「厳しくも美しい3週間を優勝で終えることができた」とはブエルタ・ア・エスパーニャ第21ステージを制し、3年連続で総合優勝に輝いたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)。表彰台に上がったマスやヘイグ、ヤコブセン、今大会で引退するアルなど第76回大会を終えた選手たちのコメントを紹介します。



ステージ1位&マイヨロホ プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)

サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂にフィニッシュしたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂にフィニッシュしたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:Unipublic
フィニッシュ直後のインタビュー

今日は再び最良の日で、最高の3週間になった。自分はもちろんチームメイトにとっても嬉しい勝利だ。3週間に渡る戦いの最終日ということに加えとても厳しいコースだったが、沿道からの声援を楽しみながら走ることができた。総合タイムではなく、ステージ優勝を意識しながら走っていた。勝利に向かいベストを尽くせば、必ず結果に繋がっていくと分かっていたからね。

(3連覇は)信じられないしクレイジーだよ。今回のようにある程度のタイム差で総合優勝できることもあれば、僅かな差で勝つこともある。どちらにせよ優勝は嬉しいものだ。(史上3人目の3連覇は)意識していない。以前にも言ったように、僕は数字は気にしていないんだ。目の前にある1日をベストを尽くして楽しむ。それが数字として現れたまでだ。だがもちろん、歴史に名を刻む一人になれたことは誇りに思っているよ。

総合表彰台の中央にプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が上がる総合表彰台の中央にプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が上がる photo:Unipublic
表彰式スピーチ

3週間前に大聖堂をスタートし、そして再び大聖堂の前に戻りレースを終えた。本当に素晴らしい景色だよ。総合優勝することができ、これを可能にしてくれたチームメイトとスタッフ、家族に感謝を伝えたい。またここにいる皆にも感謝したい。君たちの声援のおかげで、全てのステージを楽しむことができた。初日を1位、最終日でも1位でレースを終えることができた。本当にありがとう。来年また会おう。

ステージ3位 テイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM)

テイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM)テイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM) photo:CorVos
ブエルタの最終ステージで表彰台に上がることができた。なんて良い終わり方なんだろう。今大会ではステージ3勝に繋がる自分史上最高のアシストができた。それに加えてポディウムだ。このチームを誇りに思うよ。

ステージ9位&総合2位 エンリク・マス(スペイン、モビスター)

総合2位エンリク・マス(スペイン、モビスター)がフィニッシュ総合2位エンリク・マス(スペイン、モビスター)がフィニッシュ photo:Unipublic
僕らはこの結果を喜ばなければならない。チームの中で4人しか最後までたどり着くことができなかった。またレースを去った仲間のうち3人は、僕たちをアシストするためにリスクを犯して病院に運ばれた。とても辛い現実だが、このポディウムという結果をチーム全体の誇りにしたい。またチームメイトとスタッフに感謝を伝えたい。

昨日は調子が良かったにもかかわらず、今日の個人タイムトライアルでは火曜日の落車による痛みがぶり返してきたんだ。そのためDHバーではなくドロップハンドルを握らないとならなかった。また昨日のステージの後で、監督と山岳フィニッシュでの走りを改善しなければならないと話し合った。なぜなら今後、ログリッチのようにTTが強い選手たち相手に山岳ステージでタイムを稼がなければいけないからね。

この後はチームと一緒にお祝いのディナーを楽しみたい。その後は残りのシーズンについて考えるよ。調子は良いのでイタリアのクラシックを走りたいね。

ステージ17位&総合3位 ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)

チーム総合成績で優勝し、表彰台に上がる ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)たちチーム総合成績で優勝し、表彰台に上がる ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)たち photo:Unipublic
信じれない。いつも妻にグランツールの表彰台に上がるのが夢だと話していたが、それが可能かどうかなんて分からなかった。バーレーン・ヴィクトリアスに加入し、ツールで落車、ここブエルタには期待を持たずにやってきた。このそばらしい結果に言葉がない。またこの結果は一夜にして得られたわけではなく、ここまで導いてくれた全ての人たちに感謝したい。

今後も僕のやり方でレースを続けていく。そして周りにいる良い人たちとともに楽しみながら走って行きたい。それを継続することができれば、それ以上の幸せはなく、結果もついてくるはずだからね。

ステージ29位&総合4位 アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

序盤からかなりハードに踏んだ。それがポディウムを目指すのに必要なペースだった。だが後半はこれまでで一番と言ってもいいぐらい苦しまなければならなかった。結果こそ伴わなかったものの、ベストを尽くした。それが唯一の救いだよ。

このブエルタでは良い日もあれば、悪い日もあった。チームとして良い走りが出来たんじゃないかな。僕にとって今回は新しいチームで走る初めてのグランツールだった。とても楽しんで走ることができ、毎日が完璧でなかったものの、来年やその先に繋がる走りができた。

