昨年9月にスポンサーが撤退し、急造でチーム編成を強いられたクベカ・アソスが、早くもシーズン1勝目を挙げ順調なシーズン開幕を迎えている。ラース・ミカエルセン監督が開幕戦3レースを振り返った。



ヨーロッパチャンピオンのジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス)ヨーロッパチャンピオンのジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス) (c)CorVos
「チームが置かれた財政状況(スポンサー撤退)と、そこからロースターを構築しなければならなかった状況を考えれば、期待した以上の結果が得られている」と語るのは、クベカ・アソスのヘッドコーチを務めるラース・ミカエルセン監督。

昨年9月にスポンサー撤退を告げられ、所属選手27人中16名が新加入という体制で迎えた2021年シーズン。開幕戦として選んだエトワール・ド・ベッセージュ、ツール・ド・ラ・プロヴァンス、クラシカ・アルメリアの3レースを終え、ミカエルセン監督は「予想を超える結果」と驚きを語った。

「シーズン開幕戦での勝利はどのチームも願っていること。我々はそれをジャコモ・ニッツォーロで実現することができた。シーズンを通した望みは、勝利が狙える日を選び、様々なレースでサプライズを起こすことだ」

クラシカ・アルメリアを制したジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス)クラシカ・アルメリアを制したジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス) (c)CorVos
クベカ・アソスはエトワール・ド・ベッセージュ(2.1)でシーズンインすると、イタリア&欧州チャンピオンであるジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)が第1ステージで4位、第2ステージを3位と上位でフィニッシュ。丘陵コースだった第3ステージでミヒャエル・ゴグル(オーストリア)が9位に入ると、最終日には総合6位入賞という好成績を上げた。

そしてスペインのワンデーレース、クラシカ・アルメリア(1.Pro)に乗り込んだニッツォーロが他のワールドチームを抑え、自身とチームに今季初勝利をもたらした。

「クベカの手」で勝利を喜ぶクベカ・アソスのメンバー「クベカの手」で勝利を喜ぶクベカ・アソスのメンバー (c)CorVos
「シーズン開幕の3レースは、解決すべき課題や励みになる要素をいくつか得ることができた。その全てが目に見える形にはならないかもしれないが、"One Team" を合言葉にこの後のシーズンに向けて改善していきたい」

チーム存続が危ぶまれながらもアソスをセカンドスポンサーに迎え、急ピッチで選手を集め開幕を迎えたクベカ・アソス。その上、今年はコロナ禍により南米、オセアニア、スペインでのレース中止が相次ぎ、レース外での苦難が強いられる厳しいシーズンになった。しかし、ミカエルセン氏は悲観することはなかったと語る。

「他のチームと同様、既にいくつかの落車や困難に見舞われている。しかし常に前に進もうとする精神は、現場スタッフからの寄せられるフィードバック(改善のために寄せられる要望)からも感じ取れる。こういった建設的なフィードバックのループは、より良い仕事をするために非常に重要なんだ」

text:Sotaro.Arakawa