西日本ロードは、この2年間ひたすらチームメイトのために動いてきた男が優勝した。これが実業団での最終レースになる野寺秀徳(シマノレーシング)だ。あわせてFR、BR-1、ER各クラスも紹介する。

2周目、坂を上る先頭の小坂光(宇都宮ブリッツェン)、伊丹健治(チームブリヂストン・アンカー)ら2周目、坂を上る先頭の小坂光(宇都宮ブリッツェン)、伊丹健治(チームブリヂストン・アンカー)ら photo:Hideaki.TAKAGI6月20日、Jサイクルツアー第8戦西日本ロードが、広島県中央森林公園で行われた。もちろん、全日本選手権ロードを同じ場所で1週間後に控えるレース。勝敗はもとより、走りやチームワークなどを確認するうえでも重要なレースだ。

以下にレースレポートをお届けする。優勝者のコメントなどは追って掲載する。

シマノレーシング、チームブリヂストン・アンカー、宇都宮ブリッツェンはフルメンバーでの参戦。TEAM NIPPOと愛三工業レーシングチームは少数での参戦だ。

3周目のメイン集団、チームマッサ、ムセーウらが引く3周目のメイン集団、チームマッサ、ムセーウらが引く photo:Hideaki.TAKAGI1周目からアタックがかかり、7人の逃げができる。鈴木譲・平塚吉光(シマノレーシング)、狩野智也・伊丹健治(チームブリヂストン・アンカー)、長沼隆行・小坂光(宇都宮ブリッツェン)、ユー・キホン(クムサン・ジンセン・アジア)だ。
2周目に向川尚樹(マトリックスパワータグ・コラテック)が加わり8人の逃げが決まる。メイン集団はチームマッサ、ムセーウバイクスらが先頭を引く。差は1分40秒差にまでなるが大きくは広がらない。
4周目、メイン集団はチームブリヂストン・アンカー、愛三工業レーシングチームらがペースアップして差を詰めていく。先頭でも長沼がアタックしたりと落ち着かず、ユー・キホンが単独アタックを決める。

7周目、9人の先頭集団7周目、9人の先頭集団 photo:Hideaki.TAKAGI6周目、メイン集団は追い上げて先頭の数人が2番手グループを捕らえ、前方グループは仕切りなおしで8人になる。当初から逃げていた狩野・伊丹・鈴木譲に加えて、飯島誠・普久原奨(チームブリヂストン・アンカー)、野寺秀徳(シマノレーシング)、柿沼章(宇都宮ブリッツェン)日置大介(MASSA-FOCUS-OUTDOORPRODUCTS)だ。上り区間で逃げていたユー・キホンを吸収して逃げは9人に。

7周目、先頭では野寺が要所でペースアップして揺さぶりをかける。メイン集団からは鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)が単独アタック、8周目に追いつき先頭は10人に。ここから先頭集団内でアタックがかかる。主役は野寺。何度も揺さぶりをかける。上り区間で野寺がアタック、狩野と鈴木謙一が合わせて、のちにユー・キホンが合流して4人で逃げる。

8周目上り、野寺秀徳(シマノレーシング)のアタックに3人が付く8周目上り、野寺秀徳(シマノレーシング)のアタックに3人が付く photo:Hideaki.TAKAGI9周目、柿沼と伊丹が合流して先頭は6人に。上り区間で野寺がアタック、これに反応できたのはユー・キホンだけ。2人でゴールを目指す。
最終周回、上り区間で野寺がアタックするとユー・キホンが離れていく。野寺は単独でゴールを目指す。メイン集団もペースアップしてこの時点で30秒差にまで迫る。その中でも畑中勇介(シマノレーシング)が単独で抜け出し上り区間終わりで野寺に追いつく。

ホームストレートに現れたのは野寺と畑中。遠くに3位以下集団が見えるがもう届かない。野寺を先頭にゴール。そして3位には鈴木真理が入った。

野寺秀徳(シマノレーシング)、畑中勇介(シマノレーシング)でワンツー野寺秀徳(シマノレーシング)、畑中勇介(シマノレーシング)でワンツー photo:Hideaki.TAKAGIシマノレーシングの完全勝利だった。そして最も多くアタックをかけたのは野寺本人。強豪の揃う先頭集団の中でもその力は別格とも言えるほど。2年前の全日本選手権ロードで優勝した後のレースでは、野寺はひたすらアシスト役に徹し、チームメイト、特に若い選手たちのレベルアップに貢献してきた。引退を1週間後に控えた最後の実業団レースでは、その偉大な能力を2年ぶりに自分のために使った。
最も動いたのが野寺ならば、最も力を見せ付けたのはユー・キホンだ。粘りのある強力な走りで先頭集団を翻弄、相手が野寺でなければ結果は変わっていた。

