女子ワールドツアー第2戦、ロンド・ファン・ドレンテ。名物の「VAM ベルグ」を4回登るレースで、ロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)が圧倒的なスプリントを披露し、2年連続大会制覇を遂げている。



スプリントを狙うエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)スプリントを狙うエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos
3月12(土)に開催された、オランダ北東部のドレンテ州を駆け巡る女子ワンデーレースがロンド・ファン・ドレンテだ。2007年に初開催を迎えたスプリンター向けクラシックレースであり、ストラーデビアンケに続くUCI女子ワールドツアーカレンダーの第2戦に数えられている。

州都アッセンを出発するコースは155kmで、スプリンター向けといえど登坂区間が多く設けられ、小周回をx2、大周回をx1こなすレース後半には人口丘に据え付けられた名物登坂「VAMベルグ(登坂距離700m/平均6.3%/最大10.3%)」が合計4回登場する。2022年大会は折からの強風も加わったことで、ベルギークラシックらしいタフレースが繰り広げられた。

この日レースを作ったのはクラシックレースの名手SDワークスと、春先から勝ち星を重ねている好調トレック・セガフレード、そしてユンボ・ヴィスマといった強豪チーム。レース後半戦ではVAMベルグはもちろん、それ以外のあらゆる場所でアタックと吸収、更なるカウンターアタックが繰り広げられる。その中で生まれた5名の逃げグループもフィニッシュまで20kmを残して引き戻された。

トレック・セガフレードのコントロールで石畳区間を駆け抜けるトレック・セガフレードのコントロールで石畳区間を駆け抜ける photo:CorVos
VAMベルグでペースを上げるトレック・セガフレードやSDワークスVAMベルグでペースを上げるトレック・セガフレードやSDワークス photo:CorVos
残り15km地点から始まる最後のVAMベルグでは欧州王者エレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード)たちが抜け出したものの、先行する意思決定は取れずにカウンターアタックをきっかけに4名が先行。前日のレースで小集団スプリントを制したクリスティーヌ・マジュラス(ルクセンブルク、SDワークス)ら残り5km地点を16秒差で逃げたものの、スプリントを目論むメイン集団がここからペースアップを図った。

チームDSMとトレック・セガフレードの牽引でギアを切り替えたメイン集団は、粘り強く逃げた先頭4名を残り500m付近で飲み込む。クロエ・ホスキング(オーストラリア、トレック・セガフレード)が世界チャンピオンのエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)のためのリードアウトを担ったものの、3月10日のGPウーティンゲンを制したロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)が爆発的なスプリントで一気に抜き去った。

圧倒的なスプリントでロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)が勝利圧倒的なスプリントでロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)が勝利 photo:CorVos
追いかけるバルサモやロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス)を一切寄せ付けず、ウィーベスが勝利。プロトン屈指の加速力を誇る22歳が今季ワールドツアー初勝利。「今日は最後のVAMベルグの前にパンクしたけれど、チームメイトの素晴らしい働きで復帰し、その後も強力な逃げを支配下に置くことができた。次のレースが楽しみ」とチームへの感謝をコメントしている。

ロンド・ファン・ドレンテ表彰台ロンド・ファン・ドレンテ表彰台 photo:CorVos
UCIウィメンズワールドツアーのシリーズランキング首位に立ったロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス)	UCIウィメンズワールドツアーのシリーズランキング首位に立ったロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス) photo:CorVos
ロンド・ファン・ドレンテ2022結果
1位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM) 4:03:31
2位 エリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード) 0:01
3位 ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス)
4位 クララ・コッポニ(フランス、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)
5位 マルタ・バスティアネッリ(イタリア、UAEチームADQ)
6位 アリス・バーンズ(イギリス、キャニオン・スラム)
7位 キアラ・コンソンニ(イタリア、バルカー・トラベル&サービス)
8位 ニナ・ケスラー(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
9位 ジップ・ファンデンボス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
10位 サラ・ロイ(オーストラリア、キャニオン・スラム)
text:So Isobe
photo:CorVos