2020/10/26(月) - 17:52
10月25日、茨城県取手市小貝川リバーサイドパークにおいて茨城シクロクロス2020第2戦取手ステージが開催された。エリート男子は織田聖と前田公平のワンツーフィニッシュ。女子は唐見実世子が優勝し、弱虫ペダルサイクリングチームが圧勝。新型コロナ感染防止対策を万全に実施しての開催で、470人の選手がCXレースを楽しんだ模様をレポート。
MenEliteのスタート。じつに84人がエントリー photo:Makoto AYANO
「TREK CROCKETT PRESENTS」 と冠された茨城シクロクロス2020第2戦取手ステージ。9月26・27日の2日間で行われた第1戦・涸沼自然公園野鳥の森シリーズに次ぐシリーズ第2戦めだ。一気に秋の気配が深まり雨がちの日々が続いた関東地方だが、レース当日は朝から最高の天気で迎えてくれた。ちなみに昨年大会は台風の影響で中止となり、2年ぶりの開催となった。新型コロナの問題がイベント開催に大きく影響する昨今。この対応策については主催者インタビューで紹介する。
MenEliteのスタート 関東一円のトップライダーを含め84人もの参加があった photo:Makoto AYANO
前夜の突発的な雨が路面を濡らし、朝露もあって午前中の路面コンディションはウェット&マッド。しかしその後の日照で路面は見る間に乾き、午後のエリートレースを迎える頃には例年どおりのドライ&芝路面が迎えた。平坦基調のハイスピードコース、芝と土の路面に風の影響を受ける長い平坦路も特徴だ。
好天のなか84人の選手が一斉にコースに走り出していく photo:Makoto AYANO
関東一円のトップライダーを含め84人もの参加があったトップカテゴリーのMenEliteは13時半スタート。前列から好スタートを切ったナショナルチャンピオンジャージを着た前田公平と織田 聖の弱虫ペダルサイクリングチームコンビ、そして小坂 光(宇都宮ブリッツェン)、斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)ら4人の先頭集団ができる。
小坂光(宇都宮ブリッツェン)がリードする4人の先頭パック photo:Makoto AYANO
1周目からシケインをバニーホップで飛び越えてリードする織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Makoto AYANO
やがて前田、織田、小坂の3人パックに。弱虫ペダルの2人が小坂をサンドウィッチするかたちで進行したが、2周めに弱ペ勢2人が小坂を振り切ってランデブーを開始すると、その差はみるまに広がった。
3人の後方には下がった斎藤、合田正之(AX cyclocross team)、兼子博昭(スワコレーシングチーム)、加藤健悟(臼杵レーシング)、島田真琴(ペダル)の5人が追走パックを形成する。
前田公平と織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)がランデブーで逃げ体制を築く photo:Makoto AYANO
残り2周を切って足切りされずにコース上に残った選手はわずか20人ほど。ふたりのうちどちらが勝つかは事前に決めずに周回を重ねるなか、前田がコーナーの処理をミスして遅れを喫してしまう。織田はそのまま先行し、独走で2周を走ってフィニッシュし、2018年に続く連覇を達成した。前田とのワンツーフィニッシュも2年越しでの2大会連続。
織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が連覇達成 photo:Makoto AYANO
後方の4位争いのグループは先頭交代ができるため風の影響が大きな舗装路&直線区間で有利。しかし斎藤朋寛と島田真琴が抜け出し、2人で小坂を追う。しかし小坂は差を保ったままフィニッシュして3位に。4位には斎藤を交わした島田が入った。
斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)率いる4位争いの5人グループ photo:Makoto AYANO
現況で2人実力が抜け出ていることを証明した弱虫ペダルの織田と前田。織田は昨年度のシクロクロス全日本選手権U23で優勝したが今シーズンからエリート1年目。現王者の前田とともに当然エリートの全日本制覇も視野に入ってきている。織田は今季ロードレースでもJプロツアーを走り、脚力の補強という面でも万全だ。
連覇した織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Makoto AYANO「公平さんが遅れたのはミスをしたからで、そのまま差を詰められなかったので今日は難なく勝てましたね。でも後ろのグループが人数が多かったのでロードレースのようにローテーションして追い上げてこないかはちょっと心配でした」と織田。11月29日の全日本選手権については「飯山のコースは自分的には苦手で、近年いい思い出がないのですが...」とコメント。
ミスによりチームメイトと戦わずして2位となった前田は「シケインを越えたコーナーの先に木の根っこがあって滑ってしまいました。足を着いてしまったのでそのまま行かれてしまいましたね。序盤は良かったんですが疲れてきたときに昨年までの癖のようなものが出てしまった。まだ新しいタイヤの性格を掴みきれていないので、全日本までには自分の感覚とタイヤのフィーリングを合わせていきます。飯山は苦手意識もないのでコンディションが悪化しなければ良いと思っています」とコメント。
