10月3日、今季のJCX開幕戦となる茨城シクロクロス第2戦取手ステージが小貝川リバーサイドパークで開催された。男子エリートは全日本チャンピオン沢田時のミスを見逃さなかった織田聖が独走に持ち込み、昨年に続き優勝。女子は渡部春雅が新女王に輝いた。
最高峰のMenEliteには81人が出走 photo:Nobumichi Komori
9月11・12日に行われた城里町うぐいすの里ステージに続く第2戦として開催された「ルノーつくば presents 茨城シクロクロス第2戦取手ステージ」。一般社団法人日本シクロクロス競技主催者協会(AJOCC)が定めるJCX=ジャパンシクロクロスシリーズの第1戦にも設定される今季の初戦だ。
この日を待ちわびていた多くの選手が出場。取手ステージ名物の芝のスロープを駆け上がる photo:Nobumichi Komori
2日前に列島を襲った台風の影響も心配されたが、コースレイアウトを一部変更して対応。当日は残暑厳しい快晴の中、464人の選手が会場に集まった。緊急事態宣言も開け、JCX開幕戦とあって関西や信州、他エリアからの遠征選手もここ茨城県取手市に集まった。
多くの飲食やメーカーブース出店でにぎやかに盛り上がった photo:Nobumichi Komori
会場にはルノーのクルマが飾られてワールドカップのような雰囲気 photo:Nobumichi Komori
茨城シクロクロスは今季のシクロクロス全日本選手権を12月11・12日にホストすることが決まっており、その点からも注目が集まる。先月まで新型コロナの感染拡大防止の観点から他のイベントが軒並み中止されてきたなか、緊急事態宣言明け最初の週末の開催で500人が参加。レースを待ちきれないシクロクロッサーたちの意気込みが伝わってくる。
小貝川沿いの河川敷にある「冒険ランド」がレース会場だ photo:Nobumichi Komori
前日までコースの一部は水没するほどだったが当日はかろうじて水が引いた。しかし泥の区間も多く、午前中のレースでは超マッドなコース状況に選手たちは苦戦した。
MenElite ライバル沢田のミスを見逃さなかった織田聖が独走勝利
MenEliteがスタート。ホールショットは中島渉(弱虫ペダルサイクリングチーム)が決める photo:Nobumichi Komori
男子最高峰のMenEliteには81人の選手が出場。前列に陣取った全日本チャンピオンの沢田時(チームブリヂストンサイクリング)、2017年全日本王者の小坂光(宇都宮ブリッツェン)、昨年の前回大会覇者・織田聖と中島渉(弱虫ペダルサイクリングチーム)らがハイペースを維持しながら主導権を奪い合う展開に。1周目を終える頃には、先頭は早くもこの4人に絞られることになった。
先頭を奪った小坂光(宇都宮ブリッツェン)がシケインをクリア photo:Nobumichi Komori
沢田時(チームブリヂストンサイクリング)と織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)の2人がリードを奪う photo:Nobumichi Komori
さらに2周目になると「今日は聖(織田)との勝負になると思っていて、2人にするまでは自分で動きたいと思っていた」とレース後に語った沢田が舗装路を含むバックストレートを中心に積極的な走りを展開。まずは中島が、続いて小坂がそのペースについて行けずにドロップし、序盤にして先頭は沢田と織田の2人に絞られた。
中島渉(弱虫ペダルサイクリングチーム)が遅れ、先頭は沢田・織田・小坂の3人になる photo:Nobumichi Komori
早い段階で2人に絞られた先頭パック。その後しばらくは2人のランデブー状態が続くなか「スタートでミスをして、その後もなかなかエンジンがかからない状態が続いていて、ようやく身体が目覚め始めた時には沢田選手が先頭の人数を絞り込んでくれていた」と織田が語った一方で、沢田は「踏みどころが多くないコースなので、後半のことを考えていかなければいけなかった」と、勝負のタイミングを探る状態。
織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)と沢田時(チームブリヂストンサイクリング)の2人になった先頭が好ペースを刻む photo:Nobumichi Komori
ミスからすぐに復帰した沢田時(チームブリヂストンサイクリング)が猛追するが photo:Nobumichi Komori
沢田のミスを見逃さずにペースを上げて引き離しにかかる織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Nobumichi Komori
残り5周、織田と競り合っていた沢田がコーナーで前輪のグリップを失って痛恨のスリップダウン。「沢田選手が前に出て踏んだのでアタックかと思って反応した自分もペースが上がっていた」という織田は沢田をパスしてギャップを作ることに成功する。沢田も転倒で曲がってしまったハンドルを修正して、すぐさまレースに復帰したものの、先行する織田に追いつくことはできず。独走態勢を築いた織田が、昨年に続いて優勝を飾った。
チャンスを見逃さずに独走に持ち込んだ織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が優勝を飾った photo:Nobumichi Komori
WomenElite 渡部春雅が独走勝利で新女王に
WEは中嶋瞳(弱虫ペダルサイクリングチーム)がホールショットを決めてレースがスタート photo:Nobumichi Komori
14人が出走したWomenEliteは、昨年まで4連覇を達成している唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が今年は女子マスターズでの出場を決めたため、王者不在の状況でスタート。
スタートで上手くペダルキャチできなかった渡部春雅(明治大学)がその後のセクションで順位を上げて先頭に photo:Nobumichi Komori
渡部春雅(明治大学)と中嶋瞳(弱虫ペダルサイクリングチーム)の2人が先頭を争いながらシケインをクリア photo:Nobumichi Komori
スタート直後から中島瞳(弱虫ペダルサイクリングチーム)と渡部春雅(明治大学)が先頭パックを形成する展開に。シューズが合わずにロードシューズでの出走を決断した渡部。序盤こそペダルキャッチに手間取る場面があったが、少しずつ対応できるようになってからは立て続けに攻撃を仕掛ける積極的な走りを披露。中盤に中島を振り切って単独になると、そのままリードを広げて優勝し、新女王となった。2位には中島、3位には矢吹優夏(B・B・Q)が入った。
圧倒の走りで独走勝利を飾った渡部春雅(明治大学) photo:Nobumichi Komori
C2優勝は後藤啓(スゴイカッコイイシクロクロスチーム東北) photo:Nobumichi Komori
CM1優勝は石川正道(Champion System Japan Test Team) photo:Nobumichi Komori
CM2優勝の川崎隼輔(ウィンディー筑波シクロクロスチーム) photo:Nobumichi Komori
マスターズに転じた唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)はWMの初代王者に photo:Nobumichi Komori
C3優勝の香山飛龍(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Nobumichi Komori
CL2+3の優勝は石川七海(Champion System Japan Test Team ) photo:Nobumichi Komori
MenU17優勝は澤井千洋(SNEL) photo:Nobumichi Komori
MenJuniorを制した高橋翔(cycleclub 3UP.) photo:Nobumichi Komori
CK3優勝は三上将醐(アスリチューン・コラッジョU) photo:Nobumichi Komori
CK2優勝は吉川世名(イオンバイクJr.レーシング) photo:Nobumichi Komori

