エアロロードのパイオニア、サーヴェロのSシリーズ。特徴的なハンドルシステムを採用するS5の基本設計を踏襲しつつ、よりオーソドックスで扱いやすい構成としたセカンドグレード「S3 DISC」をインプレッション。



サーヴェロ S3 DISCサーヴェロ S3 DISC (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
エアロダイナミクスがロードレーサーにとって欠かせない要素となって久しい。軽さを身上とするクライミングバイクにすらエアロ化の波が押し寄せるほど、現代のレーシングバイクにとって空気抵抗の削減は既に必修科目と言える。

そんなエアロロードという概念を実戦に耐えうるレベルのバイクに持ち込んだのが、サーヴェロのソロイストシリーズだ。サーヴェロはトライアスロンバイクで培ったノウハウをロードバイクへ持ち込み、エアロダイナミクスがロードレースにおいてもアドバンテージとなることを証明した。

翼断面のダウンチューブは上部から見ると非常に薄い翼断面のダウンチューブは上部から見ると非常に薄い ミドルグレードながらケーブル類はフル内装されるミドルグレードながらケーブル類はフル内装される ボリューミーなフォークブレードはエアロ形状とされているボリューミーなフォークブレードはエアロ形状とされている


そんな現代エアロロードの祖ともいえるソロイストの直系となるのが"S"シリーズだ。数あるエアロバイクの中でも王道を往くNACAプロファイルのチュービングを採用してきたSシリーズは、優れたエアロダイナミクスを武器に多くの勝利を収めてきた。

その実力は並み居る競合ブランドからも認められており、多くの新モデルが世に出るたびにベンチマークとして比較対象に挙げられ続けるほど。つまり、越えるべき壁として常に高く在り続けてきたのが、サーヴェロのSシリーズともいえる。

シートクランプは臼式とされている。クリーンでエアロな造形だシートクランプは臼式とされている。クリーンでエアロな造形だ 上部が前方に広がる特徴的な形状のオリジナルエアロハンドルを採用上部が前方に広がる特徴的な形状のオリジナルエアロハンドルを採用
素早い着脱が可能なRATシステムを採用するスルーアクスル素早い着脱が可能なRATシステムを採用するスルーアクスル ダウンチューブとフォーククラウンは流れるように繋がっているダウンチューブとフォーククラウンは流れるように繋がっている


そんなSシリーズも2019モデルで大幅なモデルチェンジを果たしている。トップグレードのS5においては、二股に分かれたY字型の専用ステムを用いることでスムースなケーブル内装化と空気抵抗の削減を実現し、大いに話題をさらった。

そしてS5のモデルチェンジにあわせ、弟分となるS3も同様のアップデートを加えられている。最も大きな変更点となるのは、ハンドル回りのケーブルルーティングだろう。S5のような特殊なデザインではなく、一般的な形状の専用ステム/ハンドルを用いることで、トレンドとなるケーブルフル内装に対応。

溝付きのカーボンハンドルからクイルステムライクな専用ステムへとケーブルが導入され、フォークコラム上部に配置される大きく穴が空いた斜臼へと繋がることでケーブルフル内装を実現。剛性や強度面で不利な異形のフォークコラムとせず、フルインターナルのルーティングを実現している。

サーヴェロのSシリーズを特徴づける翼断面形状のダウンチューブサーヴェロのSシリーズを特徴づける翼断面形状のダウンチューブ オリジナルのBB規格、BBrightを採用オリジナルのBB規格、BBrightを採用


更に、ディスクブレーキに最適化されたフレーム&フォークデザインを採用することで、前作よりも更なる空気抵抗の削減を図っている。フォーククラウンを可能な限り薄型とすることでフロントホイールをダウンチューブへと接近させる設計だ。

ホイールによってかき回された空気の流れをダウンチューブによって整流し、ドラッグの発生を最小限に抑えるという。最大限の効果を発揮するためにダウンチューブ上部にはホイールに沿ったカットオフが設けられており、シビアにクリアランスが追求されていることが窺える。