3位の小坂は「夏の落車の影響で9月に練習ができていなかったので、高強度の練習が足りていないんです。2周めで置いていかれた後も自分では踏み続けられたので、順調に身体が戻ってきていることは感じました。悔しいけれど思ったより走れたので良かった」とコメントした。
WomenElite 唐見実世子(弱虫ペダル サイクリングチーム)が4連覇達成
WomenEliteスタート photo:Makoto AYANO
WomenEliteはナショナルチャンピオンジャージを着る松本璃奈(TEAM SCOTT JAPAN)と唐見実世子(弱虫ペダル サイクリングチーム)が好スタートを切り2周めからランデブーを開始。しかし松本が遅れ始め、唐見の独走状態に。松本は不調なのかコース上でストップ。再出走するもずるずると遅れだし、やがて棄権してしまう。
序盤から飛ばしたナショナルチャンピオンジャージを着る松本璃奈(TEAM SCOTT JAPAN)だったが途中リタイアに photo:Makoto AYANO
西山みゆき(Toyo Frame Field Model)を交わして2位の高校1年生・中島瞳(Limited Team 846/KURE) photo:Makoto AYANO
この小貝川のコースで過去3回連覇し、今季はロードでも圧倒的な力を発揮する唐見は後続との差を大きく保ったまま独走を続け、見事4連覇を達成した。2位には高校生の中島瞳(Limited Team 846/KURE)、3位に西山みゆき(Toyo Frame Field Model)が入った。
唐見実世子(弱虫ペダル サイクリングチーム)が4連覇を達成 photo:Makoto AYANO
Jプロツアーなどロードレースを終えてから一旦は完全オフをとった唐見。飯山のコースはテクニカルで苦手と言うが、これから全日本へ向けて上げていく段階だといい、ナショナルチャンピオンジャージ奪取への期待が高まる。
激戦区のマスターズBのスタート photo:Hiro AYANO
マスターズB優勝の湯浅勉(RIDE LIFE GIANT) photo:Hiro AYANO
マスターズ30代優勝の落合友樹(TeamRuedaNAGOYA) photo:Makoto AYANO
MastersA優勝の石川正道(Champion System Japan) photo:Makoto AYANO
MenU17優勝の澤井千洋(TEAMGRM) photo:Makoto AYANO
WU15クラス優勝の石川七海(iBeyond) photo:Hiro AYANO
MenJunior優勝の永野昇海(イナーメ信濃山形) photo:Makoto AYANO
C2優勝の松本秀(MIVRO) photo:Makoto AYANO
弱虫ペダル作者の渡辺航先生もC4に参戦。一時はトップを走る photo:Makoto AYANO
茨城シクロクロスオルガナイザーの影山善明さん photo:Makoto AYANO全国的にはまだ新型コロナウィルスの影響による不安感が払拭できないなかでのイベント開催。茨城シクロクロスとしては2戦目の開催にこぎつけたオルガナイザーの影山善明さんに話を聞いた。
影山「8月になって今大会が開催ができることになり、通常6ヶ月かける準備を2ヶ月で行いました。しかしやるからには簡素化するのではなく、スポンサーなどのバナーをきちんと用意するなどの協賛各社へのメリットも提供したかったので、お盆過ぎから3倍速の急ピッチで準備を進めました。エントリーにあたっては来場者数が1,000人を超えないように参加者数を抑える工夫をして、エントリー総数を470人に抑えさせていただきました。参加したくてもできなかった人たちには申し訳ないと思っています。
勇ましい太鼓で茨城シクロクロスの戦いの火蓋は切って落とされる photo:Makoto AYANO
フランスのルノーの出展があり、サイクルライフに向くカングーなどの実車が展示された photo:Makoto AYANO
参加にあたっては感染追跡アプリ『茨城アマビエちゃん』への登録と、健康状態チェックリストと宣誓書の提出をお願いしました。なかでも万が一陽性者が出た場合の追跡のために個人情報をほぼ100%で採取しておくことは自治体との約束になっており、開催前夜には参加選手数以上の割合でアプリ登録がありました。そうした主催者・参加者双方の協力で開催できました。これらのやり方を各レースのオルガナイザー同士で共有していけば、サイクルイベントの開催は継続的に可能になってくると思います。まだイベント開催ができない地域もあるけれど、できる場所ではやっていかないと業界も盛り上がらないので、ニューノーマルといえどもできるだけイベントを開催して皆さんの活躍できる場を提供していきたい。茨城CXとしては次戦の第3戦・土浦ステージに加えて新しい場所での追加開催も検討中ですので、期待してください」。
会場で配布されたシクロクロス選手名鑑 photo:Makoto AYANO
会場ではトレックのシクロクロスバイク「Crockett」の試乗が楽しめた photo:Makoto AYANO

「TREK CROCKETT PRESENTS」 と冠された茨城シクロクロス2020第2戦取手ステージ。9月26・27日の2日間で行われた第1戦・涸沼自然公園野鳥の森シリーズに次ぐシリーズ第2戦めだ。一気に秋の気配が深まり雨がちの日々が続いた関東地方だが、レース当日は朝から最高の天気で迎えてくれた。ちなみに昨年大会は台風の影響で中止となり、2年ぶりの開催となった。新型コロナの問題がイベント開催に大きく影響する昨今。この対応策については主催者インタビューで紹介する。

前夜の突発的な雨が路面を濡らし、朝露もあって午前中の路面コンディションはウェット&マッド。しかしその後の日照で路面は見る間に乾き、午後のエリートレースを迎える頃には例年どおりのドライ&芝路面が迎えた。平坦基調のハイスピードコース、芝と土の路面に風の影響を受ける長い平坦路も特徴だ。

関東一円のトップライダーを含め84人もの参加があったトップカテゴリーのMenEliteは13時半スタート。前列から好スタートを切ったナショナルチャンピオンジャージを着た前田公平と織田 聖の弱虫ペダルサイクリングチームコンビ、そして小坂 光(宇都宮ブリッツェン)、斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)ら4人の先頭集団ができる。


やがて前田、織田、小坂の3人パックに。弱虫ペダルの2人が小坂をサンドウィッチするかたちで進行したが、2周めに弱ペ勢2人が小坂を振り切ってランデブーを開始すると、その差はみるまに広がった。
3人の後方には下がった斎藤、合田正之(AX cyclocross team)、兼子博昭(スワコレーシングチーム)、加藤健悟(臼杵レーシング)、島田真琴(ペダル)の5人が追走パックを形成する。

残り2周を切って足切りされずにコース上に残った選手はわずか20人ほど。ふたりのうちどちらが勝つかは事前に決めずに周回を重ねるなか、前田がコーナーの処理をミスして遅れを喫してしまう。織田はそのまま先行し、独走で2周を走ってフィニッシュし、2018年に続く連覇を達成した。前田とのワンツーフィニッシュも2年越しでの2大会連続。

後方の4位争いのグループは先頭交代ができるため風の影響が大きな舗装路&直線区間で有利。しかし斎藤朋寛と島田真琴が抜け出し、2人で小坂を追う。しかし小坂は差を保ったままフィニッシュして3位に。4位には斎藤を交わした島田が入った。

現況で2人実力が抜け出ていることを証明した弱虫ペダルの織田と前田。織田は昨年度のシクロクロス全日本選手権U23で優勝したが今シーズンからエリート1年目。現王者の前田とともに当然エリートの全日本制覇も視野に入ってきている。織田は今季ロードレースでもJプロツアーを走り、脚力の補強という面でも万全だ。

ミスによりチームメイトと戦わずして2位となった前田は「シケインを越えたコーナーの先に木の根っこがあって滑ってしまいました。足を着いてしまったのでそのまま行かれてしまいましたね。序盤は良かったんですが疲れてきたときに昨年までの癖のようなものが出てしまった。まだ新しいタイヤの性格を掴みきれていないので、全日本までには自分の感覚とタイヤのフィーリングを合わせていきます。飯山は苦手意識もないのでコンディションが悪化しなければ良いと思っています」とコメント。
3位の小坂は「夏の落車の影響で9月に練習ができていなかったので、高強度の練習が足りていないんです。2周めで置いていかれた後も自分では踏み続けられたので、順調に身体が戻ってきていることは感じました。悔しいけれど思ったより走れたので良かった」とコメントした。
WomenElite 唐見実世子(弱虫ペダル サイクリングチーム)が4連覇達成