9月11・12日に行われた城里町うぐいすの里ステージに続く第2戦として開催された「ルノーつくば presents 茨城シクロクロス第2戦取手ステージ」。一般社団法人日本シクロクロス競技主催者協会(AJOCC)が定めるJCX=ジャパンシクロクロスシリーズの第1戦にも設定される今季の初戦だ。

2日前に列島を襲った台風の影響も心配されたが、コースレイアウトを一部変更して対応。当日は残暑厳しい快晴の中、464人の選手が会場に集まった。緊急事態宣言も開け、JCX開幕戦とあって関西や信州、他エリアからの遠征選手もここ茨城県取手市に集まった。


茨城シクロクロスは今季のシクロクロス全日本選手権を12月11・12日にホストすることが決まっており、その点からも注目が集まる。先月まで新型コロナの感染拡大防止の観点から他のイベントが軒並み中止されてきたなか、緊急事態宣言明け最初の週末の開催で500人が参加。レースを待ちきれないシクロクロッサーたちの意気込みが伝わってくる。

前日までコースの一部は水没するほどだったが当日はかろうじて水が引いた。しかし泥の区間も多く、午前中のレースでは超マッドなコース状況に選手たちは苦戦した。
MenElite ライバル沢田のミスを見逃さなかった織田聖が独走勝利

