イタリアアルプスを駆け巡るツアー・オブ・ジ・アルプスが開幕。2018年ロード世界選開催地にフィニッシュする初日、この街に住む怪我明け復帰戦のジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が独走勝利を挙げた。



ブレッサノーネの街を出発するツアー・オブ・ジ・アルプス第1ステージブレッサノーネの街を出発するツアー・オブ・ジ・アルプス第1ステージ (c)Bettini Photo/Vitesse
4月19日から23日までの5日間で開催されるツアー・オブ・ジ・アルプス(UCI2.Pro)は、その名の通りイタリア北東部に位置するトレンティーノ=アルト・アディジェ州のイタリアアルプスを駆け巡る山岳ステージレース。2016年までジロ・デル・トレンティーノと呼ばれ、1ヶ月後に控えるジロ・デ・イタリアを目指すクライマーたちの調整の場として歴史を重ねてきた。

それだけにコースは山々山、そして山。難易度が落ちる第1、第5ステージですら登坂を得意とするパンチャー向けであり、スタートリストに重量系スプリンターの名前は皆無。

サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)やアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ・プレミアテック)、ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)、ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)、ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションNIPPO)といった屈指のクライマーが揃ったほか、イツリア・バスクカントリーを終え、アンドラ公国でリカバリーしながら過ごした新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)はペリョ・ビルバオ(スペイン)のアシスト役として2010年と2013年に続く3度目の出場を果たしている。

雪が舞う標高1300mの2級山岳を走る雪が舞う標高1300mの2級山岳を走る (c)Bettini Photo/Vitesse
強力メンバーを揃えるアスタナ・プレミアテックがメイン集団を牽引強力メンバーを揃えるアスタナ・プレミアテックがメイン集団を牽引 (c)Josef Vaishar/Vitesse
ブレッサノーネから標高1300m級の2級山岳を超え、渓谷沿いにオーストリアに入国、2018年のロード世界選手権の場となったインスブルックを目指す開幕ステージはアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、イスラエル・スタートアップネイション)を含む逃げグループが先行。ウラソフやルイスレオン・サンチェス(スペイン)、ファビオ・フェリーネ(イタリア)など強力メンバーを揃えるアスタナ・プレミアテックの牽引によって逃げグループのリードは削られていった。

残り20kmを切って山岳賞を決めたデマルキが捕まるとカーシーやサンチェスを含むアタック合戦が勃発し、高速ダウンヒルをきっかけにビルバオを含む4名が先行する。しかし人数を揃えたメイン集団を振り切るには至らず残り4kmで引き戻されると、そのカウンターでジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が抜け出した。

スプリントでアンデシェンを突き放すジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)スプリントでアンデシェンを突き放すジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) (c)Bettini Photo/Vitesse
復帰レースで勝利を掴んだジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)復帰レースで勝利を掴んだジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) (c)Bettini Photo/Vitesse
市街地の登りで抜け出し、テクニカルな下りで差を開いたモスコンのリードは残り3kmで5秒。後方からはイーダル・アンデシェン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング)が合流し、2人は僅かなリードを削り取られながらも逃げ切りを確定させる。アンデシェンの背後からスプリントを開始したモスコンが、格の違いを見せつけるかのように抜け出し、そして勝利した。

復帰戦のホームレースで勝利したジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)復帰戦のホームレースで勝利したジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) (c)Josef Vaishar/Vitesse
ジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が応援に来た家族と勝利を喜ぶジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が応援に来た家族と勝利を喜ぶ (c)Bettini Photo/Vitesse
「これ以上ない怪我明けの復帰戦となった。このインスブルックに3年間住んでいるので、このホームで勝つことにとても意欲を燃やしていたんだ」と、2018年のロード世界選手権で5位に食い込んだ、思い入れある地で勝利したモスコンは言う。「ホームレースだということが僕に有利だった。道路を知っていることは特に心理的にもアドバンテージになったし、どのタイミングで行くべきか判断材料になった。もちろん(勝つには)脚も必要だったけれど、今日は全てが完璧だった」と加える。

リーダージャージを掴んだモスコンだが、それを守りきる自信はないという。「ジロを目指すトップクライマーたちが参戦しているので総合バトルは激しくなるはず。首位を守るべく挑戦するけれど、苦しい戦いになるだろう。リーダージャージを着て走る第2ステージを楽しみたいと思う」と話している。
ツアー・オブ・ジ・アルプス2021第1ステージ結果
1位 ジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) 3:29:24
2位 イーダル・アンデシェン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング)
3位 アレクサンドル・リアブシェンコ(ベラルーシ、UAEチームエミレーツ)
4位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、アスタナ・プレミアテック)
5位 ニック・シュルツ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)
6位 エンリーコ・バッタリーン(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)
7位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード)
8位 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFエデュケーションNIPPO)
9位 ナトナエル・テスファツィオン(エリトリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
10位 レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、クベカ・アソス)
123位 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) 5:13
個人総合成績
1位 ジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) 3:29:14
2位 イーダル・アンデシェン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング) 0:04
3位 アレクサンドル・リアブシェンコ(ベラルーシ、UAEチームエミレーツ) 0:06
4位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、アスタナ・プレミアテック) 0:10
5位 ニック・シュルツ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)
6位 エンリーコ・バッタリーン(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)
7位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード)
8位 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFエデュケーションNIPPO)
9位 ナトナエル・テスファツィオン(エリトリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
10位 レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、クベカ・アソス)
その他の特別賞
山岳賞 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、イスラエル・スタートアップネイション)
ヤングライダー賞 イーダル・アンデシェン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング)

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