2022/09/08(木) - 09:25
逃げ向きステージで大逃げ決まる。体力を絞り尽くす熾烈な登坂勝負をリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)が制し、3大グランツール全てのステージ優勝を達成した。
9月7日(水)第17ステージ
アラセナ〜モナステリオ・デ・テントゥディア 162.3km(平坦/頂上フィニッシュ)
3年連続覇者プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)のリタイア決定というニュースに揺れた第77回ブエルタ・ア・エスパーニャの第17ステージ。
ポルトガルと国境を接するエストレマドゥーラ州のアラセナからモナステリオ・デ・テントゥディアを目指す162.3kmコースはアップダウンの連続で、最後は2級山岳モナステリオ・デ・テントゥディア(距離10.3km/平均5%)を駆け上がる。ラスト5kmで標高320mを登るコースは、登坂力を備える逃げ屋向きのレイアウトだ。
総合首位レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)を先頭にアラセナを出発し、6.5kmのニュートラル走行を挟んでアタック合戦が勃発。5名がリタイアし、3名しか残っていないロット・スーダルのトーマス・デヘント(ベルギー)のファーストアタックは引き戻され、ここから1時間に及ぶアタック合戦が幕開けた。
数名のグループが先行しては捕まり、そのカウンターで数名が飛び出し続ける展開が続く。平均スピード50km/hオーバーで45分以上を駆け抜けた末に生まれたのは、リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)など、登坂力に優れた選手ばかりを含む13名グループだった。
逃げグループを形成した13名
クレモン・シャンプッサン(フランス、AG2Rシトロエン)
ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、AG2Rシトロエン)
ジーノ・メーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス)
フレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)
ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)
リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)
カンタン・パシェ(フランス、グルパマFDJ)
アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)
ローソン・クラドック(アメリカ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
ケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)
マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)
エリー・ジェベール(フランス、アルケア・サムシック)
シモン・グリエルミ(フランス、アルケア・サムシック)
逃げグループ内の総合成績最上位は14分56秒遅れ(総合12位)のウランで、クイックステップ・アルファヴィニルは7分ほどのタイム差をつけ、逃げ切りも視野に入れた集団ペースメイクを行う。第5ステージで優勝したマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)やローソン・クラドック(アメリカ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)、ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)など、今大会積極的に逃げを打ってきた選手が、残り少なくなったステージ優勝のチャンスを得るべく距離を消化していく。
中盤を過ぎても、残り50kmを切っても、残り30kmを切ってもなおタイム差は7分を維持。フィニッシュに向けて徐々に標高を上げる登り基調コースにも関わらず、逃げグループは45km/h以上のハイスピードで南スペインの山岳地帯を駆け抜けた。
AG2Rシトロエンとバーレーン・ヴィクトリアス、アルケア・サムシックが2名ずつを送り込んだ逃げグループは、タイム差7分を少し割ったリードを得て残り20km地点を通過する。すると2級山岳が始まる前の登坂区間で「僕はスプリンターでもクライマーでもないので集団を絞り込む必要があった」と振り返るクラドックがアタック。ここからステージ優勝に向けて、ここまで保たれてきた均衡は突如崩れることとなる。
クラドックは一度は捕まったものの、すぐにカウンターアタックを仕掛け、10秒ほどのリードを得て2級山岳モナステリオ・デ・テントゥディアに突入する。登坂によって絞り込まれ、ウランやクレモン・シャンプッサン(フランス、AG2Rシトロエン)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)、カンタン・パシェ(フランス、グルパマFDJ)たちに絞り込まれたグループが、牽制を繰り返しながらクラドックを追いかける。
一人アクセル全開で逃げるクラドックに対し、加速とお見合い、牽制、そして遅れたメンバーの合流を繰り返しながら追いかける2番手グループはなかなか差を縮めることができず、フィニッシュまでの距離は縮まるばかり。残り1km地点でウランとエラダがついにクラドックを捕まえ、ソレルが合流し、さらにシャンプッサンが追いつくと同時にカウンターアタック。力を使い果たしたクラドックは遅れ、シャンプッサンを捕まえた直後にエラダが一気にリードを奪う。ソレルやパシェを千切ったウランが最後の最後にエラダを捕まえ、200mを残してアタック。体力を振り絞るような我慢比べの末、なおも食い下がるエラダとパシェを振り切ったウランがフィニッシュラインに辿り着いた。
35歳になったコロンビアのスーパースターがキャリア初のブエルタステージ優勝を達成。「ジロとツールはステージ優勝しているのでこのブエルタのステージ優勝を長年追い求めていたんだ。グランツールライダーとしてこの勝利は特別。今年だけじゃなくて、ここ何年も欲していた勝利。本当に嬉しいよ」と語るウランが、2013年と2014年のジロ、2017年ツールと合わせて3大グランツール全てでステージ優勝を達成した記念すべき日になった。
