中級山岳が続く第3ステージで総合は大きく動かず。無数のアタックの末に持ち込まれた集団スプリントで、パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)がヘイターを下し、総合でも2位まで順位を上げている。



スタートを待つヤングライダー賞ジャージのマウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル)スタートを待つヤングライダー賞ジャージのマウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:A.S.O.
ツール・ド・ロマンディ第3ステージの舞台となるのは、ヴァルブロワを発着点に周辺の丘陵地帯を巡る165.1km。合計で5つのカテゴリー山岳が登場するが、いずれも3級山岳と難易度は低く、前日と同じくパンチャーにとってチャンスとなるステージだ。

スタートから20km地点で形成されたのはレミ・カヴァニャ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)とナンス・ペテルス(フランス、AG2Rシトロエン)、クリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・プレミアテック)らワールドチーム3名による逃げグループ。一方で3級山岳が連続するこの日に、山岳賞ジャージを着るトマ・シャンピオン(フランス、コフィディス)は逃げに乗ることができず。代わりにニーランズがカテゴリー山岳のKOMを総なめにし、山岳ポイントを荒稼ぎ。シャンピオンから山岳賞ジャージを奪うことに成功した。

この日もリーダージャージのユンボ・ヴィスマがメイン集団を牽引すると、無数のアップダウンにフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)やカスパー・ピーダスン(デンマーク、チームDSM)などのスプリンターが遅れていく。そして一時は4分以上のアドバンテージを奪った逃げも、強力なユンボ・ヴィスマの牽引により残り20km地点で吸収された。

序盤から逃げたクリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・プレミアテック)ら3名序盤から逃げたクリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・プレミアテック)ら3名 photo:A.S.O.
この日もプロトンを牽引したユンボ・ヴィスマこの日もプロトンを牽引したユンボ・ヴィスマ photo:CorVos第1ステージで補給区間外で補給を受け取ったとして20秒のペナルティが課されたゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)第1ステージで補給区間外で補給を受け取ったとして20秒のペナルティが課されたゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

再びひとまとまりなったプロトンは最終山岳の3級山岳セデイユ(距離4.5km/平均4.4%)に突入。ここから集団スプリントに持ち込みたくないチームによるアタックが繰り広げられた。

まずはカルロス・ベローナ(スペイン、モビスター)が飛び出すと、そのカウンターから母国勝利を狙うジーノ・メーダー(バーレーン・ヴィクトリアス)がアタックする。しかしこれも決まらず、さらに残り3kmから仕掛けたレイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)も残り500mで吸収。勝負はアタッカーたちの思惑叶わず集団スプリントへ持ち込まれた。

マウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル)を先頭に最終ストレートに突入すると、真っ先に腰を上げたのは前日勝者ヘイターの背後についたパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)だった。抜群のタイミングで飛び出したベヴィンにヘイターは並ぶことができない。ライバルたちを寄せ付けないハイスピードを維持したベヴィンが、そのまま先頭でフィニッシュラインを通過した。

最終ストレートで先頭に立ったパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)最終ストレートで先頭に立ったパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) photo:CorVos
今季2勝目を挙げたパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)今季2勝目を挙げたパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) photo:CorVos
「優勝を争うことができるステージだと思っていた。このスプリントを狙っていたが、まさか勝てるなんて。なんて日だ。今日はずっと最終コーナーのことを考えていたんだ。だからヘイターの後ろを取り、全てが完璧にいった。信じられないほど素晴らしい勝利だ」と、チームに今年最初のワールドツアー勝利をもたらしたベヴィンは語った。

ステージ2位にはヘイターが入り、3位のデニスは4秒のボーナスタイムを獲得してリーダージャージのキープ。またベヴィンも総合7位から2位へのジャンプアップに成功している。

チームに今季ワールドツアー初勝利をもたらしたパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)チームに今季ワールドツアー初勝利をもたらしたパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) photo:CorVos
翌日の第4ステージは5つもの1級山岳が登場するクイーンステージ。最終第5ステージが個人タイムトライアルのため、首位デニスに対し攻撃するクライマーたちの動きが注目される。
ツール・ド・ロマンディ2022第3ステージ結果
1位 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) 3:53:27
2位 イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
3位 ローハン・デニス(オーストラリア、ユンボ・ヴィスマ)
4位 ディオン・スミス(ニュージーランド、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
5位 クイントン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
6位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
7位 フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ)
8位 フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
9位 ニキアス・アルント(ドイツ、チームDSM)
10位 ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、クイックステップ・アルファヴィニル)
個人総合成績
1位 ローハン・デニス(オーストラリア、ユンボ・ヴィスマ) 12:28:06
2位 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) 0:14
3位 フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) 0:18
4位 マウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:22
5位 ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス)
6位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)
7位 ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、クイックステップ・アルファヴィニル)
8位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) 0:25
9位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) 0:27
10位 マルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ) 0:28
その他の特別賞
ポイント賞 イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
山岳賞 クリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・プレミアテック)
ヤングライダー賞 マウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos