スコットがエアロマシン"PLASMA"のモデルチェンジを行い、新型"PLASMA6"を発表した。今作ではUCIルールを度外視し、トライアスロンに最適化したことが特徴。各種ストレージとフレームの統合を進め、エアロダイナミクスを向上させている。



スコット PLASMA PREMIUMスコット PLASMA PREMIUM (c)スコットジャパン
アイアンマン世界選手権で優勝経験もあるトップトライアスリート、セバスチャン・キーレンの走りを支えてきたスコットのエアロマシン"PLASMA"がモデルチェンジを遂げ、第6世代となる。現行のPLASMA 5はUCIワールドチームのミッチェルトン・スコットもツール・ド・フランスで使用しており、ロードTTとトライアスロン兼用マシンとして用意されていた。しかし、新型PLASMA 6はトライアスロンにフォーカスしたバイクへと進化を遂げている。

トライアスロン用に絞るということは、UCIルールから離れフレーム設計の自由度が増すということ。よりエアロダイナミクスを向上したフレーム設計はもちろん、ロードTTにおける必要性は低い一方でトライアスロンには必要不可欠な要素に集中することが可能となる。そこで注目されたのがストレージボックスのあり方だ。

PLASMA 6には計5箇所にストレージが設けられたPLASMA 6には計5箇所にストレージが設けられた (c)スコットジャパン
シートポストに統合されたボトルケージ台座は前後にスライドさせられるシートポストに統合されたボトルケージ台座は前後にスライドさせられる (c)スコットジャパンPLASMA 6のコックピット周りはインテグレーテッド設計が進んだPLASMA 6のコックピット周りはインテグレーテッド設計が進んだ (c)スコットジャパン

シートチューブ後方にツールや替えチューブを収納するボックスが用意されているシートチューブ後方にツールや替えチューブを収納するボックスが用意されている (c)スコットジャパンBBシェル上にもストレージが用意されているBBシェル上にもストレージが用意されている (c)スコットジャパン


新型の開発にあたりスコットは、ロードTTでは利用されないストレージボックスをフレームとのインテグレーテッドデザインとすることで、エアロダイナミクスの向上を狙った。注目はトップチューブとダウンチューブの集合部にハイドレーションボックスを内蔵し、これまでトップチューブ上に装着していたマルチボックスを2本のDHバーの間に移動したこと。フロントセクションの見た目もスッキリとし、高い空力性能に期待が持てる。また、収納配置の最適化が行われたことで、空力はもちろん重量バランスも改善されているとのこと。スラムeTapのTTシステムを使用する際は、このボックスにトランスミッターを収納する。

また、PLASMA 5ではフロントのストレージのみだったが、PLASMA 6ではBBシェル上部のスペースにジェルボックス、シートポスト後方に脱着可能なツールボックス、シートポストにボトルケージ台座が設けられている。長時間、長距離走り続けるアイアンマンレースにおいて自転車にストレージできる補給の量が多くなることはアドバンテージとなるだろう。

フロントフォークは幅広のスタンスとすることで空力性能を向上させたフロントフォークは幅広のスタンスとすることで空力性能を向上させた (c)スコットジャパン
フロントホイールとダウンチューブの周りの整流効果を狙ったフロントセクションフロントホイールとダウンチューブの周りの整流効果を狙ったフロントセクション (c)スコットジャパン
フレームにおける空力設計で眼を見張るポイントは極太のフロントフォークだ。翼断面形状のブレードはヘッドチューブと大胆にインテグレートされた設計となっており、フロントタイヤで受けた風をダウンチューブへ綺麗に流すことを目的としている。ディスクブレーキを覆うカウルも左右に備えられており、非常にボリューミーな見た目に仕上がる。FOILをはじめとしたスコットのディスクブレーキロードのフォークが意図していることが、PLASMA 6を見ると理解できそうだ。

リアセクションではタイヤとシートチューブのクリアランスを埋めることが空力性能向上につながる。しかし、タイヤサイズ(幅)などによって外径が変化してしまうため、設計意図通りの性能を発揮できないこともある。スコットはその問題を解決するべく、リアエンドのアクスル受けをフリップチップ式としてエンド位置を前後に可変させられるようにした。これにより、どんなサイズのタイヤを使ってもPLASMA 6のエアロダイナミクスを引き出すことが可能となった。

スコット PLASMA PREMIUM フレームセットスコット PLASMA PREMIUM フレームセット (c)スコットジャパン
スコット PLASMA RCスコット PLASMA RC (c)スコットジャパン
アイアンマンを視野に入れたバイクの場合、長時間サドルの上に座り続けることも考慮に入れなければならない。ライダーはエアロかつ長時間維持できるTTポジションを見つけなければならないが、それは千差万別であり、バイクは幅広いポジション出しに応えられる必要がある。

通常のTTバイクではベースバーからスペーサーを積み上げてDHバー高さを調節することが一般的だが、PLASMA 6の場合はベースバーから伸びるモノステーにDHバーを挿し込む方式を採用。スペーサーの抜き差しを行わず、DHバーをスライドさせることで自由な高さ調整が可能となった。また、DHバーは角度、アームレストの幅も自由に変更できるため、理想のポジションへの調整が容易となっている。サドルもシートポスト上で前後にスライド可能。

スコット PLASMA PREMIUMスコット PLASMA PREMIUM (c)スコットジャパン
PLASMA 6のラインアップは"PLASMA PREMIUM"、"PLASMA RC"という2種類の完成車とPREMIUMのフレームセット。PREMIUM完成車はスラムRed eTap AXSをメインコンポーネントとし、クランクはTT用では無くロード用のフロントダブル仕様。ホイールはジップの808 NSW(クリンチャー)で、タイヤはシュワルベ PRO ONE TT(25C)という構成。価格は1,850,000円(税抜)。フレームセットはハンドルバー等含め、800,000円(税抜)の価格設定だ。

RC完成車はシマノULTEGRAを採用した1台。もちろんフロントダブルの構成だ。ホイールはシンクロスのCapital 1.0 50 Discで、タイヤはシュワルベ ONE Race-Guard(25C)。価格は1,150,000円(税抜)。



スコット PLASMA PREMIUM
コンポーネント:SRAM eTap AXS
クランクセット:SRAM RED AXS Power meter 50×37 T
ホイールセット:Zipp 808 NSW carbon clincher, tubeless ready Syncros Plug-in RWS
タイヤ:Schwalbe PRO ONE TT Microskin, TL-Easy, Fold 700x25C
サイズ:XS、S、M
重量:9.6kg
価格:1,850,000円(税抜)

スコット PLASMA RC
コンポーネント:Shimano Ultegra Di2
クランクセット:Shimano Ultegra FC-R8000 39×53 T
ホイールセット:Syncros Capital 1.0 50 Disc, tubeless ready 18 Front / 24 Rear Syncros Plug-in RWS
タイヤ:Schwalbe ONE Race-Guard Fold 700x25C
サイズ:XS、S、M
重量:9.9kg
価格:1,150,000円(税抜)

スコット PLASMA PREMIUM(フレームセット)
アクセサリー:Plasma 6 headset, Syncros Creston iC TRI handlebar combo aerobar, Plasma 6 Aero bottle,Plasma 6 Gel bottle, Plasma 6 Storage box, Plasma 6 Nutrition box, Plasma6 HMX seatpost
サイズ:XS、S、M
価格:800,000円(税抜)


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