ツール・ド・おきなわ市民140kmマスターズで優勝した小川剛司さん(IMEレーシング)のレポート。最終的に絞られた5人で迎えたゴールスプリント。レーシングドライバーのJPオリベイラさんを僅差で下しての勝利。3月の減量から準備したレースだった。



仲間たちに祝福される小川剛司(IMEレーシング)仲間たちに祝福される小川剛司(IMEレーシング) photo:Makoto AYANO
ツール・ド・おきなわは私にとって特別なレースで、思い入れも一番あるレースです。まずは開催してくれた関係者の皆さんに感謝します。

前回大会は同カテゴリーで8位でしたが、コロナ禍での2年間でのライドというと、ほとんどトレーニングはしていなくて、チームメンバーと時々行くランチライド程度でした。もちろんCTLも30程度まで落ち込んでいました。

今年になりレースも少しずつ開催されるようになり「なんか今年はツール・ド・おきなわが開催されそうだなぁ」と思い、逆算して身体を仕上げるにはギリギリ間に合うだろうと思う3月からトレーニングを始めました。

しかし、体重も普段65kg程度だったのが72kgまで増えていたので、まず体重を落とすことから始めようと思い、徹底的に食事管理をして1ヶ月で7kg減量しました。振り返るとトレーニングを始めた初期は体力もなく、そんなにボリュームを稼げないのでこの方法で良かったと思います。

おきなわ入りしたメンバーで軽くライドへでかけたおきなわ入りしたメンバーで軽くライドへでかけた
途中の経過を確認するためにニセコクラシックと全日本選手権マスターズにエントリー。ニセコクラシックではカテゴリー8位、全日本選手権マスターズは完走と、どちらも目標はクリア出来、残りの期間でピークまでもっていける感触はつかめました。

そこから少しずつボリュームを増やして、10月には走行距離3,000km、獲得標高30,000mと過去1番で走ることができ、2019年よりも走れている感覚はありました。

11月に入り、少しずつボリュームを落としてレースに臨むこととしました。なので今回のレースは私の中ではやることはできたので結果はどうあれ楽しみでしかなかったです。

沖縄には金曜日に入り、金曜日は学校坂からゴールまでのコースを試走。今年は大事な最終局面でのコース変更もあったので、ここはしっかり走っておけて良かったです。イメージとしては登りの距離は伸びたけど、後半は斜度もあまりなく、斜度が緩くなる前に逃げて単独になるか、番手に付けておきたい所だなぁ、という感じでした。

沖縄の海は本当に綺麗だ沖縄の海は本当に綺麗だ
土曜日は天気が悪いこともあり少し雨の止んだところで1時間程度軽く走って日曜日に備えることにしました。

レース当日、スタートは国頭村なので、ホテルのある名護からチームメンバーと車で1時間かけて移動。6時半くらいに到着、バイクをセッティングして軽くアップ。暖気程度のアップですが自分的にはこれが重要で、深部体温を38度まで上げないと強度がかかる走行をした時に辛くなるので、しっかりと暖気してスタートに備えました。スタートまではチームメイトや知り合いのライダーの方と談笑して比較的のんびりと待機。

今回の補給食は全てジェル。私は燃費が悪い方で700キロカロリー分。あとは、2RUNと、アミノ酸。ボトルは水とポカリスエットを用意。

スタート地点へ移動して整列、一応最前列でスタンバイ。ここで、前回優勝された山本裕昭さん(BONDS静岡サイクルRT)と2位の山本敦さん(SBC Vertex Racing Team)が登場。

この2人の山本さんはもちろん今回のレースでも絶対マークの2人なので要注意。あとマークしようと思う方はニセコや全日本で一緒だった、湾岸ユナイテッドの石塚さん。他にもいると思うのですが、調べきれていないのでとにかく前に位置しようと思いました。

市民140kmマスターズの先頭集団。番手に2019優勝者の山本裕昭さん(BONDS静岡サイクルRT)がつける市民140kmマスターズの先頭集団。番手に2019優勝者の山本裕昭さん(BONDS静岡サイクルRT)がつける photo:Makoto AYANO
今回自分が望む展開としては、セレクションがかかる展開で進んでいき、最後に自分が飛び出るか、少人数でのスプリントに持ち込めたら、勝ちもあるかなぁと思っていました。とにかく、逃げには乗ろうと思ってスタート。

今回はリアルスタートまで3kmほどあったので、リアルスタートから程なく普久川ダムへ。1本目、18分21秒/298w。

勾配が上がるところでは強度も上がり、勾配が下がるところだと強度も下がる感じ。

ヒカゲヘゴ繁る与那の坂を登る市民140kmマスターズの集団ヒカゲヘゴ繁る与那の坂を登る市民140kmマスターズの集団 photo:Makoto AYANO
例年よりは速いように感じるが辛くもないペースで進んでいく、やはり2人の山本さんが強く、少しペースが下がりそうになると交互にアタックをかけ、積極的にしかけてくる。集団も易々と逃すわけにはならずペースでそのまま普久川はクリア。その時すでに先頭集団は30名程度。

