間では上りで置いていった3選手と合流して再び先頭は4人に。後方のロットNLユンボが牽くメイン集団では残り51kmでヘイグを吸収し、ペースを上げる。この時点での逃げ集団とのタイム差35秒をわずか1kmで埋め、ロットNLユンボのトレインが先頭集団を吸収して集団はひとつに。

ムーロ・ディ・ソルマーノに突入するプロトン。道が狭く、観客が溢れかえったムーロ・ディ・ソルマーノに突入するプロトン。道が狭く、観客が溢れかえった photo:CorVos
そのまま最大勾配27%の激坂が待つムーロ・ディ・ソルマーノ(登坂距離1.92km/平均勾配15.8%)
へ。ロットNLユンボはグループ前方にほぼ全員が集結し、ペースを強烈に上げた。ロベルト・ヘーシンク(オランダ)を先頭に、エースのプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)を前から2番目に従える。後方ではディフェンディングチャンピオンのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)率いるバーレーン・メリダが様子をうかがう。

ムーロ・ディ・ソルマーノで先行するティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)とヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)ムーロ・ディ・ソルマーノで先行するティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)とヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:CorVos
「世界で最も過酷な自転車道」「不可能の怪物」の異名をとる「ソルマーノの壁」ことムーロ・ディ・ソルマーノの上りが始まると、麓からログリッチェがアタック。バーレーン・メリダはログリッチェを追わず、フランコ・ペリツォッティ(イタリア)がニバリらのいる追走集団を一定ペースで牽引する。

頂上が近づくと残り47.5kmでニバリがアタック。ピノが反応し、ログリッチェに追いつくが、そのまま2人はログリッチェを置き去りに。ソルマーノの壁頂上を上りきる頃にはログリッチェに10秒近いタイム差をつけた。溢れんばかりの観客が詰めかけた狭い道で、バルデが山頂付近で観客と接触してストップするなど、優勝候補と目されていた選手たちにも脱落者が現れはじめる。

前を行くピノとニバリが2人で長く危険なダウンヒルへと突入する。ニバリが2度リアタイヤをスリップさせ、そのダウンヒルテクニックに陰りが見えた。

タイトコーナーが続くテクニカルな下りでログリッチェがニバリとピノに再合流したのが残り40km地点。アルカンシエルを着るバルベルデを含む追走集団から抜け出したエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)がダウンヒルで猛追し、残り32.6kmで先頭の3人に合流。強力なメンバー4人が揃う。

ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)を先頭にプリモシュ・ログリッチェ、ティボー・ピノ、エガン・ベルナルの4人がチヴィリオに突入するヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)を先頭にプリモシュ・ログリッチェ、ティボー・ピノ、エガン・ベルナルの4人がチヴィリオに突入する photo:CorVos
ベルナルが先頭集団に合流すると、追走集団でもアタックが活発になりはじめる。まず世界選ロード3位のマイケル・ウッズとディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング)が飛び出した。追走集団は吸収とアタックを繰り返すが、前に追いつくような決定的なアタックは決まらない。先頭4人とは45秒前後の差をキープし続ける。

残り30km、先頭4人のなかでピノとニバリが際立った強さを見せる。ベルナルとログリッチェも時折遅れながらも追いつき、そのまま4人で先頭をキープしたまま最終盤の勝負どころ、チヴィリオ(距離4.2km/平均9.7km/最大14%)の上りに入る。

登り始めるやいなやアタックを繰り出すピノ。ニバリはそれをマークし、離れない。ペースを上げることができないログリッチェはずるずると遅れ、ベルナルは後から追いついたものの、ピノがもう一段ペースを上げると再び離れてしまう。昨年の激闘同様、ニバリとピノの2人が先頭でチヴィリオ頂上へと向かう。

