EFエデュケーションNIPPOをサポートするアメリカンバイクブランドのキャノンデール。レーシングモデルの中核であるSUPERSIX EVOのミドルグレードをインプレッション。ノーマルモッドのカーボンを採用したオールラウンダーの実力は如何に。



キャノンデール SuperSix EVO Carbon Disc Ultegraキャノンデール SuperSix EVO Carbon Disc Ultegra photo:Makoto AYANO/cyclowired.jp
SUPERSIX EVOといえば、かつてはリクイガスが使用し、イヴァン・バッソや若き日のペテル・サガンのメインバイクとして数々の勝利に貢献してきたオールラウンドレーサー。キャノンデール・ドラパックや現在のEFエデュケーションNIPPOがメインバイクとして採用するブランドの代表作だ。

モデル名が炭素の原子番号6を意味するところはご存じの通り。2009年にカーボンモノコックフレームとなったSUPERSIX Hi-Modとしてデビューを果たし、2011年には軽量性と剛性を鍛えたSUPERSIX EVOに進化。フレーム重量695gと非常に軽量で、ヒルクライマー達から愛されたバイクとして君臨した。2015年にはフレーム単体だけではなく、パーツ類も含めた全体設計により性能に磨きをかけた第2世代となった。

そして、2019年モデルとして華々しくデビューしたのが現在のSUPERSIX EVOの第3世代だ。既に多くの勝利を積み重ねてきたバイクであり、その性能が優れていることは明らか。2021年シーズンはEFエデュケーションNIPPOの別府史之、中根英登、ティブコSVBの與那嶺恵理が、キャノンデールライダーとしてSUPERSIX EVOで活躍することを期待されている。

SAVEテクノロジーを活かし、柔軟性を確保したリアバックSAVEテクノロジーを活かし、柔軟性を確保したリアバック D型のダウンチューブにより剛性と空力を高次元でバランスさせるD型のダウンチューブにより剛性と空力を高次元でバランスさせる カムテール形状のフォークブレードを採用し、空力効果を高めたカムテール形状のフォークブレードを採用し、空力効果を高めた


3代目SUPERSIX EVOの大きな特徴は、第2世代までのオーソドックスなフレーム形状から一転、エアロを意識したフレームへと大きく舵を切ったこと。ヒルクライマーに愛されたSUPERSIX EVOの走行性能を維持しながら、空力性能を加えることを主眼に置いた開発は、SUPERSIX EVOを全く新しい自転車へと昇華させた。

エアロを意識したSUPERSIX EVOのチューブは、CFD解析に基づきD型断面形状が採用されることに。円形の後端部を切り落とした様な形状のチューブは空力性能に優れることはもちろん、横風にも強く、剛性、軽量性を高次元でバランスさせることを実現した。

ドロップドシートステーとD型チューブによりエアロダイナミクス向上を図ったドロップドシートステーとD型チューブによりエアロダイナミクス向上を図った HollowGram SAVE SystemBarを採用し快適性とケーブルフル内装を実現したHollowGram SAVE SystemBarを採用し快適性とケーブルフル内装を実現した

反応性を確保するためにシンプルな作りとなったチェーンステー反応性を確保するためにシンプルな作りとなったチェーンステー 30mmのタイヤまで飲み込むクリアランスとした30mmのタイヤまで飲み込むクリアランスとした


フレームワークにも大胆に変更を加え、エアロダイナミクス強化を追求している。シートステーとシートチューブの接合部がボトムブラケット側(下側)にオフセットしたデザインとし、前方投影面積を抑え空気抵抗の低減を図った。このドロップドシートステーはシートチューブの振動吸収性向上にも貢献している。

また、フロントセクションも空力を意識し、ヘッドチューブとフォーククラウンのインテグレーテッドデザインを推し進めた。何よりも大きなポイントは、SYSTEMSIXの開発で得たケーブル内装システムを採用したこと。ケーブル類の露出を抑えたフル内装仕様で、旧SUPERSIX EVOに対し、48.3km/hのスピード域において30Wもの抵抗削減を実現したという。

BBはキャノンデール独自のPF30A規格だBBはキャノンデール独自のPF30A規格だ フォーククラウンとダウンチューブをインテグレートすることで空力向上を図ったフォーククラウンとダウンチューブをインテグレートすることで空力向上を図った


この内装システムは真円のフォークコラムを維持しているため、汎用のステムやハンドルが使用可能となっており、ユーザビリティに優れていることも特徴だ。フル内装が可能なのは電動コンポーネントのみで、機械式コンポーネントの場合はダウンチューブ上部からフレームへと内装される設計だ。

今回インプレッションを行うSUPERSIX EVO Carbon Discは機械式変速のシマノULTEGRA完成車であるため、シフトケーブルは途中まで外装仕様となる。ハンドルとシートポストは上位グレードと同じHollowGramのカーボン製とされている。

D型断面のHollowGram 27 SL KNØTシートポストは空力と快適性に貢献するD型断面のHollowGram 27 SL KNØTシートポストは空力と快適性に貢献する SuperSix Evoのエンブレムステッカーがトップチューブに貼られるSuperSix Evoのエンブレムステッカーがトップチューブに貼られる 機械式変速の場合はワイヤーが露出する機械式変速の場合はワイヤーが露出する


また、SUPERSIX EVO Carbon Disc Ultegraは超高弾性を備えるハイモッドカーボンではなく、ノーマルモッドカーボンを採用したモデル。だが、ミドルグレードのノーマルモッドだからと言って侮ることなかれ。

現EFエデュケーションNIPPOのチームが完全にディスクブレーキ使用へと切り替わる前の2019年シーズン。リゴベルト・ウランらSUPERSIX EVOを使用した選手たちは、ノーマルモッドのリムブレーキモデルをレースに投入していたのだ。

機材にシビアなプロ選手らも乗ったノーマルモッドのSUPERSIX EVOをなるしまフレンドの藤野智一、ペダリストの福本元がインプレッション。レース派の店長はどう評価するのか。



― インプレッション

「前後バランスと振動吸収性による乗り味が気持ちいいバイク」藤野智一(なるしまフレンド)

「前後バランスと振動吸収性による乗り味が気持ちいいバイク」藤野智一(なるしまフレンド)「前後バランスと振動吸収性による乗り味が気持ちいいバイク」藤野智一(なるしまフレンド) photo:Kenta Onoguchi
今年からなるしまフレンドでも取り扱いを開始したこともあって、ハイモッドもノーマルモッドも一通り乗っていたのですが、テストとしてしっかりと乗ってみると改めてSUPERSIX EVOの乗りやすさに気が付きました。

今回のテストバイクが51サイズで私にぴったりな大きさであったこともありますが、全てがニュートラルで操りやすいんですよ。前後のバランスや振動吸収性に優れていて、とにかく乗り味が気持ち良い。重量的には軽量バイクと言えるほどではないはずですが、走行感は至って軽快なんです。

ノーマルモッドカーボンなのでスプリントのようにガツンと力をかけた時の反応は、ハイモッドのように瞬時に反発するのではなく、ジワジワと力がスピードに変わっていくような感覚がありました。と言っても剛性不足で力が逃げる感じもありませんでしたし、ハイモッドとの違いはカーボンの反発スピードの差くらいです。高反発なフレームはパワーをライダーに求めてくるので、シャキシャキと進むかわりに、高いパワーを長時間維持するのが大変になります。

「長時間パワーを掛け続けられるような印象がある」藤野智一(なるしまフレンド)「長時間パワーを掛け続けられるような印象がある」藤野智一(なるしまフレンド) photo:Kenta Onoguchi対して反発が緩やかなノーマルモッドのSUPERSIX EVOは、長時間パワーを掛け続けられるような印象を持つマイルドな感覚がありました。シッティングでトルクを掛けるペダリングでも、ダンシングでケイデンスを稼ぐペダリングでもどちらも許容してくれるような懐の深さがありましたね。あと、ダンシングをする時はバイクを左右に振ったほうが進みやすいです。

車体の剛性感で見た場合は、ロングライドやサイクリングでのヒルクライム、ホビーレースを楽しむ方、スプリントをしない方はノーマルモッドが適していると思いますね。ハイモッドはレーサーのための自転車ですけど、力が加速感に変わるレスポンスを味わいたい方ならば楽しめるはずです。カーボン素材の反発力が高いほうが良いのか、低いほうが良いのか、ライダーの感覚で選んでしまっていいと思います。

