第16ステージの最終盤に落車し、レースを去ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)が落車後初となる公式コメントを発表。「落車はライトよって引き起こされた」とフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)を名指しで批判。一方のライトは反論している。



傷ついたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がフィニッシュを目指す傷ついたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がフィニッシュを目指す photo:Unipublic
「あってはならない落車だった。人々は1つの出来事を忘れ、すぐ違う話題に飛びつく。だが僕にとってこの出来事を忘れることはできない。このままこのスポーツが続いていってほしくない。だからここで(何があったのか)明確にしたいんだ」と、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)はユンボ・ヴィスマの公式リリースでそう語った。

「少しであれば歩ける。そんな状態であることが今はとても嬉しい。落車が起こってから頭を整理するのに時間が必要だった。自分自身に”なぜこんなことが起こったのか”と問いかけた。そして僕が導き出したのは、これが”避けられたはずの落車だった”ということだ」。

「あの落車について皆が正しい見方で見ることができたわけではない。あの落車は荒れた路面やコースの安全性の欠如によって引き起こされたわけではない。ある選手の振る舞いによって引き起こされた落車なんだ。僕は後ろに目がついているわけではない。そうであれば避けていただろう。あの時(フレッド)ライトが後ろからやってきて、僕の手をハンドルから弾き飛ばしたんだ」。

ログリッチの声明に対し、ユンボ・ヴィスマのCEOでAIGCP(チーム代表協会)の会長でもあるリチャード・プルッヘ氏は「(レースの安全性については)然るべき対処をしなければならない」と同リリース内でコメントを発表。チームとして”2023年までにワールドツアーの安全管理体制を組織するべく、1人以上の専門家を(コース管理者として)任命する必要がある”と主張した。

ログリッチに名指しで批判を受けたフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)ログリッチに名指しで批判を受けたフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
ログリッチによる名指しでの批判を受け、フレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)もチーム公式リリースで声明を発表した。「正直(ユンボ・ヴィスマによる)声明が公平だとは思えない。もちろんプリモシュ(ログリッチ)がこのブエルタでマイヨロホ獲得に挑戦していたことは評価しているものの、レース映像が示しているようにあれはレース・インシデント(競技中の起こりうる出来事)だった」と反論した。

またバーレーン・ヴィクトリアスは「チームはフレッド(ライト)を支持し、あの落車はレース・インシデントだったと確信している。残念ながら落車はこのスポーツの一部であり、選手が落車を避けるべく最善を尽くしたとしても、落車はこれが最初ではなくましてや最後になることもない」とライトへの支持を表明。

「レース映像が(危険な走行ではなかったという)事実を裏付けており、我々の選手(ライト)は自らのレーシング(走行)ラインから外れていない」と同選手の正当性を主張した。

text:Sotaro.Arakawa