将来のマイヨジョーヌ候補たちが争う、25歳以下の選手を対象にしたマイヨブラン(ヤングライダー賞ジャージ)。23歳のエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)や21歳タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)を筆頭に、注目の若手選手たちをチェックしておこう。



1995年1月1日以降の選手が対象のヤングライダー賞

マイヨブランを着て走るエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)マイヨブランを着て走るエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:Makoto.AYANO
1975年のツール・ド・フランスで初めて導入されたマイヨブランは、将来のマイヨジョーヌ候補がしのぎを削るもう一つの総合争い。現在マイヨブランを争っているメンバーが5年後、10年後にマイヨジョーヌを巡って競り合うことになる。ジャージスポンサーは眼鏡販売会社のクリス社。

日本語で「新人賞」と訳されがちだが、マイヨブランの対象となるのはプロ1年目の新人やツール初出場の選手だけではなく、誕生日が1995年1月1日以降の選手。つまり正確には「ヤングライダー賞」であり、25歳以下の選手が対象となる。

ヤングライダー賞対象選手が総合優勝に輝いたのは過去に数例ある。1983年にローラン・フィニョン(フランス)、1997年にヤン・ウルリッヒ(ドイツ)、2007年にアルベルト・コンタドール(スペイン)、そして2019年にエガン・ベルナル(コロンビア)が、マイヨジョーヌとマイヨブランを同時に獲得している。2010年に総合2位でフィニッシュしたアンディ・シュレク(ルクセンブルク)は3度目のヤングライダー賞を獲得。総合優勝したコンタドールがその後のドーピング違反発覚で失格になったことで、史上4例目のヤングライダー賞対象選手による総合優勝が決まった。

なお、ヤングライダー賞1位の選手がマイヨジョーヌを着用する場合、ヤングライダー賞2位の選手が次点でマイヨブランを着用することになる。



2019年にマイヨジョーヌとマイヨブランを獲得したエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)2019年にマイヨジョーヌとマイヨブランを獲得したエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:Luca Bettini


ヤングジェネレーションを牽引するベルナルやポガチャル

2020年ツールにおけるヤングライダー賞対象選手は26人。マイヨブランの最有力候補は、マイヨジョーヌの最有力候補でもある23歳エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)。2019年ツールではヤングライダー賞2位のダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)に23分58秒差をつけてマイヨジョーヌとのダブル受賞を果たした。初出場するアシスト役のパヴェル・シヴァコフ(ロシア)も同じ23歳だ。

21歳のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)21歳のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) (c)CorVos
ツアー・ダウンアンダーのヤングライダー賞に輝いたパヴェル・シヴァコフ(ロシア、イネオス・グレナディアーズ)ツアー・ダウンアンダーのヤングライダー賞に輝いたパヴェル・シヴァコフ(ロシア、イネオス・グレナディアーズ) (c)CorVosピノのアシスト役を担うダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)は昨年のランキング2位ピノのアシスト役を担うダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)は昨年のランキング2位 photo:RCS Sport

エースとして自分の走りに集中できるという意味では21歳のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)もマイヨブラン候補。2018年にブエルタ・ア・エスパーニャで総合2位に入った25歳エンリク・マス(スペイン、モビスター)はドゥクーニンク・クイックステップから移籍後まだ大きな成績を残せていない。

リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFプロサイクリング)のアシスト役から解き放たれれば、クリテリウム・デュ・ドーフィネ総合優勝者のダニエル・マルティネス(コロンビア)とセルジオ・イギータ(コロンビア)もヤングライダー賞の上位に入ってくるだろう。ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)をアシストするゴデュとヴァランタン・マデュアス(フランス)もヤングライダー対象選手だ。

ドーフィネで攻防戦を繰り広げたダニエル・マルティネス(コロンビア、EFプロサイクリング)やシヴァコフ、ポガチャルドーフィネで攻防戦を繰り広げたダニエル・マルティネス(コロンビア、EFプロサイクリング)やシヴァコフ、ポガチャル photo:CorVos
歴代のマイヨブラン獲得者(同年の総合成績)
2019年 エガン・ベルナル(コロンビア) 総合1位
2018年 ピエール・ラトゥール(フランス) 総合13位
2017年 サイモン・イェーツ(イギリス) 総合7位
2016年 アダム・イェーツ(イギリス) 総合4位
2015年 ナイロ・キンタナ(コロンビア) 総合2位
2014年 ティボー・ピノ(フランス) 総合3位
2013年 ナイロ・キンタナ(コロンビア) 総合2位
2012年 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ) 総合5位
2011年 ピエール・ロラン(フランス) 総合10位
2010年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク) 総合1位
2009年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク) 総合2位
2008年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク) 総合12位
2007年 アルベルト・コンタドール(スペイン) 総合1位
2006年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア) 総合12位
2005年 ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ) 総合12位
2004年 ウラディミール・カルペツ(ロシア) 総合13位
2003年 デニス・メンショフ(ロシア) 総合11位
2002年 イヴァン・バッソ(イタリア) 総合11位
2001年 オスカル・セビリャ(スペイン) 総合7位
2000年 フランシスコ・マンセーボ(スペイン) 総合9位
1999年 ブノワ・サルモン(フランス) 総合16位
1998年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ) 総合2位
1997年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ) 総合1位
1996年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ) 総合2位
1995年 マルコ・パンターニ(イタリア) 総合13位
1994年 マルコ・パンターニ(イタリア) 総合3位
1993年 アントニオ・マルティン・ベラスコ(スペイン) 総合12位
1992年 エディ・ボウマンス(オランダ) 総合14位
1991年 アルバロ・メヒア(コロンビア) 総合19位
1990年 ジル・ドリオン(フランス) 総合15位
text:Kei Tsuji in Nice, France