逃げた13名のうち12名が逃げ切り、ハイスピードで2級山岳を駆け上がったメイン集団からは、総合7位につけていたジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が9秒先行してフィニッシュ。エヴェネプールたちはウランから5分強遅れてフィニッシュしたため、ウランは総合12位から9位へのジャンプアップに成功している。
9月7日(水)第17ステージ
アラセナ〜モナステリオ・デ・テントゥディア 162.3km(平坦/頂上フィニッシュ)
3年連続覇者プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)のリタイア決定というニュースに揺れた第77回ブエルタ・ア・エスパーニャの第17ステージ。
ポルトガルと国境を接するエストレマドゥーラ州のアラセナからモナステリオ・デ・テントゥディアを目指す162.3kmコースはアップダウンの連続で、最後は2級山岳モナステリオ・デ・テントゥディア(距離10.3km/平均5%)を駆け上がる。ラスト5kmで標高320mを登るコースは、登坂力を備える逃げ屋向きのレイアウトだ。
総合首位レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)を先頭にアラセナを出発し、6.5kmのニュートラル走行を挟んでアタック合戦が勃発。5名がリタイアし、3名しか残っていないロット・スーダルのトーマス・デヘント(ベルギー)のファーストアタックは引き戻され、ここから1時間に及ぶアタック合戦が幕開けた。
数名のグループが先行しては捕まり、そのカウンターで数名が飛び出し続ける展開が続く。平均スピード50km/hオーバーで45分以上を駆け抜けた末に生まれたのは、リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)など、登坂力に優れた選手ばかりを含む13名グループだった。
逃げグループを形成した13名
クレモン・シャンプッサン(フランス、AG2Rシトロエン)
ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、AG2Rシトロエン)
ジーノ・メーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス)
フレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)
ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)
リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)
カンタン・パシェ(フランス、グルパマFDJ)
アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)
ローソン・クラドック(アメリカ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
ケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)
マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)
エリー・ジェベール(フランス、アルケア・サムシック)
シモン・グリエルミ(フランス、アルケア・サムシック)
逃げグループ内の総合成績最上位は14分56秒遅れ(総合12位)のウランで、クイックステップ・アルファヴィニルは7分ほどのタイム差をつけ、逃げ切りも視野に入れた集団ペースメイクを行う。第5ステージで優勝したマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)やローソン・クラドック(アメリカ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)、ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)など、今大会積極的に逃げを打ってきた選手が、残り少なくなったステージ優勝のチャンスを得るべく距離を消化していく。
中盤を過ぎても、残り50kmを切っても、残り30kmを切ってもなおタイム差は7分を維持。フィニッシュに向けて徐々に標高を上げる登り基調コースにも関わらず、逃げグループは45km/h以上のハイスピードで南スペインの山岳地帯を駆け抜けた。
AG2Rシトロエンとバーレーン・ヴィクトリアス、アルケア・サムシックが2名ずつを送り込んだ逃げグループは、タイム差7分を少し割ったリードを得て残り20km地点を通過する。すると2級山岳が始まる前の登坂区間で「僕はスプリンターでもクライマーでもないので集団を絞り込む必要があった」と振り返るクラドックがアタック。ここからステージ優勝に向けて、ここまで保たれてきた均衡は突如崩れることとなる。
クラドックは一度は捕まったものの、すぐにカウンターアタックを仕掛け、10秒ほどのリードを得て2級山岳モナステリオ・デ・テントゥディアに突入する。登坂によって絞り込まれ、ウランやクレモン・シャンプッサン(フランス、AG2Rシトロエン)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)、カンタン・パシェ(フランス、グルパマFDJ)たちに絞り込まれたグループが、牽制を繰り返しながらクラドックを追いかける。
一人アクセル全開で逃げるクラドックに対し、加速とお見合い、牽制、そして遅れたメンバーの合流を繰り返しながら追いかける2番手グループはなかなか差を縮めることができず、フィニッシュまでの距離は縮まるばかり。残り1km地点でウランとエラダがついにクラドックを捕まえ、ソレルが合流し、さらにシャンプッサンが追いつくと同時にカウンターアタック。力を使い果たしたクラドックは遅れ、シャンプッサンを捕まえた直後にエラダが一気にリードを奪う。ソレルやパシェを千切ったウランが最後の最後にエラダを捕まえ、200mを残してアタック。体力を振り絞るような我慢比べの末、なおも食い下がるエラダとパシェを振り切ったウランがフィニッシュラインに辿り着いた。
