トレックが誇るエアロロードのフラッグシップ「Madone SLR」がマイナーチェンジ。新型Émondaで投入されたOCLV 800カーボンやT47BBを採用しフレームをアップデートしている。ホイールやバーステムも最新モデルを装備することで、バイク全体で450gもの軽量化を実現した。



OCLV 800カーボン採用のフレームへ生まれ変わったトレックのMadone SLROCLV 800カーボン採用のフレームへ生まれ変わったトレックのMadone SLR (c)Trek
2015年のフルモデルチェンジによって純然たるエアロロードへと舵を切ったトレックのMadone(マドン)。2年前に登場した現行モデルは、ディスクブレーキ化を含むエアロダイナミクスの向上に加え、トレック独自のIsoSpeedに改良を加えることで快適性にも磨きをかけた究極のレースバイクとして誕生。現ロード世界王者のマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)もメインバイクとして愛用している1台だ。

エアロ形状のKVF(Kammtail Virtual Foil)が採用されたボリュームあるフレームが、風を切り裂く高い空力性能を発揮。2ピースタイプの専用コックピットも空気抵抗低減とクリーンなケーブルルーティングに寄与している。フレームから切り離したL字のシートマストによる調整式IsoSpeedも現行Madoneのアイコニックなテクノロジーであり、しなりを生み出すことで振動吸収性を向上させている。

最新のOCLV 800カーボンを新たに採用しフレーム単体で80gの軽量化を実現(画像はÉmonda)最新のOCLV 800カーボンを新たに採用しフレーム単体で80gの軽量化を実現(画像はÉmonda) (c)トレック・ジャパン
軽量オールラウンダーと比較すると、どうしても重量面がネックとなってしまうのがエアロロードの宿命だが、今回その弱点を克服すべく"軽量化"に焦点を当てたアップデートがMadone SLRに施された。まずトピックとなるのが、新型Émondaの開発によって誕生した「OCLV 800」カーボンを採用したこと。従来モデルに使用されてきたOCLV 700に比べ高い引張り強度を有しており、成型時にレイアップする素材量の削減に成功。形状はそのままにフレーム単体で80gの軽量化を実現した。

更にメンテナンス性の向上や規格の統一を目的とし、BB規格もDomaneやÉmondaと同じ「T47」へと変更された。ベアリングがシェル内側に配置されるねじ切りタイプのBBで、トレック伝統のBB90に近いワイドなシェル幅(85.5mm)を確保しつつ整備性を高めている。シェル内径も37mmから47mmへと拡張され、スラムのDUBスピンドルやローターなどの30mm径スピンドルともマッチするよう考えられている。

男女のチームカラーモデルともにカーボン地が透けて見える特別なペイントで軽量化を図っている男女のチームカラーモデルともにカーボン地が透けて見える特別なペイントで軽量化を図っている (c)Trek
加えて、男女のプロチームカラーモデルにはスモークカラーと呼ばれる色付きのクリアコートを採用することで、ペイント重量を50gほど軽量化。カーボン地が透けて見える特別なペイントであり、Project Oneでも選択することが可能だという。DomaneとÉmondaのチームカラーにも同じペイントが採用されているため、フレーム重量を気にするライダーは要チェックだろう。

また、Project Oneで選択可能になった新作のホイールとハンドルバー/ステムも軽量化に貢献している。ディスクブレーキ専用設計の新型Aeolus RSL 37 ホイールは、従来のXXX 4ホイールとほぼ同等の空力性能を持ちながらも100g以上軽い重量をマーク。トレック・セガフレードもこのAeolus RSL 37をほとんどのレースで使っていくというほど万能なホイールだ。

新型Aeolus RSL 37 ホイールを装備することでXXX 4ホイールと比較して100g以上軽くなる新型Aeolus RSL 37 ホイールを装備することでXXX 4ホイールと比較して100g以上軽くなる (c)トレック・ジャパン
ディスクブレーキ専用設計で軽量化を実現したAeolus RSL 37ホイールディスクブレーキ専用設計で軽量化を実現したAeolus RSL 37ホイール (c)トレック・ジャパン新型Émonda SLRで採用されたAeolus RSL Bar/Stemも選択可能だ新型Émonda SLRで採用されたAeolus RSL Bar/Stemも選択可能だ (c)トレック・ジャパン

コックピットパーツも新型Émonda SLRで採用された一体型のAeolus RSL Bar/Stemを選べるようになった。ステムとハンドルバーが一体成型されることで、標準搭載される2ピースタイプと比べハンドル周りだけで160gも軽量化されるという。

これらのアップデートが加わり、バイクトータルで見たときには450gもの軽量化を実現した新型Madone SLR。UCI規定である6.8kgギリギリに調整されたÉmondaよりは重いものの、スラムRed eTAP完成車で約7.40kg、シマノDURA-ACE DI2完成車で約7.35kgと、ハイエンドモデルに恥じない軽量バイクに仕上がっている。

トレック Madone SLR 7 Discトレック Madone SLR 7 Disc (c)トレック・ジャパン
新しいOCLV 800フレームに軽量塗装、新型ホイール&バーステムを搭載した仕様はProject Oneでオーダー可能。2021モデルからProject One全体で価格改定されており、どのグレードも5%前後プライスダウンしたことにも注目だ。

初回入荷限定の「Madone SLR 7 Disc」のみが在庫品完成車として販売されるが、こちらはAeolus Pro 5ホイールと従来のMadone SLRエアロハンドルバーが搭載された仕様となる。なお、セカンドグレードのMadone SLにはアップデートはなく、カラー変更のみに留まっている。
トレック Madone SLR プロジェクトワン参考価格
モデル 2020価格 2021価格 価格差
Madone SLR 9 1,235,000円 1,222,000円 13,000円
Madone SLR 9 eTap 1,281,000円 1,222,000円 59,000円
Madone SLR 8 961,000円 932,000円 29,000円
Madone SLR 7 939,000円 892,000円 47,000円
Madone SLR 7 eTap 1,013,000円 941,000円 72,000円
Madone SLR 6 853,000円 812,000円 41,000円
※パーツ選択によって価格の前後あり

トレック Madone SLR 7 Disc(在庫品完成車)
コンポーネント:シマノULTEGRA DI2
ホイール:ボントレガーAeolus Pro 5
コックピット:Madone SLRエアロハンドルバー
重量:8.08kg
カラー:Carbon Smoke/Crimson
サイズ:52、54
価格:836,000円(税抜)
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