チームブリヂストン・アンカーは中盤に動いて、その結果後半の先頭集団に4人を送り込んで、しかも逃げのペースを作った。結果にはつながっていないが、途中の動きはスキのないもので、力とチームプレーの確認はできたはずだ。

愛三工業レーシングチームは少数での参戦だったが要所でキレのある動きを見せた。マトリックスパワータグ・コラテックも向川が好調さをキープしている。

FR 2周目、唐見実世子(MUUR ZERO)FR 2周目、唐見実世子(MUUR ZERO) photo:Hideaki.TAKAGIクラブチームではMASSA-FOCUS-OUTDOORPRODUCTSが集団での走りと日置の逃げで活躍。Team Eurasia Museeuw Bikesも中山卓士の8位以外にも良く動き、良い仕上がりを見せた。

唐見実世子(MUUR ZERO)が貫禄勝ちのFR
3周で行われたFRは上り区間で絞られ、唐見実世子(MUUR ZERO)、星川恵利奈(湘南ベルマーレ コムレイド)、福本千佳(Ready Go JAPAN)の3人に。上り区間では星川がおもにペースを上げるが態勢は崩れない。3人の中では唐見だけがきれいなフォームで落ち着いたライン取りや身のこなしを見せる。3人で迎えたゴールは唐見が先行する2人をかわして優勝。


BR-1 ゴールへ単独向かう金子友也(ブリヂストン・エスポワール)BR-1 ゴールへ単独向かう金子友也(ブリヂストン・エスポワール) photo:Hideaki.TAKAGIブリヂストン・エスポワール独壇場のBR-1
BR-1はブリヂストン・エスポワールの参加7人全員が動き回り、平均ラップタイムは18分台と、TRに遜色ないハイペースで展開された。
序盤からブリヂストン・エスポワールを中心にspacebikes.comらも加わりハイペースに。10人ほどの逃げが吸収された後もブリヂストン勢がアタック、これに後方のチームメイトたちもアタックして前方に集結。そこからさらに金子友也と寺崎武郎(ともにブリヂストン・エスポワール)がアタック。最終周回の上りで金子が単独になるとそのままゴール。後続も嶌田義明(ブリヂストン・エスポワール)がスプリント勝負に勝ち2位に。

結果
TR 123km
1位 野寺秀徳(シマノレーシング)3時間08分36秒
2位 畑中勇介(シマノレーシング)
3位 鈴木真理(シマノレーシング)+07秒
4位 中村誠(宇都宮ブリッツェン)+08秒
5位 飯野嘉則(シマノレーシング)+10秒
6位 松村光浩(愛三工業レーシングチーム)+16秒
7位 清水良行(チームブリヂストン・アンカー)+19秒
8位 中山卓士(チームユーラシア・ムセーウバイクス)+22秒
9位 五十嵐丈士(クムサン・ジンセン・アジア)
10位 阿部良之(マトリックスパワータグ・コラテック)+26秒

FR 36.9km
1位 唐見実世子(MUUR ZERO)1時間05分57秒
2位 福本千佳(Ready Go JAPAN)
3位 星川恵利奈(湘南ベルマーレ コムレイド)

BR-1 61.5km
1位 金子友也(ブリヂストン・エスポワール)1時間34分45秒
2位 嶌田義明(ブリヂストン・エスポワール)+32秒
3位 ディラン・クーパー(TEAM☆ルパンttm)
4位 椿大志(ブリヂストン・エスポワール)
5位 酒井紀章(バルバクラブ)+33秒
6位 寺崎武郎(ブリヂストン・エスポワール)

ER 36.9km
1位 内山巧崇(かぶちゃん農園・ボンシャンス飯田)58分50秒
2位 天笠辰一(本町クラブ)
3位 長崎隼太(bicinoko.com)+01秒
4位 沼澤祐介(竹芝サイクルレーシング)
5位 田中力(Tacurino.net)+03秒
6位 菱沼由季典(EsperanceStage我逢人)

photo&text:高木秀彰

最新ニュース(全ジャンル)