35歳になったコロンビアのスーパースターがキャリア初のブエルタステージ優勝を達成。「ジロとツールはステージ優勝しているのでこのブエルタのステージ優勝を長年追い求めていたんだ。グランツールライダーとしてこの勝利は特別。今年だけじゃなくて、ここ何年も欲していた勝利。本当に嬉しいよ」と語るウランが、2013年と2014年のジロ、2017年ツールと合わせて3大グランツール全てでステージ優勝を達成した記念すべき日になった。
逃げた13名のうち12名が逃げ切り、ハイスピードで2級山岳を駆け上がったメイン集団からは、総合7位につけていたジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が9秒先行してフィニッシュ。エヴェネプールたちはウランから5分強遅れてフィニッシュしたため、ウランは総合12位から9位へのジャンプアップに成功している。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2022第17ステージ結果
1位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト) | 3:42:28 |
2位 | カンタン・パシェ(フランス、グルパマ・エフデジ) | |
3位 | ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) | +0:02 |
4位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) | |
5位 | ケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード) | +0:26 |
6位 | クレマン・シャンプッサン(フランス、AG2Rシトロエン) | +0:29 |
7位 | アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、イスラエル・プレミアテック) | +0:46 |
8位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、AG2Rシトロエン) | +0:55 |
9位 | エリー・ジェベール(フランス、アルケア・サムシック) | +1:09 |
10位 | ローソン・クラドック(アメリカ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | +1:30 |
13位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +5:02 |
14位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | +5:11 |
15位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | |
16位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +5:13 |
マイヨロホ 個人総合成績
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | 65:14:05 |
2位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +2:01 |
3位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +4:51 |
4位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +5:20 |
5位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナカザフスタン) | +5:33 |
6位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +6:51 |
7位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM) | +7:46 |
8位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン) | +9:11 |
9位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト) | +9:33 |
10位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | +11:40 |
マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) | 349pts |
2位 | フレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス) | 149pts |
3位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) | 133pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 59pts |
2位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 30pts |
3位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM) | 22pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | 65:14:05 |
2位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +4:51 |
3位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +5:20 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツ | 194:52:35 |
2位 | イネオス・グレナディアーズ | +43:16 |
3位 | アスタナ・カザフスタン | +54:47 |
text:So Isobe
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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