シートステーは細身で快適性に優れるデザインシートステーは細身で快適性に優れるデザイン ボリュームあるエアロ形状のシートポスト。サドルの角度調整もしやすい仕様だボリュームあるエアロ形状のシートポスト。サドルの角度調整もしやすい仕様だ 後輪に沿って大胆にカットオフされたシートチューブ後輪に沿って大胆にカットオフされたシートチューブ


これらのアップデートにより、前作から更にエアロダイナミクスを向上させた新型「S3 DISC」。数値にして、前作からディスクブレーキモデルで13W、リムブレーキモデルで6.9Wものパワーセーブを達成しているとのことだ。

原点となったソロイストの面影を最も色濃く残すS3。スプリントでライバルを出し抜きたい、アタックを決めて逃げ続けたい。そんな速さへの渇望を抱えるライダーたちへ、サーヴェロが用意した解答の真価とは。



― インプレッション

「フレームとフォークが一体となったような感覚で、非常に乗りやすい」藤野智一(なるしまフレンド)

非常にレーシーなバイクですね。動きの機敏さと思うがままのハンドリング性能が相まって、ハイスピードなレースで使いたい乗り味に仕上がっています。バイク全体の剛性感のまとまりが良く、フレームとフォークが一体となったような感覚で、非常に乗りやすいですね。

エアロロードとして最も重要である空力性能に関しても、非の打ちどころがないですね。今日はかなり風が強かったのですが、向かい風でも他のバイクより楽ですし、横風区間でも風にあおられてバランスを崩すことはほぼありませんでした。高速域でのスピードの伸びも素晴らしく、サーヴェロのノウハウが生かされているのだと感じます。

「フレームとフォークが一体となったような感覚で、非常に乗りやすい」藤野智一(なるしまフレンド)「フレームとフォークが一体となったような感覚で、非常に乗りやすい」藤野智一(なるしまフレンド)
フレーム全体としては、以前よりも硬く感じますね。横に柔らかく、縦に硬いのがエアロロードの傾向ですが、このバイクは横方向へもかなり高い剛性がありますね。ダンシングでもレスポンスは良いですし、シッティングでも溜めることなく前へと進んでくれます。

平坦だけでなく、登りにおいてもそのフィーリングは変わりません。踏み込みと踏み込みの間の谷間となる部分が少なく、スムーズにペダリングをつなげていくことが出来るので、トルク型のペダリングの人にとっても、高回転型の人にとっても、非常にリズムがとり易くオールラウンドに使える一台だと思います。

もちろんレースにおいても大きな武器になると思います。優れたエアロ性能とハイレベルな剛性がありますので、パワーのあるスプリンターにとっては最高でしょう。私では踏み切ることが出来ないくらいのポテンシャルを秘めています。

とはいえ、初心者お断りというわけではないですね。しっかりした剛性を持つバイクというのは、例え脚力が無くとも脚を回しているだけで自転車が進んでくれるんです。なので、無理せずに自分のペースを守っていれば長時間のライドでも気持ちよく走り続けられますね。

快適性についても、もちろんエンデュランスバイクのような安楽さはありませんが、エアロロードとして見た場合は適度な範囲に収まっていると思います。ゴツゴツとした感触ではなく、しっかりと路面の状態を伝えてくるようなまとめ方ですね。もっと乗り心地を改善したいという事であれば、チューブレスタイヤなどに交換すると良いでしょう。

フレーム自体はかなりオールラウンドな性格ですので、合わせるホイールによって平坦での高速性能を伸ばすことも、よりヒルクライム性能を高めることもできると思います。とはいえ、あまりローハイトなモデルはルックス面でミスマッチだと思いますので、40mmハイトくらいのホイールがバランスよく使いやすいと思いますね。

「ホビーレーサーの求める領域にピッタリはまる剛性感」川原建太郎(ワイズロード東大和)

これだけの剛性感があるバイクはなかなか無いですね。フロント周辺、そしてBBの剛性が非常に高い。前乗りで落差をつけるようなセッティングで、最大限に体幹を活かしながら前へ前へと体重をかけながら高いトルクで踏んでいってもびくともしません。高速域はもちろん、向かい風区間を低い姿勢で駆け抜けないといけないシーンなどで大活躍するでしょうね。

