スウェーデンのヘルメットブランドのPOCにワイドフィットが登場。EFエデュケーション・イージーポストが使用するオールラウンドヘルメット"VENTRAL"シリーズのAIRとLITEを編集部員の高木がインプレッション。



VENTRAL AIR WF SPIN(左)とVENTRAL LITE WF(右)VENTRAL AIR WF SPIN(左)とVENTRAL LITE WF(右)
2005年にスウェーデンで設立されたPOCはスノースポーツとサイクリングを主戦場にスポーツウェアを手掛けるブランドである。POCの研究所では、素材研究者、インダストリアルデザイナー、グラフィックデザイナー、脳神経科医、脊椎損傷の研究者といった各分野の専門家がそれぞれの視点から研究を行い、ヘルメットの開発に落とし込んでいる。

POCは「全力でアスリートを重大事故から守る事」というミッションを掲げ、トップアスリートとのテストを何度も重ねながらプロテクション性能を強化し、安全性に優れた製品を開発しているという。

POCはUCIワールドチームのEFエデュケーション・イージーポストにヘルメットを供給しているPOCはUCIワールドチームのEFエデュケーション・イージーポストにヘルメットを供給している photo:Makoto.AYANO
POCは中根英登が所属するUCIワールドチームのEFエデュケーション・イージーポストにヘルメットを供給。今年のツール・ド・フランスではアルプス3連戦初日の第10ステージでマグナス・コルト(デンマーク)が逃げ切り勝利。さらに、ヨーロッパ選手権の個人タイムトライアルではシュテファン・ビッセガー(スイス)が最速タイムを叩き出し、安全性に優れながらもこれまで数多くの勝利を収めてきた空力性能にも優れたヘルメットでもある。

POCのヘルメットラインアップの中でオールラウンドモデルに位置づけられるヘルメットが"VENTRAL"だ。EFエデュケーション・イージーポストはVENTRALシリーズを使用し、平均スピードが速い平坦ステージでは"VENTRAL"、山岳ステージなどでは"VENTRAL AIR"と使い分けていた。

前面には多くの通気口を搭載前面には多くの通気口を搭載
安全性を保ちながらアウターシェルの使用量を減らし軽量化している安全性を保ちながらアウターシェルの使用量を減らし軽量化している
VENTEALシリーズは空力特性、安全性、通気性を兼ね備えたロードバイクヘルメット。スタンダードなVENTEALは一見するとエアロヘルメットに見えるシルエットで、POCのブランドロゴがプリントされ、オレンジやイエロー、ピンクなどカラフルなデザインが展開されるなど、POCらしいヘルメットである。

通常のVENTRALの通気性を高めたモデルが"VENTRAL AIR WF SPIN"である。前面と背面は通気口の形状は違うものの左右の側面と頭頂部にかけて7つの通気口があることで、より多くの空気を取り込めることで通気性を高めたモデル。

全方向に通気口を備えるオールラウンドモデル全方向に通気口を備えるオールラウンドモデル
大きな排気口を搭載する大きな排気口を搭載する
さらに、VENTRAL AIR WF SPINにはPOCが独自開発した安全技術"SPIN"が搭載されてる。インナーパッドにシリコン素材を入れることで、垂直方向と回転方向の衝撃を和らげる効果がある安全性にも優れたヘルメットである。

VENTRAL LITEはVENTRAL AIRをベースにした軽量モデルに位置づけられるロードヘルメット。安全性を保ちながらもアウターシェルの使用面積を減らし、より軽量なアジャストシステムを採用するなど、軽量化を施された軽量ヘルメットである。

POCが独自開発した技術POCが独自開発した技術"SPIN"が搭載され、安全性に優れるモデル
内側のアジャスターの位置を4段階で調整できる内側のアジャスターの位置を4段階で調整できる
どちらもワイドフィットモデルとして展開されるVENTRAL AIR WF SPINとVENTRAL LITE WF。帽体は"ワイドフィット"、つまりいわゆるアジアンフィットである。アジア人向きの形状になっており、多くの日本のサイクリストが被ることができるヘルメットとなっている。

