12速化と無線電動変速化を果たしたシマノ105と同時に発表されたカーボンロードホイール"WH-RS710"。シマノのミドルグレードでは初となるカーボンホイールをテスト。コストパフォーマンスに優れるオールラウンドホイールの実力はいかに。



シマノ WH-RS710 C32&C46シマノ WH-RS710 C32&C46
新型シマノ105と同時にデビューしたカーボンロードホイール"WH-RS710"。DURA-ACEとULTEGRAに次ぐ105グレードであり、このグレードとしては初となるフルカーボンリムを採用したチューブレスレディホイールだ。105グレードのホイールが登場したことで、今まで以上に広範なサイクリストがカーボンリムの恩恵を受けられるようになるはずだ。

105ホイールはもちろん上位グレードのテクノロジーを踏襲しており、その一つがD2という新設計のリム形状だ。リム幅が広く、独自のブレード形状により、優れたエアロダイナミクスと横剛性を確保し、走行時の操縦性、快適性、耐久性を向上させた。

リムの作りは非常に似ている一方で、用いられるスポークのタイプは異なる。上位グレードのDURA-ACEやULTEGURAはストレートプルのスポークを採用しているが、105はJベンドスポークを使用し、グレード間の違いを設けている。スポーク本数は上位グレードと同じ前後とも24本だ。

ヒルクライムシーンで活躍する軽量なC32ヒルクライムシーンで活躍する軽量なC32
上位グレードには設定のない46mmハイトのリムが105では用意された上位グレードには設定のない46mmハイトのリムが105では用意された
上位モデルは3種類のリムハイトを揃えているが、105ではリムハイト32mmのC32と46mmのC46の2種類で展開される。いずれもリム内幅が21mm、リム外幅は28mmで、推奨タイヤは25C~32Cに設定されている。レーシングタイヤはもちろんのこと、冒険心をくすぐるようなワイドタイヤまで装着可能なため、様々な場所へ足を運べるはずだ。

フリーボディは11速と12速のどちらにも対応。DI2化を果たしたシマノ105を手にしたユーザーはもちろんのこと、現在11速コンポーネントを使用しているサイクリストでも選べるホイールと言えそうだ。アルミホイールからのアップグレードに最適な存在だろう。

リムの中央には深めの窪みがあるため、ビードをセンターに寄せやすいリムの中央には深めの窪みがあるため、ビードをセンターに寄せやすい
ブレーキローターはセンターロック方式ブレーキローターはセンターロック方式 専用のチューブレスバルブが付属する専用のチューブレスバルブが付属する

Jベンドスポークを採用しているJベンドスポークを採用している
重量はC32のフロントが665g、リアが839gで合計は1,504g。C46の重量はフロントが719g、リアが893gで合計が1,612gと、同価格の他社チューブレスカーボンホイールよりもコストパフォーマンスに優れているだろう。価格はいずれもフロントが60,720円(税込)、リアが63,250円(税込)。



ー編集部インプレッション
46mmハイトの46mmハイトの"C46"は非常に優れたオールラウンドホイールだ
シマノ105のメディア発表会でWH-RS710を既に試したCW編集部の高木が、改めて2種類の105ホイールをテスト。DURA-ACEとULTEGRAのC36、C50、C60を試した経験も踏まえ、105ホイールの性能を様々なシーンで探ってみた。

まずはタイヤ装着時の印象から。普段から使い慣れているタイヤでホイールの感覚を掴もうと思い、テストタイヤにはIRC Formula Pro Tubeless RBCC(25C)をチョイスした。付け外し作業を何度もこなしてきたタイヤだが、105ホイールとの相性はバッチリで、他のチューブレスタイヤの脱着をおこなってきた経験を踏まえた上でも、タイヤ装着は容易と言えそう。これであれば、クリンチャーからチューブレスに切り替えたばかりの方でも扱いやすいだろう。

スプリントでは後ろから押し出されるように加速していくスプリントでは後ろから押し出されるように加速していく
ビード上げに関しても、ブースターやCO2ボンベを使用しなくても、フロアポンプで軽々と作業を完了できた。タイヤ作業に苦戦するタイヤやホイールも存在する中で、あっという間に作業を終えたことを考えると、チューブレスホイールとしての完成度は高そうだ。

2種類の105ホイールは同じグレードだが、それぞれでキャラクターが異なるため一つずつインプレッションを述べよう。C46はリムハイトが46mmで、重量は1,612gと中庸なモデル。上位グレードではC50の設定だが、105ではC46が用意されており、重量と剛性など様々な要素をバランスさせるために46mmハイトが開発されたのだろう。