特にフォークやヘッド、ハブ回りの剛性感が素晴らしい。自分のように大柄なライダーでも安心して下ることが出来るのは最高ですね。やはり、普通のバイクだと少しアンダー気味に感じることも多いのですが、このバイクは狙ったラインにビシッと乗せることが出来ます。ディスクブレーキ化して、更に良くなったモデルだと思いますね。

「ホビーレーサーの求める領域にピッタリはまる剛性感」川原建太郎(ワイズロード東大和)「ホビーレーサーの求める領域にピッタリはまる剛性感」川原建太郎(ワイズロード東大和)
登りでも予想以上に進んでくれます。平坦では高トルクで踏んでも気持ちいいのですが、登りではダンシングでケイデンスを下げてしまうよりも、シッティングで重心を真ん中にかけつつ、ペダルを真上から踏んでいくように回してあげると良いですね。もし、ヒルクライムレースで使うのであれば、サドルを前下がりにして登りで水平になるようにセッティングすると更に踏みやすくなるのではないでしょうか。

フレーム自体のエアロダイナミクスはもちろんのこと、前乗りのポジションに最適化することで、走っている状態で最も速くなるように調整されているのだと感じました。ジオメトリーもそうですし、ペダリングフィールや剛性感、ダウンチューブの形状など、どれをとっても空気抵抗を削減しつつ、トルクフルなライディングスタイルにフィットするよう設計されています。

ですので、深いポジションを取れる人、柔軟性のあるパワフルなライダーにぜひオススメしたいですね。高速巡航も得意ですし、加減速もお手の物ですから、ロードレースはもちろんのこと、ショートやオリンピックディスタンスのトライアスロンにも向いていると思います。加速が多いコースであればトライアスロンバイクよりも結果を残せるかもしれないですね。

より速く走りたい人、上のカテゴリーを目指している人にとっては頼もしい味方になってくれると思います。上にはS5という存在もありますが、ホビーレーサーにとってはS3で十分。レースの中で、僕たちが必要としている出力領域にジャストフィットする味付けが魅力的なバイクですね。

サーヴェロ S3 DISCサーヴェロ S3 DISC (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
サーヴェロ S3 DISC
カラー:Graphite/Black/Red、Fluoro/Black/White
サイズ:48、51、54、56
価格:
フレームセット 360,000円(税抜)
シマノR8020系ULTEGRA完成車 550,000円(税抜)
シマノR8070系ULTEGRA DI2完成車 770,000円(税抜)
スラムFORCE eTap AXS完成車 890,000円(税抜)



インプレッションライダーのプロフィール

藤野智一(なるしまフレンド)藤野智一(なるしまフレンド) 藤野智一(なるしまフレンド)

92年のバルセロナ五輪ロードレースでの21位を皮切りに、94/97年にツール・ド・おきなわ優勝、98/99年は2年連続で全日本選手権優勝など輝かしい戦歴を持つ。引退してからはチームブリヂストンアンカーで若手育成に取り組み同チームの監督を務めた。2012年より出身チームのなるしまフレンドに勤務し店長を務める。ブリヂストン時代にはフレームやタイヤの開発ライダーも務め、機材に対して非常に繊細な感覚を持つ。

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川原建太郎(ワイズロード東大和)川原建太郎(ワイズロード東大和) 川原建太郎(ワイズロード東大和)

ワイズロード東大和店の副店長であり、同社実業団チームのキャプテンも務める。JBCFのE1クラスで走っていた経験を持つ実力派スタッフで、速く走りたいというホビーレーサーへのアドバイスを得意とする。バイオレーサー1級の資格を持ち、ライダーのパフォーマンスを引き出すフィッティングに定評がある。東大和店はワイズロードの中でも関東最大級の店舗で、各ジャンルに精通したスタッフと豊富な品揃えが特徴だ。

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ウェア協力:カステリ

text:