VENTRAL AIR WF SPINとVENTRAL LITEは通気口の数は同じ数で、一見すると同じように見えるが、通気口の形状がそれぞれ異なることからヘルメット内部への空気の入りは異なる。後頭部には大きな排気口を備え、ヘルメット内部の熱気を排出してくれる。

VENTRAL AIR WF SPINの実測値:244gVENTRAL AIR WF SPINの実測値:244g
VENTRAL LITE WFの実測値:213gVENTRAL LITE WFの実測値:213g
VENTRAL AIR WF SPINはHydrogen White RacedayとUranium Black Matt、Lead Blue Matt、Zink Orange AVIPの4色展開。サイズはSサイズ(55-58cm)とMサイズ(59-62cm)。重量は230gと安全システム"SPIN"を搭載しながら軽量な仕上がりになっている。価格は33,000円(税込)。

VENTRAL LITE WFはUranium Black MattとUranium Black/Hydrogen White Matt、Granite Grey Matt、Uranium Black/Sapphire Purple Mattのモノトーンなカラー展開。サイズはSサイズ(55-58cm)とMサイズ(59-62cm)。重量はSサイズが210g、Mサイズが230gとブランド最軽量ヘルメットである。価格は38,500円(税込)。



―編集部インプレッション

編集部員の高木がVENTRAL AIRとLITEをテストする編集部員の高木がVENTRAL AIRとLITEをテストする
今回、インプレッションを担当するのは、JCLのロードレースを走るCW編集部員でもある高木。大学生の頃にレース観戦した2014年のジャパンカップクリテリウムで優勝したネイサン・ハース(オーストラリア)が着用していた水色のヘルメットに興味が沸いたのがPOCを知るきっかけとなった。

POCが日本で展開され始めたころはヨーロピアンフィットしかなく、デザインを気に入ったとしてもアジア人の頭の形に合うものはなかった。しかし、ここ数年でPOCのヘルメットのラインアップにアジアンフィットモデルが登場している。

2014年、ジャパンカップのコース試走をするネイサン・ハース(オーストラリア)とガーミン・シャープの選手たちはPOCのヘルメットを着用2014年、ジャパンカップのコース試走をするネイサン・ハース(オーストラリア)とガーミン・シャープの選手たちはPOCのヘルメットを着用 photo:Makoto.AYANO
凹凸があるダイヤルで操作しやすい凹凸があるダイヤルで操作しやすい
アジアンフィットのヘルメットと相性が良い私が普段着用するブランドやサイズは、カスクやジロ、レイザーだとMサイズ、カブトの場合はS/Mサイズ。POCのヘルメットは初めて着用するため、今回はSサイズとMサイズのVENTRAL AIR WF SPINとVENTRAL LITE WFを借り受けた。

実際にVENTRAL AIR WF SPINとVENTRAL LITE WFのSとMサイズを被ってみると、ワイドフィットのSサイズが丁度良かった。これまで多くのブランドのMサイズがジャストフィットで、POCの場合はSサイズがジャストフィット結構意外だった。また、Mサイズも深く被ることができる安心感はあったが、私は浅めの着用感となるもののSサイズを選択したい。

見比べると共通点と相違点が見えてくる見比べると共通点と相違点が見えてくる
Sサイズはジャストフィットなため、サイクルキャップと組み合わせることを考えるとサイズ選びは慎重になりたい。例えば生地が薄いキャップであればSサイズでも着用できそうだが、昔からある生地がしっかりしたサイクルキャップだと窮屈に感じるかもしれない。キャップなどを被ることを前提に考えると、冬に裏起毛のキャップや、サイクルキャップを被る使い方の場合はMサイズの方が良いと思う。

帽体の形状は日本人向きな型となっている。POCのワイドフィットではないSサイズを被った時には、私の頭頂部の左右が張り出しているため、そこが当たってしまう印象だった。被れなくはないが、違和感がある被り心地で長時間ライドすると頭が徐々に痛くなりそうな感覚。スタンダードなモデルからワイドモデルに変えると、頭が綺麗に収まる帽体で日本人の頭でも綺麗に包み込んでくれるフィット感だった。

