北イタリアで開催されたUCI女子ワールドツアー第3戦、トロフェオ・アルフレードビンダ。前回覇者ロンゴボルギーニのアシストから世界王者エリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)が集団スプリントを制圧した。



エリーザ・バルサモ(イタリア) をはじめ豪華メンバーを揃えてきたトレック・セガフレードエリーザ・バルサモ(イタリア) をはじめ豪華メンバーを揃えてきたトレック・セガフレード photo:CorVos
2週間前に開催されたストラーデビアンケに続く、UCI女子ワールドツアー第2戦がこのトロフェオ・アルフレードビンダだ。初開催が1974年とワールドツアーの中で最も歴史があるワンデーレースは、北イタリア、ロンバルディアの丘陵地帯を舞台に、コックイオ=トレヴィザーゴからチッティーリオまでの129.4kmを駆け抜ける。後半に4周するオリノ峠(距離3.6km/平均4%)の登りを含むサーキットコースが鍵を握る。

平坦基調のレイアウトのため多くのクラシックレーサーやスプリンターが集結した本大会。トレック・セガフレードからは前回大会を制したエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)とスプリンターのエリーザ・バルサモ(イタリア)が揃い、ストラーデビアンケを獲ったSDワークスは元世界王者シャンタル・ブラーク(オランダ)をエースに据えた。

レースは序盤からハイペースで進み、メイン集団から3名が抜け出しを試みるも2分以上のリードは許されない。SDワークスやユンボ・ヴィズマを中心としたプロトンが、逃げが飲み込みながら距離を消化していった。

レース後半からFDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープが展開を作るレース後半からFDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープが展開を作る photo:CorVos
この日はアシストに徹したエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)この日はアシストに徹したエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos
ひと塊となったプロトンで本格的な勝負が始まったのは、1度目のオリノ峠でブローディー・チャップマン(オーストラリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)がアタックを試みてから。

これをSDワークスが引き戻すと、続いてこの大会で過去3位に3度入っているセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)が飛び出し、スイス王者で欧州個人TT王者のエリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)らが合流して先頭集団を形成する。しかし、SDワークスによるコントロールを突破することはできず、勝負は集団スプリントに持ち込まれた。

シャンタル・ブラーク(オランダ、SDワークス)の先行で始まったスプリントだったが、伸びたのはロンゴボルギーニのアシストを受けた世界王者バルサモ。時を同じく加速したソフィア・ベルティツォーロ(イタリア、UAEチームADQ)やソラヤ・パラディン(イタリア、キャニオン・スラム)らを抑え、バルサモが右腕を天に突き上げながら先着した。

圧倒的な加速力でスプリントを制したエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)圧倒的な加速力でスプリントを制したエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos
イタリア勢がトロフェオ・アルフレードビンダの表彰台を独占イタリア勢がトロフェオ・アルフレードビンダの表彰台を独占 photo:CorVos
「マイヨジョーヌを着て、イタリアの地で勝利を挙げることができた。レース終盤で作戦をスプリントに切り替え、完璧なチームワークで勝利を掴んだ。最後の登りを先頭集団で通過することができれば、得意とするショートスプリントで勝てると思っていた。チームメイトの素晴らしいアシストに感謝する」と、24歳のバルサモは語っている。

2位にベルティツォーロ、3位にパラディンが入ったためイタリア勢が表彰台を独占。バルサモは「イタリアの重要なレースでイタリア人が活躍できたことに喜びを感じる。自分の勝利はもちろん、表彰台に上がった彼女たちに対しても嬉しい気持ちでいっぱいだ」と、イタリア勢による躍進を喜んだ。
トロフェオ・アルフレードビンダ2022結果
1位 エリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード) 3:36:29
2位 ソフィア・ベルティツォーロ(イタリア、UAEチームADQ)
3位 ソラヤ・パラディン(イタリア、キャニオン・スラム)
4位 シャンタル・ブラーク(オランダ、SDワークス)
5位 エレーナ・チェッキーニ(イタリア、SDワークス)
6位 コリン・ラベッキ(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)
7位 エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)
8位 シルヴィア・ペルシコ(イタリア、バルカー・トラベル&サービス)
9位 セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)
10位 アシュリー・モールマン(南アフリカ、SDワークス)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos