リーズナブルで、使いやすく、それでいて高性能。気兼ねなく使えるグラベル/CX用カーボンホイールを探しているならば、Terra CLはあなたの有力候補になるはずだ。エントリーでもハイエンドでもないけれど、でもそのくらいがラフに走るならちょうど良い。注目すべきロヴァールのバリューモデルを試した。



スペシャライズドが打ち出すミッドレンジグラベルカーボンホイール、Terra CLを試したスペシャライズドが打ち出すミッドレンジグラベルカーボンホイール、Terra CLを試した photo:Makoto AYANO
ロード用のハイエンドカーボンホイールは世の中に溢れているけれど、グラベルライドで使い倒せる、本当に良いホイールとなると意外と選択肢は狭くなる。

なにせ、グラベルユースはロードに比べてちょっとリスキーだからだ。(怪我する程度ではなくとも)転倒する可能性はままあるし、思いがけない凹凸でリム打ちをしてしまうかもしれないし、ただ普通に走っているだけでも傷つきは避けられない。

でもその一方で、カーブを抜けたら思いがけない急勾配が現れたりするし、そもそもハイボリュームのグラベルタイヤは重たいし、できる限り足回りを軽くするのがグラベルライドを快適にする近道。だからこそ、ホイール外周部が軽く、強度があって、かつ(傷つけても惜しく無い程度に)リーズナブルなカーボンホイールが欲しいのだ。

ハイト33mm、内幅25mm/外幅30mmのチューブレスカーボンリムはCLXと共通品ハイト33mm、内幅25mm/外幅30mmのチューブレスカーボンリムはCLXと共通品 photo:Makoto AYANO
ハブはDTスイスの350。数々のホイールブランドが採用する信頼の品ハブはDTスイスの350。数々のホイールブランドが採用する信頼の品 photo:Makoto AYANOスポークはストレートプル。剛性に寄与する部分だスポークはストレートプル。剛性に寄与する部分だ photo:Makoto AYANO

テストバイクはDiverge Expert Carbon。総額70万円の完成車だテストバイクはDiverge Expert Carbon。総額70万円の完成車だ photo:Makoto AYANO
そんなニーズに向けて、ロヴァールがラインナップに据えるのがTerra(テラ)CLだ。スペシャライズドのグラベルラインナップに与えられる名称からも判る通り、グラベル/シクロクロスユースを主軸に据えたオフロード用の700cカーボンホイールであり、ラインナップとしては上位モデル「Terra CLX」の弟分で、「Terra C」の兄貴分。前後ペア重量1,400gで、税込170,500円というプライスを下げるバリューモデルだ。

リムハイト33mmで、内幅25mm/外幅30mmのチューブレスカーボンリムは上位モデルのCLXと共通で、違いはハブとスポークのみ。CLXがDTスイスのEXPラチェットを使うのに対し、CLは通常ラチェットの350を使い、スポークはストレートプルのCompetitionを使うことが相違点に挙げられる。多くのホイールブランドがOEMとして採用するDT350ハブだけに、修理対応の面でも安心と言えるだろう。



インプレッション

乗ってまず思ったのは、「ミッドレンジのグラベルホイールであってもロヴァールはロヴァール」だということだ。ロード用のCLX50やRAPIDE CLXと共通する「流れる感じ」が確かにあって、それらを所有している方ならば、「あ、これは良いね」とすぐに思えるであろう完成度の高さがTerra CLにはある。

まず感じたのはロヴァール特有の走りの軽さ。グラベル用のミッドレンジモデルでも走りは上質だまず感じたのはロヴァール特有の走りの軽さ。グラベル用のミッドレンジモデルでも走りは上質だ photo:Makoto AYANO
それを叶えているのはホイールバランスの良さだろう。ハイエンドのCLXと同じ軽量リムは剛性感に溢れ、スポークテンションの高さと相まってダンシングがとても軽く、かつスムーズだ。今回はDivergeと組み合わせた上でのテストライドだったが、ややソフトかつ直進安定志向に振った車体とのコンビネーションはとても気持ちよく、バイク全体のグレードアップに大きく貢献していた。高剛性の車体に組み付ければレーシー志向の走りになるはずだ。

リムの軽さゆえにフロントアップや抜重がしやすく、例えばインナーローを使うような急勾配登坂の凹凸で前輪が停止しかけてもクリアしやすいことにも気づいた。650bではなく(大径で慣性モーメントが大きくなる)700cにグラベルタイヤを入れることで生まれるメリットだが、そもそもこれは重たい700cホイールでは感じられない部分。加速時の「よっこいしょ感」が無いのは道のオン/オフ問わずTerra CLの大きな魅力だった。

外周部の軽さゆえ、ダンシングが小気味良い外周部の軽さゆえ、ダンシングが小気味良い photo:Makoto AYANO
42cのPATHFINDER PROタイヤも非常に好感触。ヒダ系トレッドがよくグリップしてくれる42cのPATHFINDER PROタイヤも非常に好感触。ヒダ系トレッドがよくグリップしてくれる photo:Makoto AYANO税込17万円。コストパフォーマンスは非常に高いと言える税込17万円。コストパフォーマンスは非常に高いと言える photo:Makoto AYANO


価格的にライバル製品として挙げられるのはジップの303Sや、新型アルテグラシリーズだろう。過去にテストした303Sとの比較でいえばTerra CLの方が少々走りにしなり感があり、重量面では200g以上軽い。細かく加減速を繰り返すグラベルユースならTerra CLに軍配が上がるはずだ。

Terra CLの税込17万円というプライスを考えればコストパフォーマンスは非常に高く、上位グレードのTerra CLXの後輪のみと同額ということを考えれば、CLXを買う意義すら見失ってしまうような気もする。グラベルロードやシクロクロスバイクのグレードアップには最適で、スペシャライズドによれば28mmタイヤから使用OKとのことなので、グラベルを走らないツーリングユーザーの一本としても(のちのちの走り方の変化も見据えて)強くお勧めできるホイールセットだ。

グラベルユーザーやシクロクロッサー、そしてツーリング用にも勧められる一本グラベルユーザーやシクロクロッサー、そしてツーリング用にも勧められる一本 photo:Makoto AYANO


スペシャライズド Terra CL スペック
リム:Terra CLXカーボンクリンチャー、700c、ディスクブレーキ、ビートフック、チューブレスレディ仕様
リムハイト32mm、外幅30mm、内幅25mm、ERD 577mm
ハブ: DT Swiss 350 ストレートプル センターロック、スターラチェット 歯数36t(10°)、100x12mmと142x12mm、SHIMANO ROAD11Sフリーハブ(交換可)
ベアリングタイプ:DT Swissシールドカートリッジベアリング
スポーク:DT Swiss Competition Raceストレートプル、フロント:2クロス(1:1) 24本、287mm(R)/286mm(L)、リア:2クロス(1:1)24本 284mm(DS)/287mm(NDS)
ニップル: DT Swiss Hex Prolock Al 2.0×14mm
タイヤサイズ: 28mm - 47mm、最大空気圧: 80psi( 28c-32c )、65psi( 33c-36c )、 60psi( 37c-47c )
重量: ホイールセット1,408g、 フロント: 654g、リア:754g(チューブレスリムテープとバルブを含む)
耐荷重: 125kg
付属品:Ravalチューブレステープ、チューブレスバルブ、スペアスポークとニップルキット

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