日本人の頭にもフィットする日本人の頭にもフィットする
他のブランドのヘルメットは後頭部から締め上げていくので、額の付近が痛くなることがあるが、POCの場合は額の所から締め上げていく感じで、ある程度良い当たりで引き締められる。長い距離を走っても、痛くならないのが気に入った。シェルが若干スライドするような被り心地ではあるが、使用してみて安心感がある被り心地だった。

VENTRAL AIR WF SPINにはPOCが独自開発した"SPIN"という垂直方向と回転方向の衝撃を和らげる安全技術が搭載されている。普段からロードレースやシクロクロスに参戦し、通勤などで、ほぼ毎日ライドしている筆者にとって安全性は軽視できないものであり、常に万が一の時の備えをしておきたいと思う。

エアロ性能に優れ巡航しやすいエアロ性能に優れ巡航しやすい
ヘルメット内部は通気性が良く、快適なライドができたヘルメット内部は通気性が良く、快適なライドができた
VENTRALシリーズのAIRとLITEはAIRから派生したモデルだが共通する性能は通気性の良さ。前面にある数多くの通気口から空気がたくさん入ってくる。さらに、ヘルメットの額部分にはチャンネルがあり、そこからも空気が入り込み、ヘルメット内部の溝を通って、後ろの排気口から出ていく。通気口が多く空いているヘルメットは熱がこもる感じがない。速度域が低いヒルクライムやサイクリングでも、風が抜けて熱がこもりにくいのではないだろうか。

30~40km/h巡航の際、エアロ性能に優れていないヘルメットの場合、頭を後ろに引っ張られるような感覚があるが、VENTRALはエアロダイナミクスにも優れていそうな印象だった。頭が追い風や向かい風、横風でも、空気がヘルメットを撫でるように流れてくれた。

速度域が低いヒルクライムでも快適さは健在速度域が低いヒルクライムでも快適さは健在
額のチャンネルから空気を取り込む額のチャンネルから空気を取り込む
共通点が多いAIRとLITEの違いは軽さ。LITEはアウターシェルがないところがあってむき出しになっていることからも見た目からも軽さが伝わってきた。LITEというモデル名になっているだけある。さらに、アジャスターも軽量仕様になっていた。長時間のライドをする時には首への負担が少なくて、疲労度合いが変わってくると思う。

AIRの前面にはアイウェアをセットできるグリッパーが備えられている。アイウェアのテンプルを差し込んだ時にずれにくくなっているため、普段のライドでカフェやコンビニ、道の駅などに立ち寄る時にサングラスをヘルメットにかけることが多い私にとってはお気に入りのポイントだ。

VENTRAL LITEのアジャスターは軽量仕様にVENTRAL LITEのアジャスターは軽量仕様に
レースに参戦する方にはMIPSやSPINのような安全システムが搭載されているAIRをおススメしたいレースに参戦する方にはMIPSやSPINのような安全システムが搭載されているAIRをおススメしたい
最近のバイクはエアロ性能が向上して、速度域が速くなっているので、レースに参戦する方にはMIPSやSPINのような安全システムが搭載されているAIRを搭載したヘルメットの方が良いと思う。ヒルクライム時の軽量性や快適性を求めるのであればLITEを選ぶのが良いと思う。

これまでアジアンフィットのイメージはなかったPOCだが、ワイドフィットが登場し、今回インプレッションをしてみて日本人の頭にフィットするヘルメットに進化していた。速さを追及するレーサーにも、オシャレ重視のサイクリストにもPOCのヘルメットを試してもらいたい。



POC Ventral Air WF SPIN
サイズ:S(55-58cm)、M(59-61cm)
重量:230g
カラー:Hydrogen White RacedayとUranium Black Matt、Lead Blue Matt、Zink Orange AVIP
価格:33,000円(税込)

POC Ventral Lite WF
サイズ:S(55-58cm)、M(59-62cm)
重量:210g(Sサイズ)、230g(Mサイズ)
カラー:Uranium Black Matt、Uranium Black / Hydrogen White Matt、Granite Grey Matt
価格:38,500円(税込)

impression:Michinari Takagi
リンク

最新ニュース(全ジャンル)