南仏で4日間のツール・ド・ラ・プロヴァンスが開幕。ドゥクーニンク・クイックステップの猛攻撃から、圧倒的な加速力でダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が集団スプリントを制した。



シーズンインを迎えたジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)シーズンインを迎えたジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVosエトワールから連戦したフィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)エトワールから連戦したフィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル) (c)CorVos

プロヴァンスの空にトリコロールが描かれるプロヴァンスの空にトリコロールが描かれる (c)Tour de la Provence
2月11日(木)から14日(日)までの4日間で行われるツール・ド・ラ・プロヴァンス(UCI2.Pro)は、その名の通り南仏プロヴァンス地方を舞台にしたステージレース。今年はスペイン国内のシーズン開幕レースが軒並みキャンセルとなったため、多くのUCIワールドチーム勢がこのプロヴァンスでシーズンインを果たしている。

ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)やエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)といったエトワール・ド・ベッセージュ連戦組のほか、モビスター(マス)やアスタナ・プレミアテック(ルツェンコ、イサギレ、ウラソフ)、バーレーン・ヴィクトリアス(ビルバオ)、ドゥクーニンク・クイックステップ(アラフィリップ、カヴァニャ、ランパールト)、UAEチームエミレーツ(トレンティン、コスタ、クリストフ)、チームDSM(ロッシュ)といったUCIワールドチーム勢が初戦を迎えた。

地中海のリオン湾を望む山岳地帯を駆け巡る初日は距離182.6kmで獲得標高2,522m。スタート直後から登坂距離10kmオーバーの1級山岳が控えるこの日は、AG2Rシトロエンに移籍したリリアン・カルメジャーヌ(フランス)とデリオ・フェルナンデス(フランス、デルコ)の逃げで幕開ける。しかし状況が落ち着いたのも束の間、この日はフィニッシュまで80km以上を残し、ドゥクーニンク・クイックステップが波状攻撃を仕掛けた

春の気配漂う南仏を走る春の気配漂う南仏を走る (c)CorVos
逃げるアラフィリップ、チッコーネ、モスコン逃げるアラフィリップ、チッコーネ、モスコン (c)deceuninck-quickstep
まずレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)がアタックして目前まで迫っていた逃げグループを捉え、その動きが吸収されるとカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)がカウンター。更にジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)が加速し、この動きにはジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)と世界王者ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)が同調。こうして超強力な3名が最大1分20秒リードで先行した。

「100kmを過ぎたあたりから仕掛けようという作戦だった。1分リードを得ても逃げ切りは難しいだろうと思っていたけれど、それでもベストを尽くしたよ。脚は絶好調だった」と話すアラフィリップだったが、アルケア・サムシックやUAEチームエミレーツ率いるメイン集団に詰め寄られ、残り3kmを切ってアタックを仕掛けるも残り2km地点で引き戻される。勝負は大集団スプリントに委ねられた。

アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)が先行。その背後にダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が迫るアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)が先行。その背後にダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が迫る (c)CorVos
デマールを下したダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)デマールを下したダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)Tour de la Provence
アラフィリップは吸収されてもなおドゥクーニンクトレインの先頭に立ち、ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)をリードアウト。絶好のタイミングで踏み込んだアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)がリードしたものの、バッレリーニはその遥か後方から爆発的加速で残り50mからデマールに並びかけ、パス。昨年ツール・ド・ポローニュでのワールドツアー初勝利で名を上げた26歳が、群雄割拠のプロヴァンス初日に勝利した。

「トレーニングキャンプを終え好調のまま乗り込んだけれど、こんな結果は思いもしなかった」と驚くバッレリーニはリーダージャージも獲得。シーズン初戦から攻撃的な走りを見せたウルフパックは、明日リーダーチームとしてプロトンのコントロールを担う。「最後は簡単じゃなかった。デマールが6メートル先行したけれど、追いつくためのスペースを見つけ、追い抜くことができた。昨年のベスト・スプリンターの前でのフィニッシュは、大きな自信にもなったよ」とバッレリーニは語っている。
ツール・ド・ラ・プロヴァンス2021第1ステージ結果
1位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) 4:43:23
2位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
3位 ナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)
4位 クレモン・ヴァントゥリーニ(フランス、AG2Rシトロエン)
5位 マチュー・ウォールス(イギリス、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 イーデ・スヘリンフ(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)
7位 ブライアン・コカール(フランス、B&Bホテルズ KTM)
8位 フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)
9位 マッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード)
10位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
個人総合成績
1位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) 4:43:13
2位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) 0:04
3位 ナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック) 0:06
4位 リリアン・カルメジャーヌ(フランス、AG2Rシトロエン)
5位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) 0:07
6位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) 0:09
7位 ジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)
8位 クレモン・ヴァントゥリーニ(フランス、AG2Rシトロエン) 0:10
9位 マチュー・ウォールス(イギリス、ボーラ・ハンスグローエ)
10位 イーデ・スヘリンフ(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)
その他の特別賞
ポイント賞 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
山岳賞 リリアン・カルメジャーヌ(フランス、AG2Rシトロエン)
ヤングライダー賞 マチュー・ウォールス(イギリス、ボーラ・ハンスグローエ)
チーム総合成績 ボーラ・ハンスグローエ
text:So Isobe