チヴィリオの上りで果敢にアタックを繰り返すティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)チヴィリオの上りで果敢にアタックを繰り返すティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) photo:CorVos
昨年と違うのはここからだった。ピノがアタックを繰り返すと、ついにニバリが離れて単独先頭に。ピノについていけないニバリはボトルの水を頭から被り、頂上を前にみるみるうちに差が広がっていく。

追走集団では残り15kmでリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)が前に。ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)らが追う。残り14kmでラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、ウラン、ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)らは追走集団に吸収。

ニバリを突き放し独走でコモのフィニッシュへと向かうティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)ニバリを突き放し独走でコモのフィニッシュへと向かうティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) photo:CorVos
2014年にロンバルディアに勝利しているマーティンがハイペースでリード。マイカが追い付き、平坦になるとさらにティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)が合流。すぐ後ろに来ていたトゥーンス、ウラン、ヨン・イサギレ、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)らが合流して、追走集団は6人に。しかしバーレーン・メリダが睨みを効かせ、協調が取れないため前の2人との差を縮めることができない。

モニュメント初制覇となったティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)モニュメント初制覇となったティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) photo:CorVos
ピノを追うペースが上がらないニバリは、並走する車両に給水を求めるゼスチャー。しかしボトルを得ることはできなかった。チヴィリオの上りでボトルの水を被ったことで、その後の給水ができず苦しんでいた。

イル・ロンバルディア初登場のモンテ・オリンピノの丘は登り区間1.7kmと短いものの平均勾配5%、ラスト4km地点が最大勾配9%というプロフィール。もしニバリと2人で競っていたなら決戦の場になっていたであろうこの丘を、単独で逃げるピノは危なげなく通過。フィニッシュ地点目前では友人とハイタッチするなど喜びを爆発させ、7回目の挑戦で初めての優勝を手に入れた。ピノはイル・ロンバルディア以外のモニュメントの出走経験がなく、これが最初のモニュメント制覇となる。

後方では丘の頂上を越え、フィニッシュまで2.6kmを残してニバリがいったん追走集団に吸収される。しかしその後の緩いダウンヒルを利用してすぐに再アタックを決め、再び単独走行に。再加速したニバリはピノから32秒差で追走グループから逃げ切り、昨年からの順位の変化を1つに留めた。

追走からは逃げ切ったヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が2位追走からは逃げ切ったヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が2位 photo:CorVosアレハンドロ・バルベルデはアルカンシェルジャージでのロンバルディア勝利はならなかったアレハンドロ・バルベルデはアルカンシェルジャージでのロンバルディア勝利はならなかった photo:CorVos


3位争いのスプリントを制したディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング)3位争いのスプリントを制したディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング) photo:CorVos
残る表彰台をめぐる争いはフィニッシュ前のスプリント勝負で決着。26歳のトゥーンスがモニュメント初の表彰台を射止めた。

ピノは言う。「モニュメントの中ではイル・ロンバルディアが一番だと思っている。ずっと勝ちたいと思っていた。調子は絶好調だったけど、ニバリを抑えて勝ったんだから特別だ。ニバリにはムーロ・ディ・ソルマーノでアタックしてくれたことを感謝してる。それが成功のカギだった。明らかに、これはキャリアの中で最も美しい勝利だった。 1つ勝てるレースを選べるとしたら、このレースだった。 これはほんとうにすごいこと。目標はチヴィリオの頂上で独走することだった。二度とダウンヒルでニバリと戦いたくはなかった」。

イル・ロンバルディアのポディウムに立つティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)、2位ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、3位ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング)イル・ロンバルディアのポディウムに立つティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)、2位ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、3位ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング) photo:CorVos

text:Akane.IKENO, Makoto.AYANO
photo:CorVos
イル・ロンバルディア2018リザルト
1位ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・FDJ)05h 53′ 22”
2位ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)+0′ 32″
3位ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング)+0′ 43″
4位リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
5位ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
6位ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)
7位ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)
8位ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)
9位ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)
10位ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)
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