補給所でマスク姿でボトル飲料を手渡すボランティアたち補給所でマスク姿でボトル飲料を手渡すボランティアたち photo:Makoto AYANO
奥の区間も同じようなペースで進んでいき、2本目の普久川へ。2本目、18分41秒、291w。

ここの補給所ではチームメイトが待機しているので、ボトルの水をもらう。今回は大会側の補給が蓋付きペットボトルなので、ここでの補給はすごく助かった。

何気にKOMも狙ってはいたんだけど、2回とも山本さんに持っていかれる。自分的には脚は残しておきたかったので、その争いよりも温存することを優先に。

第2集団の先頭にはチームメイトの清水智彦(右・IMEレーシング)がいた第2集団の先頭にはチームメイトの清水智彦(右・IMEレーシング)がいた photo:Makoto AYANO
ここからが、勝負所となる後半戦。学校坂 6分1秒、316w。

この辺りでは10名ほどに減ってきた。慶佐次、コーヒー坂、有銘と、この辺りになると1009の矢島さんが積極的にペースを作る。このペースも自分にはあっていて楽ではないが、辛くもない。脚があっている走りで助かりました。

海岸線に出る頃には先頭は5名。1001山本裕昭さん、1009矢島さん、1100JPオリベイラさん(※)、1021石積さん、私の5人になっていた。(※ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラさんはモータースポーツのレーシングドライバーでSUPER GT300チャンピオン)

そこからローテーションを回し、羽地へ。少し脚が攣りかけていたが、最後なのでとにかく行こうと思い、私が1番に飛び出る、番手に山本さん、次に矢島さん。他の2名はどうやら離れたみたいだ。

しかし、300メートル程走るが全然伸びず、ここで山本さんがアタック。私と矢島さんはついていけず、ここから矢島さんのペースで登る。

しかしこちらは2人いるので、後半の斜度の緩くなる所と下りで追いつくという謎の自信はあったので、とにかく2人でいることが大事だと思った。

矢島さんはいいペースで走っていてローテを促されることもなかったのでそのままツキ位置でいると、やはり斜度の緩まったところで山本さんの姿が見えてきて、下りに差し掛かる手前で回収できた。

そこから矢島さん先頭、番手に私、次に山本さんの順番で下り、平坦へ。ここからは順番が重要なので、矢島さんからローテを促されたが拒否。そこから3人の牽制がはじまる。今思うとあそこはローテ回してゴールに近づくべきだった。お陰で離れたはずのオリベイラさんに追いつかれてしまい、すみませんでした。

スプリントを開始した小川剛司(IMEレーシング)が伸びるスプリントを開始した小川剛司(IMEレーシング)が伸びる photo:Makoto AYANO
小川剛司(IMEレーシング)の脇から現れたJPオリベイラが肉薄する小川剛司(IMEレーシング)の脇から現れたJPオリベイラが肉薄する photo:Makoto AYANO
ゴールから300メートルを少し過ぎたあたりで、私がスプリント開始。もちろん後ろの状況はわからないのでそのまま先頭でゴール50メートル付近まで。ここでいきなり居ないはずのオリベイラさんが横から出てきた。「まずい!」と思い、咄嗟にハンドルを投げて辛うじて先着。

市民レース140kmマスターズ  小川剛司が優勝市民レース140kmマスターズ 小川剛司が優勝 photo:Satoru Kato
オリベイラさんはこちらが牽制している間に追いつき、スプリントではしっかりと私の番手についていたようです。

結局、今回のレースは私が望んでいた展開で進んでいき、私が望んでいた最高の結果にすることができました。これには運が味方したくれたところも多いと感じました。ゴール後、チームメイトの手塚選手も女子国際レースで2位に入ったと聞き、喜びも2倍に。

仲間たちに祝福される小川剛司(IMEレーシング)仲間たちに祝福される小川剛司(IMEレーシング) photo:Makoto AYANO
来年のことはまだわからないけど、今回の成績に恥じない走りが出来るように、これからも楽しくトレーニングに励みたいと思います。

改めて、今回開催していただいたツール・ド・おきなわの関係者の皆様、今回レースで一緒に走っていただいた選手の皆様、いつも一緒に練習をしてくれるチームメイト、レース中サポートしてくれたメンバー、バイクを最高の状態に作ってくれたりんりん自転車館様、本当にありがとうございました。

小川剛司(IMEレーシング)

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