WomenEliteはナショナルチャンピオンジャージを着る松本璃奈(TEAM SCOTT JAPAN)と唐見実世子(弱虫ペダル サイクリングチーム)が好スタートを切り2周めからランデブーを開始。しかし松本が遅れ始め、唐見の独走状態に。松本は不調なのかコース上でストップ。再出走するもずるずると遅れだし、やがて棄権してしまう。


この小貝川のコースで過去3回連覇し、今季はロードでも圧倒的な力を発揮する唐見は後続との差を大きく保ったまま独走を続け、見事4連覇を達成した。2位には高校生の中島瞳(Limited Team 846/KURE)、3位に西山みゆき(Toyo Frame Field Model)が入った。

Jプロツアーなどロードレースを終えてから一旦は完全オフをとった唐見。飯山のコースはテクニカルで苦手と言うが、これから全日本へ向けて上げていく段階だといい、ナショナルチャンピオンジャージ奪取への期待が高まる。
その他クラスの熱戦の模様









新型コロナウィルス感染拡大防止策をとっての開催

影山「8月になって今大会が開催ができることになり、通常6ヶ月かける準備を2ヶ月で行いました。しかしやるからには簡素化するのではなく、スポンサーなどのバナーをきちんと用意するなどの協賛各社へのメリットも提供したかったので、お盆過ぎから3倍速の急ピッチで準備を進めました。エントリーにあたっては来場者数が1,000人を超えないように参加者数を抑える工夫をして、エントリー総数を470人に抑えさせていただきました。参加したくてもできなかった人たちには申し訳ないと思っています。


参加にあたっては感染追跡アプリ『茨城アマビエちゃん』への登録と、健康状態チェックリストと宣誓書の提出をお願いしました。なかでも万が一陽性者が出た場合の追跡のために個人情報をほぼ100%で採取しておくことは自治体との約束になっており、開催前夜には参加選手数以上の割合でアプリ登録がありました。そうした主催者・参加者双方の協力で開催できました。これらのやり方を各レースのオルガナイザー同士で共有していけば、サイクルイベントの開催は継続的に可能になってくると思います。まだイベント開催ができない地域もあるけれど、できる場所ではやっていかないと業界も盛り上がらないので、ニューノーマルといえどもできるだけイベントを開催して皆さんの活躍できる場を提供していきたい。茨城CXとしては次戦の第3戦・土浦ステージに加えて新しい場所での追加開催も検討中ですので、期待してください」。


茨城シクロクロス2020第2戦取手ステージ リザルト
MenElite | ||
1位 | 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) | 1:03:47.500 |
2位 | 前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +00:15 |
3位 | 小坂光(宇都宮ブリッツェン) | +01:31 |
4位 | 島田真琴(ペダル) | +02:11 |
5位 | 斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT) | +02:18 |
6位 | 加藤健悟(臼杵レーシング) | +02:30 |
7位 | 合田正之(AX cyclocross team) | +02:42 |
8位 | 兼子博昭(スワコレーシングチーム) | +02:48 |
9位 | 川野碧己(慶應義塾大学自転車競技部) | +02:50 |
10位 | 鈴木来人(BonneChance Asia Cycling ) | +02:51 |
WomenElite | ||
1位 | 唐見実世子(弱虫ペダル サイクリングチーム) | 46:03.160 |
2位 | 中島瞳(Limited Team 846/KURE) | +01:37 |
3位 | 西山みゆき(Toyo Frame Field Model) | +02:11 |
4位 | 林口幸恵(Live GARDEN BiciStelle) | +02:13 |
5位 | 小田恵利花(SNEL) | +02:14 |
6位 | 安藤沙弥(SHIDO-WORKS) | +02:43 |
その他クラスの優勝者 | ||
MastersB | 湯浅勉(RIDE LIFE GIANT) | |
CL2+3 | 高橋和佳子(おはみのCX) | |
WomensMasters | 青木寿美恵(AX cyclocross team) | |
WU15 | 石川七海(iBeyond) | |
C3 | 水上央渉(ブラウ・ブリッツェン) | |
MenU17 | 澤井千洋(TEAMGRM) | |
MastersA | 石川正道(Champion System Japan) | |
MenJunior | 永野昇海(イナーメ信濃山形) | |
C2 | 松本秀(MIVRO) |
photo&text:Makoto AYANO
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