7日間に渡り続いたツール・ド・アルデーシュも最終日。集団スプリントでクロエ・ホスキング(オーストリア、ラリーサイクリング)が勝利し、ローレン・ステフェンス(アメリカ、チームティブコ・SVB)が総合優勝。與那嶺恵理(アレ・BTCリュブリャナ)は「負けたと感じるレースだった」と総括している。



各賞ジャージ着用選手を先頭にスタートラインに並ぶ各賞ジャージ着用選手を先頭にスタートラインに並ぶ photo:TCFIA
アクティブな展開にレース開始後の平均スピードは40km/hに及んだアクティブな展開にレース開始後の平均スピードは40km/hに及んだ photo:TCFIA
南フランスのオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏のアルデーシュ県を舞台にしたツール・ド・アルデーシュもいよいよ最終日。サヴァッスからボーシャステルまで2級山岳2箇所を経由しながら進むコースは完全なスプリンター向きだ。この日は集団スプリントを狙うラリーサイクリングがコントロールを担った。

78.5km地点の2級山岳「ミュール・ダレ」では、第5ステージで総合首位を失ったマビ・ガルシア(スペイン、アレ・BTCリュブリャナ)が山岳賞ランキング首位キープを狙ったものの、冬季はトップシクロクロス選手として活躍するヤラ・カステリン(オランダ、シクリズモ・モンディアル)に先着され首位陥落。集団は逃げを許すことなくフィニッシュまで突き進み、アリス・バーンズ(イギリス、キャニオン・スラム)を抑えたクロエ・ホスキング(オーストリア、ラリーサイクリング)が狙い通り圧勝。ツアー・ダウンアンダー初日に続く今季2勝目を掴み取った。

最終スプリントを制したクロエ・ホスキング(オーストリア、ラリーサイクリング)最終スプリントを制したクロエ・ホスキング(オーストリア、ラリーサイクリング) photo:TCFIA
総合優勝を果たしたローレン・ステフェンス(アメリカ、チームティブコ・SVB)総合優勝を果たしたローレン・ステフェンス(アメリカ、チームティブコ・SVB) photo:TCFIA
第5ステージで逃げ切りを決め、ガルシアから首位を奪ったローレン・ステフェンス(アメリカ、チームティブコ・SVB)は危なげなくフィニッシュして総合優勝。「凄く緊張したけれど、チームが100%私のために働いてくれる姿を見て落ち着きを取り戻すことができた。チームがいなかったらこの勝利はなかった」と、自身3年ぶりとなる勝利を喜んでいる。

また、ガルシアのアシストとして力を尽くした與那嶺恵理はこの日36位でフィニッシュ。チームの歯車が噛み合わず、エースの総合首位陥落、最終日には山岳賞首位陥落と苦いレースを終えている。以下は本人によるコメントだ。



なんとも残念な終わり方。総合を失い、山岳賞も失いました。コンディションやレース感は取り戻せたので世界選手権に向けて、もう一段上げていけそうです。

5日目は総攻撃され総合陥落。私はスタートからクラック・デイ。全く走れずグルペット。6日目は登りゴール。攻撃を続けましたがマビの総合首位は取り戻せず。作戦が機能しなく、苦しい展開が続きました。そして7日目、最終日。組織で的確に動くリーダージャージのティブコに対し私達は大した作戦も練れず、チームの総合力で負けたレースでした。

スタート前に紹介を受ける與那嶺恵理(アレ・BTCリュブリャナ)たちスタート前に紹介を受ける與那嶺恵理(アレ・BTCリュブリャナ)たち photo:TCFIA
スタートから速い。マビが確保している山岳賞ランキングのポイント差が1ポイント。先行して逃げを作ってそのポイントを先に潰す(他の選手に取られないように)事も考えましたが、もう脚がいっぱい。

マビも攻めますが切れがなく、KOMポイントで首位を失うことになってしまいました。後はゴールまで一気になだれ込んで終わり。うーん。ずっとルームメイトだった仲良しマビの悔しさが伝わってきて、私がもっと上手く走ってもう少し強ければ勝つことが出来たのかな。悔しいので忘れないように総括しておこうと思いまう。

事前の作戦をしっかり練らないと、勝てるレースが勝てなくなる。チームは当初、マビとジロ組は第4ステージで帰り、調整に入るとのことでこのレースに臨みました。

しかしマビも総合を獲ったまま帰るのはもったいないとやる気満々でレースを続行。スロベニアの選手たちとのステージレースを通したコミュニケーション、の難しさ。自分たちの総合順位が10位以内なら、それを守りたい気持ちも分かるのですが、エースの総合優勝が最優先されるべきと私は考えていました。

チーム総合ランキングで首位を守ったアレ・BTCリュブリャナチーム総合ランキングで首位を守ったアレ・BTCリュブリャナ photo:TCFIA
自分はすでに来季の契約が決まっているが、もし契約が取れていないなら、もしオリンピック選考がこのレースも含まれるなら、どんな動きになったのだろうか。それをチームとしてまとめて、エースが勝つためにチーム監督が指示を出し皆が力を合わせる。

個の力が負けているのではなく、組織に負けました。7日間のステージレースをトータルで見て、どこで力を使うかどうか。今回優勝したTIBCOは個人力が圧倒していたのではなく、組織としてチーム員全員が今何をすべきか、どうすれば私達にダメージを与えられるかという意識統一がしっかりされていました。「負けたな」と感じるレースでした。

来年は自分の力がもっと発揮できるように。久しぶりのステージレース、苦い経験です。
次のレースは世界選手権。過去最高位の更新を目標に準備を進めます。
ツール・ド・アルデーシュ2020 第7ステージ結果
1位 クロエ・ホスキング(オーストリア、ラリーサイクリング) 2:19:51
2位 アリス・バーンズ(イギリス、キャニオン・スラム)
3位 カタジナ・ウィルコス(ポーランド、マット・アトム・デウェロパー)
4位 ニナ・ケスラー(オランダ、ティブコ・SVB)
5位 ローレッタ・ハンソン(オーストラリア、トレック・セガフレード)
75位 與那嶺恵理(アレ・BTCリュブリャナ) 0:36
個人総合成績
1位 ローレン・ステフェンス(アメリカ、チームティブコ・SVB) 23:46:50
2位 マビ・ガルシア(スペイン、アレ・BTCリュブリャナ) 0:38
3位 アンナ・キーセンホーファー(オーストリア、オーストリアナショナルチーム) 1:31
4位 ヤラ・カステリン(オランダ、シクリズモ・モンディアル) 5:09
5位 サンドラ・ルーフェンス(フランス、チームアルケア) 5:25
その他の特別賞
山岳賞 ヤラ・カステリン(オランダ、シクリズモ・モンディアル)
ポイント賞 ローレン・ステフェンス(アメリカ、チームティブコ・SVB)
ヤングライダー賞 カミラ・アレッシオ(イタリア、ビーピンク)
チーム総合成績 アレ・BTCリュブリャナ
text:So.Isobe