SUPERSIX EVOの魅力の1つは低重心による安定感と、前後バランスと振動吸収性から生まれる安心感にあると思います。ダウンヒルでもフラフラとする感覚はありませんでしたし、下っていて怖さを感じませんでした。コーナリング時に車体を倒した時は、素直に自転車は傾きますし、イメージ以上にハンドルが切れ込むこと無く、思い通りのままシャープにコーナーに入っていけます。ある程度、速い速度を保ったままでも安心して操作はできるでしょう。

振動吸収性の良さはスピードに繋がっているような感覚もあります。若干路面が荒れている下りで脚を止めていても、どんどんスピードが伸びていくんですよ。路面からの衝撃を吸収すれば推進力が打ち消されないので、スムースに進んでいくのだと思います。エアロロードではありませんが、カムテールのフレーム形状による効果も影響しているのでしょう。

機械式ULTEGRA完成車なのでシフトケーブルが外に露出していますが、電動に変更することでケーブルは内装できます。フル内装にしてしまえば、見栄えも良くなりますし、平地で巡航している時にスムースに走れるエアロ性能を感じられる気がしますね。

「振動吸収性がスピードに繋がっている」藤野智一(なるしまフレンド)「振動吸収性がスピードに繋がっている」藤野智一(なるしまフレンド) photo:Kenta Onoguchi
完成車パッケージでカーボンホイールが装備されていて、45万円というのはお買い得感がありますね。キャノンデールオリジナルのハンドルとステムも気になることはありませんでしたし、完成車の状態で満足できると思いますよ。しばらく完成車仕様で乗り続けて、アップグレードとしてDI2に切り替えるなんてのもアリです。

SUPERSIX EVOのノーマルモッドは乗り心地の良さも含めて考えると、ロングライドをする人にオススメしたいですね。今でいうとナショナルサイクルルート、琵琶湖一周や霞ヶ浦一周などを楽しむ方にぴったりでしょう。


「ロングライドでも速い速度域と軽快感を求めたい方にフィットする」福本元(ペダリスト)

とにかく軽やかな自転車ですね。手に持ってみても軽量ですし、踏み出しも軽快で、峠道を登りたくなる自転車でした。ディスクブレーキの重量を気にされている方も多いと思いますが、走行感でディスクブレーキによるネガティブを感じさせない完成度の高さがありました。

「ロングライドでも速い速度域と軽快感を求めたい方にフィットする」福本元(ペダリスト)「ロングライドでも速い速度域と軽快感を求めたい方にフィットする」福本元(ペダリスト) photo:Kenta Onoguchi
登りでは重いギアをローケイデンスで踏んでみたり、軽いギアをハイケイデンスで回してみたりしてみましたが、どんなペダリングでも受け止めてくれ、スピードに変わっていくような印象があります。雑に踏んでいってもフレームがある程度しなってから進んでくれるため、難しいことを考えずにとにかく前に進みたいという方には適していると思いますね。

一番気持ちよく走れるのはパワーが200W前後でしょうか、スピードで言うと30~35km/hほどのレンジというイメージですね。自分が1時間出力し続けられるペースで踏んでいくと、気持ちよく自転車が進んでいきます。高校生が先を見据えるためのバイク、ロングライドでも速い速度域と軽快感を求めたい方にフィットするような印象です。

40km/hといった高速域からアタックを仕掛けるといったシチュエーションにおいては、入力からスピードに変換されるまでの反応がワンテンポ置く感じがあったので、レーサーにとっては剛性感が物足りなく感じると思います。そういった使い方、高い剛性をするならばハイモッドを選んだほうが良いと思います。

ノーマルモッドの良さは、踏み込んだ時の反応性、スピードレンジがホビーライダーには丁度良いところにあります。この自転車に乗ってみて思ったのは、剛性だけが正義じゃないと教えてくれるようでした。スパルタンなレーシングバイクも魅力的ですが、カーボンバイクの優しさ、乗りこなしやすさを感じ取ってもらえる自転車だと思います。

「ロードレーサーらしい軽快感と優れた乗り心地の良さが魅力」福本元(ペダリスト)「ロードレーサーらしい軽快感と優れた乗り心地の良さが魅力」福本元(ペダリスト) photo:Kenta Onoguchi
他に際立つのは振動吸収性でした。チェーンステーの扁平やフロントフォークのオフセット、シートポストが機能しているようで、150kmのロングライドでも軽々とこなせてしまうような印象を受けました。以前CAAD10に乗っていた時もあり、その時のアルミフレームながら振動吸収性に優れていたことを思い出したので、SYNAPSEなどで培ったキャノンデールの技術が息づいているのでしょう。

ロードレーサーらしい軽快感と乗り心地の良さを両立させているので、レーシーな前傾姿勢を取ったまま長距離を走りきれる自転車です。ずっと乗っていたい、そう思わせる完成度だと思います。

車体の性格としては、ダンシングをした時のリズム感は少しゆったりしています。ヒルクライム系のヒラヒラしている感じはなく、エアロロードの車体が倒れない感じの中間に位置します。過剰な味付けではないので、扱いやすいというイメージですね。

「カーボンバイクの優しさ、乗りこなしやすさを感じやすいバイク」福本元(ペダリスト)「カーボンバイクの優しさ、乗りこなしやすさを感じやすいバイク」福本元(ペダリスト) photo:Kenta Onoguchi
ハンドリングに関してもスピードを乗せた状態でのコーナリングはスムースです。機械式変速のワイヤーが外に出ていることもあり、低速でハンドルを切ろうとすると、ワイヤーの存在感が気になります。気になる方は、アウターワイヤーが柔軟なケーブルへの交換や、フル内装にできる電動コンポーネントに載せ替えを検討しても良いでしょう。

カーボンホイールが標準装備の機械式ULTEGRA完成車で、価格が45万円というのは好印象ですね。アルミホイールがアセンブルされていても「ゆくゆくはカーボンを」と考えている方も多いですし、ショップスタッフから見てもオススメしやすいです。アルミバイクからのステップアップや、リムブレーキのミドルグレードから乗り継ぐという方にフィットするのでは無いかと思います。

アップダウンが登場するようなロングライドコース、峠を越えて広い範囲を周遊する長距離ライドなどにはSUPERSIX EVOは最適です。車体自体も軽量級なので、輪行とかにもマッチします。ロードバイクらしい軽快感と速度域でロングライドを楽しみたい方にオススメの1台です。

キャノンデール SuperSix EVO Carbon Disc Ultegraキャノンデール SuperSix EVO Carbon Disc Ultegra photo:Makoto AYANO/cyclowired.jp
キャノンデール SUPERSIX EVO Carbon Disc Ultegra
フレーム:BallisTec Carbon, 12x142 Speed Release thru-axle, SAVE, PF30a
フォーク:BallisTec Carbon, SAVE, 12x100mm Speed Release thru-axle, 1-1/8" to 1-1/4" steerer
ドライブトレイン&ブレーキ:シマノUltegra
タイヤ:Vittoria Rubino Pro
サイズ:44、48、51、54、56、58、60
カラー:Purple、Matte Black
価格:451,000円(税込)



インプレッションライダーのプロフィール

藤野智一(なるしまフレンド)藤野智一(なるしまフレンド) 藤野智一(なるしまフレンド)

92年のバルセロナ五輪ロードレースでの21位を皮切りに、94/97年にツール・ド・おきなわ優勝、98/99年は2年連続で全日本選手権優勝など輝かしい戦歴を持つ。引退してからはチームブリヂストンアンカーで若手育成に取り組み同チームの監督を務めた。2012年より出身チームのなるしまフレンドに勤務し、現在は神宮店の店長を務める。ブリヂストン時代にはフレームやタイヤの開発ライダーも務め、機材に対して非常に繊細な感覚を持つ。

なるしまフレンド神宮店
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福本元(ペダリスト ピナレロショップ青山)福本元(ペダリスト ピナレロショップ青山) 福本元(ペダリスト ピナレロショップ青山)

東京都港区に構えるペダリスト ピナレロショップ青山の店長。中学生からロードバイクを楽しみ、高校に上がるとともに競技生活をスタート。実業団レースでE1まで昇格し、富士ヒルクライムでゴールドを獲得したレーサー。その経験を活かし、ショップではスクールなども担当。接客のモットーは「要望を実現できる方法を考える」こと。

ペダリスト ピナレロショップ青山
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ウェア協力:カステリ

text:Gakuto Fujiwara
photo:Kenta Onoguchi、Makoto AYANO
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