EFエデュケーション・イージーポストをサポートするPOCのラインアップから、セカンドグレードのOMNE AIR WF MIPSをピックアップ。北欧らしいデザインとトップモデルから受け継ぐ通気性、安全性を備えたヘルメットを試した。



POC OMNE AIR WF MIPSPOC OMNE AIR WF MIPS
ジャパンカップでワンツーフィニッシュを果たしたEFエデュケーション・イージーポスト。表彰台に登ったニールソン・ポーレスやアンドレア・ピッコロをはじめ、山岳賞を獲得した岡篤志や中根英登ら日本人選手も活躍し、彼らが着用していたPOCのヘルメットとアイウェアが注目されたのは記憶に新しい。

彼らが実戦で被るのはフラッグシップのVENTRALシリーズ。シクロワイアードでもインプレッションを行なっているため、こちらの記事をチェックしてもらいたい。今回は、VENTRALで証明されたPOCヘルメットの系譜を継ぐセカンドグレードOMNE AIR WFをピックアップしよう。

前頭部の開口部はサイズが大きく規則正しく並べられる前頭部の開口部はサイズが大きく規則正しく並べられる
丸みを帯びたシェルデザインで洗練された印象を与える丸みを帯びたシェルデザインで洗練された印象を与える
OMNE AIRはEFエデュケーションを共にサポートするウェアブランドのRaphaとのコラボモデルに選ばれたこともある、デザインと安全性に優れたヘルメット。丸みを帯びた形状とミニマルな通気口設計の北欧らしい見た目は、近年のトレンドであるシンプルなウェアコーディネートにぴったりだ。

帽体で目に付くところは、額部分の最も厚い部分で2.5cmという非常に肉厚のインナーシェル。コアプロテクションゾーンという考えに基づいて開発されたシェルは、前後左右どちらから力が加わっても、シェルが頭部を守ってくれるという期待を見た目からも持てるほど。ただ厚いだけではなく部分によってEPSフォームの密度を調整し、プロテクション性能と重量のバランスを整えている。

大きくPOCのロゴがあしらわれる部分がOMNE AIRの特徴大きくPOCのロゴがあしらわれる部分がOMNE AIRの特徴 JCFの公認を受けているためレースでも着用可能だJCFの公認を受けているためレースでも着用可能だ

シンプルなフィットシステムが採用されているシンプルなフィットシステムが採用されている バックルもスタンダードなものが装備されているバックルもスタンダードなものが装備されている


さらにパッドが接触する部分のシェルを低摩擦層、加えてゲル入りのパッドを装備することで、クラッシュ時の回転衝撃に対応するMIPS INTEGRAが採用された。肉厚のシェルとMIPSの2段構えで衝撃に対応するOMNE AIRのプロテクション性能は、ライダーに安全をもたらしてくれる。

OMNE AIRは名称にAIRと記載されている通り、VENTRALとOCTALの設計で得た知見をもとに通気性にもこだわって開発されている。実際の使用感としてもヘルメット内に入り込む風量は大きく、かつ勢いそのままに頭に当たるため優れた通気性を備えている印象がある。開口部は少なめだが、そのサイズの大きさや内部の溝を作り込むことで、高い通気性を発揮させているのだろう。

シェル内側の深い溝が通気性向上に貢献しているシェル内側の深い溝が通気性向上に貢献している
額部分にも溝を与えることで、熱が篭りにくくなっている額部分にも溝を与えることで、熱が篭りにくくなっている
また、シェルのサイド部分は開口部は持たず、見た目からは熱がこもりそうだが、実際は内部のエアチャネルを風が駆け抜けるため、見た目以上にサイド部分でも涼しさを感じられるのは、使ってみて驚いた点の一つだ。停車中はパッドが肉厚なことや、頭頂部を覆っている形状もあるためか熱が逃げていくスピードは穏やかな印象で、OMNE AIRは走っている時に通気性が光るヘルメットだ。

今回着用したOMNE AIRはWF(ワイドフィット)で、横幅が広く設計されたモデル。頭囲が58cmでカブトのS/Mサイズがベストフィットの典型的丸型頭を持つCW編集部員・藤原の場合は、SサイズとMサイズで印象が全く異なった。Sは55〜58cmに対応しているものの、シェルの形状はフィットしなかった。横幅は十分に広くサイズとしてはジャストフィットなのだが、頭頂部にシェルが干渉してしまい完璧なフィット感とまでは至らない。しばらく着用し続けると慣れてきたので、好みがマッチしなかったという印象だ。

大きな開口部から取り込まれる風は勢いよく頭を冷やしてくれる大きな開口部から取り込まれる風は勢いよく頭を冷やしてくれる
M(59〜61cm)サイズは形状的にはバッチリだったものの、フィットシステムのダイヤルを全て回し切っても若干のゆとりが残った。あと1ノッチ、2ノッチ分ダイヤルを回せれば完璧で、キャップを着用するならMサイズでフィットする。テストではゆとりのある状態でも乗ったのだが、大きな段差を乗り越えた時、うつむき加減のポジションをとった時でもヘルメットがズレてくることはゼロ。きつめに締めなくとも安定しているのは、ヘルメットの重量バランスが優れているからだろう。

今回のテストを受けてPOCのサイズガイドは信頼できると思うと同時に、サイズ間の狭間にいる自分が恨めしかった。サイズがフィットするライダーにとっては、長距離ライドで首に負担をかけることはないだろうし、完成度の高いヘルメットとしてライダーの走りを支えてくれる。ぜひ一度取扱店でフィット感を試してもらいたいと感じるヘルメットだった。

後部の通気口から勢いよく風が排出される後部の通気口から勢いよく風が排出される
ラインアップはHydrogen White、Uranium Black Mat、Fluorescent Orange AVIP、Lemon Calcite Matt、Epidote Green Metallic / Matt、Lead Blue Matt、Sapphire Purple Mattという7種類。価格は27,500円(税込)。



POC OMNE AIR WF MIPS
サイズ:S 55-58、M 59-61
カラー:Hydrogen White、Uranium Black Mat、Fluorescent Orange AVIP、Lemon Calcite Matt、
Epidote Green Metallic / Matt、Lead Blue Matt、Sapphire Purple Matt
価格:27,500円(税込)

impression:Gakuto Fujiwara
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