ステージ31位&総合5位&マイヨブランコ(ヤングライダー賞) ジーノ・マーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス)

特別賞ジャージを射止めた3人とともに表彰台に上がるジーノ・マーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス)特別賞ジャージを射止めた3人とともに表彰台に上がるジーノ・マーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:Unipublic
本当に信じられないものが昨日、僕の手の中に落ちてきた。一流のクライマーたちと渡り合い、(第19ステージの)総合8位という順位でも十分に嬉しかった。いまこのホワイトジャージを着て、そしてジャック(ヘイグ)の表彰台に立つ手助けができた。言葉がないほど感動しているよ。

総合6位 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)

苦しみを学ぶことができた。このブエルタでは苦しむ時が多かったものの、同時に楽しさを見出すことができた。レースでは常に何かを学ぶことがあるんだ。それを来年に繋げていきたい。プリモシュの優勝は本当に嬉しく、この結果は彼にこそ相応しい。

マイヨプントス(ポイント賞) ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)

昨年の大怪我から奇跡の復活を遂げたファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)昨年の大怪我から奇跡の復活を遂げたファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:Unipublic
ここサンティアゴ・デ・コンポステーラにフィニッシュすることが、僕自身最高の勝利となった。この結果を1年前、誰が予想できただろうか。フィニッシュが近づいていくにしたがい、僕の名前を叫ぶ観客に手を振っていたんだ。その光景はこれ以上ないほど美しかった。ハットトリック(3勝)を決め、グリーンジャージを獲得するなんて3週間前は想像もできなかった。そしてこの成果はチームメイトによるサポートのおかげだ。

チームの皆はいつ何時も僕のそばにいてくれた。登りや下り、谷など常に僕のために走ってくれた。これ以上嬉しいことはなく、このジャージはウルフパックという僕の強い結びつきを表している。マイヨプントスの獲得に関わってくれたチームメイトやスタッフ、スポンサーに大きな感謝を伝えたい。これはまるでおとぎ話のようだよ。

マイヨモンターニャ(山岳賞) マイケル・ストーラー(オーストラリア、チームDSM)

マイヨモンターニャ(山岳賞)を獲得したマイケル・ストーラー(オーストラリア、チームDSM)マイヨモンターニャ(山岳賞)を獲得したマイケル・ストーラー(オーストラリア、チームDSM) photo:Unipublic
これ以上ないぐらい嬉しい。僕自身の、そしてチームの走りを誇りに思う。このジャージを獲得するために皆で協力し、素晴らしいレースができた。レースを通してお互いを高め合うことができた。このジャージはチームのものだ。本当に嬉しいよ。

新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)

15回目のグランツールを完走した新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)15回目のグランツールを完走した新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
なかなかキツイコースの最終日の個人タイムトライアルだった。もっと楽に走れるかと思ったが、常にプッシュしなくてはいけないコースだった。でも、あの大聖堂でのフィニッシュは素晴らしかった。

もちろん、チーム総合表彰台も格別だった!無事にジャックは表彰台を確保したし、ジノも新人賞ジャージ。大変なブエルタだったけど、最後は最高な結果で締めくくれて最高のブエルタだった!

今大会限りで引退するファビオ・アル(イタリア、クベカ・ネクストハッシュ)

チースタッフとともに完走を喜ぶファビオ・アル(イタリア、クベカ・ネクストハッシュ)チースタッフとともに完走を喜ぶファビオ・アル(イタリア、クベカ・ネクストハッシュ) photo:CorVos
とても困難な3年間だった。だから今年はレース計画を変え、ツールを回避しGPルガーノとシビウツアーに出場した。そこで再び良い感覚が戻ってきて、アタックするなど長年失っていた自由に走るレースができた。

2014年のジロ・デ・イタリアで僕はプロ初勝利を挙げた。イタリア人としてジロでの勝利に並ぶ喜びはない。その勝利が僕の人生を変え、みんなが僕を知るきっかけとなった。そして同年、ここスペインの美しさに出会った。スペインのファンから愛を貰ったんだ。

選手としての歩みを止める時がきた。引退の時期は選手によって違うだろうが、僕はいまがその時だと感じたんだ。16年に渡って自転車選手であり続け、多くの時間を家族と離れて過ごさなければならなかった。だからいま、家族の元へ帰る時がきたんだ。

このブエルタで数々の困難を乗り越えた。僕をサポートしてくれたチームに感謝したい。最後まで走り切ることができ、それは僕にとって小さくも勝利と言える。最後の数日間でベストを尽くす走りができた。脚に力を感じながら、レースの先頭を走ることができた。いまの感情を整理するに何日もかかるだろうから、現役最後のレースを言い表すことは難しい。だがこの場に立ち、クベカのために走ることができて本当に幸せだったよ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos