ツール・ド・おきなわ市民レディース50kmで優勝した南芙美子さん(Team Zenko)のレポート。辻コーチのアドバイスを受けてのプランと冷静なレース展開、そして狙った通りのゴールスプリント掴んだ勝利だ。市民210kmで3位になった夫の広樹さんとのダブル表彰台で最高のおきなわになった。



チャンピオンジャージを着た南芙美子さん(Team Zenko)チャンピオンジャージを着た南芙美子さん(Team Zenko) photo:Makoto AYANO
私は今回が2回目のツール・ド・おきなわ参戦でした。前回2019年ではロードレースにも女子だけのレースにも不慣れで、不完全燃焼のまま19位でした。それから3年間で西チャレ優勝やJBCFクリテ優勝の経験も積み、自分で展開を作る楽しさが少しずつ分かってきました。今年大会が開催されると知って、「よし、リベンジしよう!」と思いました。

エントリーリストが公開されてから、私が所属させていただいているTeamZenkoのリーダー、辻善光さんに連絡しました。

TeamZenkoの皆さんと。リーダーは宇都宮ブリッツェンやチームUKYOで活躍した辻善光さんTeamZenkoの皆さんと。リーダーは宇都宮ブリッツェンやチームUKYOで活躍した辻善光さん
辻さん曰く、女子50kmは「サイクリングして最後はスプリントで決まる」「逃げて勝てることは稀」と言われます。確かに前回もそうだったので、どう戦えば勝てるか相談させていただきました。普段は楽しく走る事を重視していてトレーニングは特にしていないのですが、大会直前にスプリントの練習会に参加させていただき、他のチームメンバーにもご指導いただきました。

トライアスリートの方々と一緒に練習会

前日の土曜に沖縄入り。雨だったのでクルマでコースを見て回る事にしました。前回スルーしたスプリント地点がどこか確認したかったのですが、看板を見つけられず、分からずじまいで少し不安が残りました。

当日は初参加で210km出場の夫に合わせ、6時前に会場に到着。自転車を置き、雨で冷えないよう車内で7時過ぎまで待機しました。朝日が昇った会場に戻ると、今秋の舞洲クリテで戦った白崎さん(今回3位)がいらっしゃいました。2015年に優勝されている心強い選手です。再会を喜び、一緒に頑張りましょうと挨拶しました。

名護市街を抜けて本部半島へ向かう市民レディース50kmの集団名護市街を抜けて本部半島へ向かう市民レディース50kmの集団 photo:Satoru Kato
レースは最前列からスタートし、接触を避けるために集団の前の方で走りました。本部大橋など狭い区間も1、2番手で安全にクリア。そして最初の勝負ポイントの水族館坂では登りの速い選手が3人ほどいるようで前に出て行きます。

この先は下りなので慌てず登り切ると、「後ろを離そう!」「回そう!」と声がかかります。今回良いなと思ったのはそういった声をかける選手らも先頭を積極的に走っていたことです。これは協力せねばと、スピードが緩みがちな下りで先頭を引きます。この時点で集団は30人以下に絞られていたと思います。

本部半島で先頭グループは徐々に絞られていく本部半島で先頭グループは徐々に絞られていく photo:Makoto AYANO
今帰仁へ向かうアップダウンでは1、2人先行した選手がおり、これが逃げにならないようブリッジ。あわよくばそのまま逃げれるかと思いましたがそんなに甘くありませんでした。笑

更にその先の今帰仁SPを狙いましたが、凄く登りの速い選手(2位の鈴木さん)に捲られてしまいました。しかもそのまま続いた登りのペースアップがきつく、私は先頭から落ちてしまいます。前に行ったのは5人程度だったでしょうか、100mくらい遅れました。

ちなみにこの鈴木さん、後から知ったのですが関東では有名なヒルクライマーだそうで、富士ヒルでも上位入賞されている方でした。SPの位置的にも、喧嘩売るんじゃなかったなと思いました。笑