走り出してみると、スペック上の重量のイメージから受ける走りの重さはなく、むしろ軽快に反応してくれるホイールだとすぐさまわかる。ひと踏みごとのパワーが推進力に変換されているのを実感できるほどであり、ホイール剛性の高さを窺わせる。

高い剛性、優れた重量バランスによって、コーナーを攻められる安心感がある高い剛性、優れた重量バランスによって、コーナーを攻められる安心感がある
20~40km/hの速度域での巡航ではスピードが落ちず、滑らかにバイクが進んでくれるので空力性能の良さも感じられるところ。30~40km/hの速度域からスプリントへの領域では、高い剛性も相まって、後ろから押し出されるようにスピードが乗ってくれる。平地メインで走るシチュエーションにおいてこそ、このホイールの良さを感じられるだろう。横風が吹き付ける場面でのテストも行えたが、極端にハンドルが取られることもなく、ここでもリムのエアロ性能の高さを実感した。

またテストで実感できたのは重量バランスが優れていること。高い剛性も相まってコーナーリング中にリムとハブのどちらかが負荷に耐えられなくなって引っ張られることなく、一体感を持ったままコーナーに進入、ラインキープ、脱出することができ、狙ったラインを安心して攻められた。

C46は平均時速が速いクリテリウムやロードレース、サーキットエンデューロで性能を発揮させられそうだ。同時に、20km/hほどのスピード域でも良さを感じられるオールラウンドな性能を備えているため、あらゆるサイクリストにおすすめしたいホイールだと実感した。

C32は軽量性を活かした走りが得意だC32は軽量性を活かした走りが得意だ
一方で、リムハイト32mmのC32の魅力は、C46よりも100g近く軽量な重量を活かした走り出しの軽さ。鋭角なコーナーの立ち上がりや、アタックをするような場面では爆発的な加速をしてくれそうだ。

ヒルクライムシーンは言わずもがなC32の性能を引き出せる。勾配がきつい登りに入るとついついダンシングをしてしまうが、軽量なC32は足回りに重さを感じにくく、シッティングのまま坂をクリアできる。シッティングとダンシングの切り替えもしやすく、自分のリズムに合わせてペダリングを行えるため、軽快なフィーリングのまま頂上に辿り着くことができるだろう。

リズムをとりながら軽快に登りをクリアできるリズムをとりながら軽快に登りをクリアできる
ヒルクライムでのアドバンテージは高い剛性も影響していそうだ。一定ペースを維持しつつ、程よく力をかける巡航ではホイールは撓まずに、パワーが推進力に変換されている。アタックをするようにペースアップをする走り方でも一気に加速してくれるため、レースシーンでも武器となってくれそうだ。

平地の巡航性能はC46と比較すると劣るが、レースでも使用できる十分な性能を備えているように感じる。また、横風を受けたときに、ハンドルを取られる感覚がなく、風が強い日のライドで活躍しそうだ。

エアロダイナミクスを効かせて走る平地の巡航ではC46に軍配が上がるため、巡航性も求めたい方はフロントをC46、リアをC32というミックスした組み合わせを試しても面白いかもしれない。一方で、横風が気になる方は後輪をC46としても良いだろう。

登りでも一気に加速できる軽さが武器になる登りでも一気に加速できる軽さが武器になる
DURA-ACE、ULTEGRAホイールも経験してきて思うのは、105ホイールの完成度の高さ。上位グレードはストレートプルを採用し、105ではJベンドスポークを採用している影響か、上位グレードと比較するとダンシング時にハブ周辺にやや重さを感じるが、同価格帯のホイールと並べた時は光るものがある。ミドルグレードとして、コストパフォーマンスを考えると十分な性能を実現しているホイールだ。



シマノ H-RS710-C32
フロント重量:665g
リア重量:839g
合計重量:1504g
リム内幅:21mm
リム外幅:28mm
推奨タイヤ:25-622 ~ 32-622
前輪価格:60,720円(税込)
後輪価格:63,250円(税込)

シマノ WH-RS710-C46
フロント重量:719g
リア重量:893g
合計重量:1612g
リム内幅:21mm
リム外幅:28mm
推奨タイヤ:25-622 ~ 32-622
前輪価格:60,720円(税込)
後輪価格:63,250円(税込)
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