カヴェンディッシュや入部正太朗も所属し、2016年よりワールドツアーで戦ってきたクベカ・ネクストハッシュが2022年シーズンの参戦を正式に断念した。来季からはイタリア籍のコンチネンタルチームとして活動を継続していく。



ワールドツアーで6年シーズンを戦ったクベカ・ネクストハッシュワールドツアーで6年シーズンを戦ったクベカ・ネクストハッシュ (c)CorVos
「非常に残念なことに2022年シーズンをワールドツアーを戦う望みが絶たれてしまった。これはチームの長期的な未来を確保するために、この前例のない事態の中で世界各地で調査(スポンサー探し)した結果である」。クベカ・ネクストハッシュは12月24日に発表した公式リリースのなかでそう伝えた。

「活動当初から我々はクベカ・チャリティとともに自転車界で独自のアプローチで歩んできた。それが2022年に継続できないことは、自転車界にとっても大きな損失となるだろう」。

長きに渡りチームの代表を務め、直前までスポンサー探しに奔走したダグ・ライダー氏は「木曜日にスタッフと選手たちにこのニュースを伝えるメッセージを送った。人生の中でも辛い作業の一つだったが、それに対する皆からの返信は感動的で僕の支えとなってくれた」とコメント。「このチームで成し遂げたものは唯一無二であり、大きな目的を持って人々に良い影響を与える環境で働くことは、もはや仕事以上と言える」と語っている。

移籍初年の2016年ツール・ド・フランスで勝利するマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)移籍初年の2016年ツール・ド・フランスで勝利するマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) photo:TDWsport/Kei Tsuji
NTTプロサイクリングの一員として2020年ツール・ド・ランカウイに出場した入部正太朗NTTプロサイクリングの一員として2020年ツール・ド・ランカウイに出場した入部正太朗 (c)www.ltdlangkawi.my今年のジロ・デ・イタリアで勝利しクベカの手を表現するヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・アソス)今年のジロ・デ・イタリアで勝利しクベカの手を表現するヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・アソス) photo:CorVos

クベカ・ネクストハッシュは2007年に南アフリカ籍のコンチネンタルチームとして発足すると、2013年にプロコンチネンタルチーム(現在のプロチーム)に昇格。2016年にはメインスポンサーにディメンションデータ社を迎え、アフリカ初のUCIワールドツアーライセンスを獲得した。

アフリカの学生たちに通学用の自転車を寄付する「#BicyclesChangeLives(自転車が人生を変える)」のキャンペーンを主軸としたチームではあったものの、ワールドツアー初年度は前年にツール・ド・フランス区間1勝を含む13勝を挙げたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、現ドゥクーニンク・クイックステップ)を獲得するなど大きな注目を集め、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームトタルエネルジー)らとともに勝利を重ねていった。

2020年にはチーム名をNTTプロサイクリングに変えると、当時の日本選手権覇者である入部正太朗が加入。しかしNTTがわずか1年で撤退すると、その後長期的なスポンサーを見つけることができず、今月11日にUCI(国際自転車競技連合)が来季ワールドチームのライセンス継続を拒否して事実上の撤退が決定していた。

来年以降は「チームクベカ」としてイタリア籍のコンチネンタルチームとして活動を続け、「目標は近い将来トップカテゴリーに戻ってくること」とリリースの中で宣言し、「これからもアフリカから才能のある選手を輩出するプラットフォームになり続ける」と締めくくっている。

なお既にロット・スーダルへの移籍が決まっているヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)は、クベカ・チャリティのためワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)、マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)に声をかけ、それぞれのジャージがチャリティオークションに出品された。


text:Sotaro.Arakawa

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