本部半島の海沿いにでてローテーションを回す市民レディース50kmの先頭集団本部半島の海沿いにでてローテーションを回す市民レディース50kmの先頭集団 photo:Makoto AYANO
ここで諦めれば終わってしまうので立ち上がって踏み、その先の下りで追いつきます。そのまま先頭に出て、今帰仁通過後には12名に。海沿いの平坦区間をローテしていきます。

先頭を走っている間、沖縄の海は曇天でもエメラルドグリーンなんだなと思って束の間の景色を楽しみました。

ところが、58号線に戻るT字路で先頭を走る選手がコースミスで左折。2番手の選手も右折しながらも困惑している様子で、3番手の私は「合ってる!」と叫びながら右へ曲がります。しかしその先で先導バイクが道の真ん中で停車。危うくぶつかりかけて急ブレーキする羽目に。幸いにも落車せずに済み、クリートをはめて再スタートできましたが、終わったかと思いました。

ペースを上げる南芙美子(Team Zenko)ペースを上げる南芙美子(Team Zenko) photo:Makoto AYANO
その先のイオン坂ではペースアップされる事なく3、4番手でクリア。ゴールスプリントに向けて位置取りを開始します。

残り2kmを過ぎ、先頭に5名が横並びで走ります。私は二列目にいたので前後左右を塞がれてしまいましたが、マークしている白崎さんの後ろに着く事ができました。

残り1kmからじわじわと速度が上がっていき、500m手前で両端から飛び出していく選手が。一瞬で差が開きますが、前回の私もここで先頭でした。きっと落ちてくる。

私の前の白崎さんが前を追うように加速していき、同時に飛び出した選手が減速してくるのが見えました。加速がきつい、ここから飛び出せるのか?と弱気な考えがよぎりましたが、ここで残り距離の赤い看板が目に入ります。

ここだ。辻さんに、ここから行けと言われていた場所。行くしかない!!

市民レディースレース50km 南芙美子(tean Zenko)が優勝市民レディースレース50km 南芙美子(tean Zenko)が優勝 photo:Satoru Kato
自分を奮い立たせて前に出ます。じわじわと自分の前輪が前に出ていくのが分かりました。センサーライン直前で左右を確認しましたが、他の前輪は見えません。やった!
最後まで踏み切り、ガッツポーズしました。

走り終えると地元の仲間のご家族が迎えてくださいました。「本当に一番に帰ってきた・笑」と驚いていただけて嬉しかったです。それから荷物を受け取って一番にTeamZenkoの皆さんに優勝の報告をしました。アドバイスいただいた通りに走って勝ちました。本当にありがとうございます。

表彰式の後は市民210kmレースを走っている夫を待ちます。なんと最後の追走グループ7人に残っているようで、2位争いのスプリントでは先に仕掛けていくのが見えました。
僅差でしたが、結果は3位!!。予想していなかった順位にびっくりしました。ですが、夫は普段からとてもたくさん練習しているので、その努力が実ってくれて嬉しいです。

市民210kmで3位だった夫の広樹さんと表彰台に登って記念撮影する南芙美子さん(Team Zenko)市民210kmで3位だった夫の広樹さんと表彰台に登って記念撮影する南芙美子さん(Team Zenko) photo:Makoto AYANO
レース後は夫婦で表彰台に上がれて、最高の結果となりました。

ツール・ド・おきなわは街中の公道のど真ん中を走れる貴重なレースです。沿道では地元の方々が暖かい声援を送ってくださり、夜は国際通りで打ち上げしたのですが、店員さんもレースのことをご存じで、お祝いの言葉をいただきました。

女子国際レースで優勝した金子広美さんとチャンピオンジャージで記念撮影!女子国際レースで優勝した金子広美さんとチャンピオンジャージで記念撮影! photo:Makoto AYANO
これからもツールドおきなわが続けて開催されていくことを祈っております。応援してくださった皆様、ありがとうございました。


南芙美子(Team Zenko)