カウベルグで仕掛けたアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)に追従し、アタックを成功させたマルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)が独走勝利。24歳がアムステルゴールドレースで大金星を挙げた。



マリアンヌ・フォスの代わりにゼッケン1をつけたリアンヌ・マークス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)マリアンヌ・フォスの代わりにゼッケン1をつけたリアンヌ・マークス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVosインタビューを受ける與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)インタビューを受ける與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス) photo:CorVos
レース後半から先頭集団を形成した7名レース後半から先頭集団を形成した7名 photo:CorVos
男子がスタートを切った15分後、同じマーストリヒトを出発地点にUCI女子ワールドツアー第7戦である「アムステルゴールドレース・ウィメンズエディション」が開催された。128.5kmのコースには合計19箇所の短い登りが詰め込まれ、レース後半からはグールヘンメルベルグ(全長1.4km/平均勾配4.6%)とベメレルベルグ(全長800m/平均勾配5.2%)、カウベルグ(全長800m/平均勾配7.4%)を含む18kmのコースを3周する。

「ジェットコースター」に例えられる上下左右に曲がりくねった高難易度のレースには、與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)や昨年2位のデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)、エリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)などが顔を揃えた。一方で昨年王者のマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)は、翌週に控えたパリ〜ルーベ・ファムに集中すべく出場を回避している。

マーストリヒト郊外の周回コースを前にメイン集団から、まだこの大会で勝利のないアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)が2019年覇者カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)とフォレリングを引き連れ先行する。ここに欧州王者エレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード)やシャンタル・ブラーク(オランダ、SDワークス)などが合流し、7名の超強力な先頭グループが誕生した。

レースの半分を残し、早くも仕掛けたアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)レースの半分を残し、早くも仕掛けたアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) photo:CorVos
3年振りに戻ってきた観客の前で先頭集団はプロトンから1分のリードを奪ったものの、ローテーションが上手く回らなかったことに加え、メイン集団をUAEチームADQが強力に牽引したことによって吸収。再びひと塊となったプロトンから、2度目のカウベルグで地元オランダのパウリーナ・ローイヤッカース(キャニオン・スラム)が飛び出し、ここに昨年4位のアマンダ・スプラット(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)と落車から集団復帰したばかりのアルレニス・シエラ(キューバ、モビスター)が合流した。

ローテーションを回した3名は先頭で最後のグールヘンメルベルグを越えたものの、ニエウィアドマとシャンタル・ブラーク(オランダ)という2人の過去覇者を擁するSDワークスが猛追。ベメレルベルグを前に引き戻しに成功すると、カウベルグの登坂でファンフルーテンがこの日2度目のアタックを見せ、7名に絞り込まれた先頭集団からマルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)が飛び出した。

最後のカウベルグで再び集団からアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)が飛び出す最後のカウベルグで再び集団からアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)が飛び出す photo:CorVos
自身初のワールドツアー制覇に頭を抱えてフィニッシュするマルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)自身初のワールドツアー制覇に頭を抱えてフィニッシュするマルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ) photo:CorVos
フラムルージュ(1km)から完全なる独走体制を築いたカヴァッリに対し、後続グループは追走の協調が取れない。これまでワールドツアーで勝利のない24歳のカヴァッリが、ファンフルーテンやフォレリングなど名だたる選手たちの追走許さず、頭を抱えながら先頭でフィニッシュラインを通過した。

「素晴らしいの一言だ。先頭集団でカウベルグを越えることができた。その後集団の速度は落ち着き、チームカーから励ましを受けアタックした。実は残り50kmの地点で脚が重く、チームに”私の日じゃない”と伝えていたんだ。この勝利は周りの人々のサポートと、日々正しく積み重ねた努力が実った結果だよ」と、大金星を挙げたカヴァッリは笑顔で語った。

アムステルゴールドレース2022女子レース表彰台:3位リアヌ・リッパート(ドイツ、チームDSM)、1位マルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)、2位デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)アムステルゴールドレース2022女子レース表彰台:3位リアヌ・リッパート(ドイツ、チームDSM)、1位マルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)、2位デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) photo:CorVos
笑顔でポディウムに上がったマルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)笑顔でポディウムに上がったマルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ) photo:CorVos
一方積極的な走りでレースを動かしながらも、2位争いのスプリントで敗れ4位に沈んだファンフルーテンは「違いを作ることはできたものの、勝利に足るほどではなかった。私が勝つには小集団ではなく、カウベルグの登り口で10〜15人ほどの集団が必要なのだろう。本当はカヴァッリが見せたようなアタックがしたかった。彼女の走りはスマートかつ、勝利にふさわしいと思うよ」とレースを振り返った。

練習コースでのレースとなった與那嶺は、10分45秒遅れの107位で無事完走を果たしている。
アムステルゴールドレース2022女子結果
1位 マルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ) 3:17:41
2位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) 0:04
3位 リアヌ・リッパート(ドイツ、チームDSM)
4位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)
5位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)
6位 マビ・ガルシア(スペイン、UAEチームADQ)
7位 アシュリー・モールマン(南アフリカ、SDワークス) 0:07
8位 エリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード) 0:09
9位 コリン・ラベッキ(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)
10位 ソフィア・ベルティツォーロ(イタリア、UAEチームADQ)
107位 與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス) 10:45
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos