シマノのロードシューズ「RC」シリーズに新登場したミドルグレード、RC3をインプレッション。BOAダイヤルをシューズの中央に配置することで均一なフィット感を実現。程よい剛性感のナイロンソールによって幅広いレベルのユーザーにマッチするシューズに仕上がる。



シマノ RC3(ホワイト)シマノ RC3(ホワイト) photo:Yuto Murata
今夏から新たに登場したシマノのロードシューズ「RC3」。プロ選手も愛用するS-PHYRE RC9をトップモデルに据えた「RC」シリーズの中では、比較的リーズナブルなミドルグレードに位置付けられるモデルだ。上位モデルの開発で培われたテクノロジーの多くを引き継ぐことで、優れたフィット感と高いペダリング効率を実現している。

RC3で最大の特徴は、BOAダイヤルをシューズの中央に配置した全く新しいクロージャーシステムを採用したこと。一般的にくるぶしに近いシューズ上側に配置されることの多いBOAダイヤルだが、今作ではその位置を下げることで上下均等に締め上げるワイヤールーティングを可能とした。また、アッパー上に覆いかぶさったオフセンターフラップにBOAのL6ダイヤルを配置することで、足当たりの良さやスマートなルックスも生み出している。

BOAダイヤルがアッパー中央に配置された新しいクロージャーシステムを採用BOAダイヤルがアッパー中央に配置された新しいクロージャーシステムを採用
左右から大きく被さるシマノ独自のサラウンドラップアッパー左右から大きく被さるシマノ独自のサラウンドラップアッパー かかとには厚手のクッション素材と滑り止めが配置されているかかとには厚手のクッション素材と滑り止めが配置されている

アッパー自体は左右のパネルが足先を包み込むシマノ独自のサラウンドラップ構造を採用。大きなパネルで足先を覆うタンレスの作りによってオーバーラップを減らし、快適な履き心地を演出している。合成皮革のアッパーには細かくホールを空けるとともに、つま先部分にメッシュ素材も使用することでフィット感と通気性の向上を狙っている。

RC9を始めとする上位モデル由来のシームレスミッドソールも大きな特徴で、インソール下のラスティングボードを廃止しアッパーとアウトソールを一体化させることで、軽量化と一体感のある履き心地を実現。スタックハイトも低くなりペダルと足裏が近づくことで、よりダイレクトなペダリングフィールにも貢献している。

シマノ RC3(ブラック)シマノ RC3(ブラック)
リフレクティブ仕様のパターンがアッパーにプリントされるリフレクティブ仕様のパターンがアッパーにプリントされる ラスティングボードを廃止することでよりダイレクトなペダリングフィールを獲得ラスティングボードを廃止することでよりダイレクトなペダリングフィールを獲得

剛性指数6と硬すぎない剛性感に仕上がったグラスファイバーコンポジットナイロンソール剛性指数6と硬すぎない剛性感に仕上がったグラスファイバーコンポジットナイロンソール
アウトソールは軽量なグラスファイバーコンポジットナイロンソール。ソール剛性指数は12段階中"6"と、硬すぎず柔らかすぎない万人受けする設定で、ビンディングシューズデビューを考えている人から、硬すぎるソールが苦手なベテランライダーまで幅広い人にマッチするだろう。

ブラックとホワイトの2カラー展開で、36-48までの豊富なサイズラインナップを揃える(ワイドサイズあり)。女性用ラストを採用したインディゴブルーのウィメンズモデルも併売され、こちらは36-40までのサイズ展開だ。価格は14,000円(税抜)。



― 編集部インプレッション

新しいクロージャーデザインが均一なフィット感をもたらしている新しいクロージャーデザインが均一なフィット感をもたらしている
S-PHYREをトップモデルとしRC1~9まで計5モデル(RC9Tを含めれば6モデル)が揃ったシマノのロードレーシングシューズ。下から2番目に位置付けられる今作RC3だが、独自性溢れるクロージャーシステムを見れば、エントリーモデルに対しても開発を怠らないシマノの姿勢を窺い知ることができるだろう。

実際にテストしてみても、そのクロージャーシステムが快適なフィット感を生み出していることがハッキリと感じられた。アッパーの中心にBOAダイヤルが配置されることで、より上下均一にアッパーを引っ張ることが可能になり、結果として大きな1枚のパネルで包まれるような履き心地に仕上がっている。

アッパーの上にフラップが被さる独自のデザインで足当たりを良くしているアッパーの上にフラップが被さる独自のデザインで足当たりを良くしている
アウトソールは踏み込むとしなる剛性感で、ビギナーでも違和感なくペダリングできるだろうアウトソールは踏み込むとしなる剛性感で、ビギナーでも違和感なくペダリングできるだろう
アッパーが広い面積で覆い被さるような作りのため、細いワイヤーが足の甲を押さえつけるような不快感は一切なかった。ワイヤーを締め込んでも、下向きではなくしっかりと横方向にアッパーが引っ張られるため甲への圧迫感を軽減している。また、BOAダイヤルもアッパーの上に被さるフラップに配置されているため、硬いダイヤルが足に当たって痛いということもなかった。ダイヤルクロージャー特有のストレスをどれも解消した優秀なアッパーデザインではないだろうか。

ただ、アッパーの立ち上がり形状のせいなのかつま先の空間はやや狭めな印象。ぴったりしたフィット感を好むなら問題ないが、人によっては窮屈と感じてしまいそうだ。また、シューズの外側からフラップが被さるため小指付近がホールドされている感覚は強く、しなやかさという点ではやや劣る印象。今回履き比べたワイドモデルだと横幅に余裕があったため、ロングライドメインなどでよりストレスなく履きたい人はそちらを試してみてもいいだろう。逆にシューズの中で若干足が動いてしまうような余白感を嫌うなら通常モデルがオススメだ。

かかとのホールド感やつま先の通気性も非常に好印象だかかとのホールド感やつま先の通気性も非常に好印象だ
また、個人的には足首とかかと周りのホールド感が非常に気に入った。厚手のクッション素材が押さえてくれる作りで、かかと部分の滑り止め素材と相まって、引き足でもしっかりと一体感のあるペダリングが可能だ。クッション素材は広い面積で足と当たってくれるため痛みも出にくく、ヒール自体も細いわけではないため形状としてはどんな人にも合いやすいはずだ。

加えて、つま先部分の通気性も抜群に良い。シームレスミッドソールとなったことで、アウトソールに空けられた通気口から足裏にダイレクトに風が入ってくるのを強く感じた。つま先の蒸れ感は大きく解消される反面、これからの季節は冷たい風が入ってこないようトゥカバーなどで対策したいところ。

ミドルグレードと言えどこだわりを感じる履き心地に仕上がったRC3ミドルグレードと言えどこだわりを感じる履き心地に仕上がったRC3
アウトソール自体はそこまで硬くない剛性感のため、踏み込むとしなり感があり足への反発は抑えられている。フルカーボンソールのような硬い板を踏んでいるような感覚は全く無いため、ビギナーでも違和感なく使っていける自然な踏み心地と言えるだろう。レースでのスプリントとなると物足りなさは感じるが、ビンディングに慣れたい、週末サイクリングを楽しみたいといった人には最適なシューズになるはずだ。(CW編集部・村田)

シマノ RC3
サイズ:メンズ 36-48(ワイドサイズあり)
    ウィメンズ 36-40
カラー:ブラック、ホワイト、インディゴブルー(ウィメンズ)
重量:243g(サイズ42)
価格:14,000円(税抜)

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