男子最高峰のMenEliteには81人の選手が出場。前列に陣取った全日本チャンピオンの沢田時(チームブリヂストンサイクリング)、2017年全日本王者の小坂光(宇都宮ブリッツェン)、昨年の前回大会覇者・織田聖と中島渉(弱虫ペダルサイクリングチーム)らがハイペースを維持しながら主導権を奪い合う展開に。1周目を終える頃には、先頭は早くもこの4人に絞られることになった。


さらに2周目になると「今日は聖(織田)との勝負になると思っていて、2人にするまでは自分で動きたいと思っていた」とレース後に語った沢田が舗装路を含むバックストレートを中心に積極的な走りを展開。まずは中島が、続いて小坂がそのペースについて行けずにドロップし、序盤にして先頭は沢田と織田の2人に絞られた。

早い段階で2人に絞られた先頭パック。その後しばらくは2人のランデブー状態が続くなか「スタートでミスをして、その後もなかなかエンジンがかからない状態が続いていて、ようやく身体が目覚め始めた時には沢田選手が先頭の人数を絞り込んでくれていた」と織田が語った一方で、沢田は「踏みどころが多くないコースなので、後半のことを考えていかなければいけなかった」と、勝負のタイミングを探る状態。



残り5周、織田と競り合っていた沢田がコーナーで前輪のグリップを失って痛恨のスリップダウン。「沢田選手が前に出て踏んだのでアタックかと思って反応した自分もペースが上がっていた」という織田は沢田をパスしてギャップを作ることに成功する。沢田も転倒で曲がってしまったハンドルを修正して、すぐさまレースに復帰したものの、先行する織田に追いつくことはできず。独走態勢を築いた織田が、昨年に続いて優勝を飾った。

WomenElite 渡部春雅が独走勝利で新女王に

14人が出走したWomenEliteは、昨年まで4連覇を達成している唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が今年は女子マスターズでの出場を決めたため、王者不在の状況でスタート。


スタート直後から中島瞳(弱虫ペダルサイクリングチーム)と渡部春雅(明治大学)が先頭パックを形成する展開に。シューズが合わずにロードシューズでの出走を決断した渡部。序盤こそペダルキャッチに手間取る場面があったが、少しずつ対応できるようになってからは立て続けに攻撃を仕掛ける積極的な走りを披露。中盤に中島を振り切って単独になると、そのままリードを広げて優勝し、新女王となった。2位には中島、3位には矢吹優夏(B・B・Q)が入った。

その他クラスの熱戦の模様










茨城シクロクロス2021第2戦取手ステージ リザルト
MenElite | ||
1位 | 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) | 1時間3分29秒 |
2位 | 沢田時(チームブリヂストンサイクリング) | +25秒 |
3位 | 小坂光(宇都宮ブリッツェン) | +2分17秒 |
4位 | 斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT) | +2分51秒 |
5位 | 島田真琴(ペダル) | +3分13秒 |
6位 | 中島渉(弱虫ペダルサイクリングチーム) | |
WomenElite | ||
1位 | 渡部春雅(明治大学) | 36分43秒 |
2位 | 中島瞳(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +17秒 |
3位 | 矢吹優夏(B・B・Q) | +1分1秒 |
4位 | 福田咲絵(AX cyclocross team) | +1分10秒 |
5位 | 小田恵利花 | +3分4秒 |
6位 | 川崎路子(PAXPROJECT) | +4分6秒 |
その他クラスの優勝者 | ||
CM2 | 川崎隼輔(ウィンディー筑波シクロクロスチーム) | |
CM3 | 臼井康二 | |
MenU17 | 澤井千洋(SNEL) | |
C3 | 香山飛龍(弱虫ペダルサイクリングチーム) | |
WomenMaster | 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) | |
CL2+3 | 石川七海(Champion System Japan Test Team) | |
MenJunior | 高橋翔(cycleclub 3UP.) | |
CM1 | 石川正道(Champion System Japan Test Team) | |
C2 | 後藤啓(スゴイカッコイイシクロクロスチーム東北) | |
MenU15 | 松村拓弥 | |
C4 | 秋元碧(ブラウブリッツェン) | |
CK3 | 三上将醐(アスリチューン・コラッジョU-19) | |
CK2 | 吉川世名(イオンバイクJr.レーシング) | |
CK1 | 宮崎暖大(イオンバイクJr.レーシング) |
photo&text:Nobumichi Komori
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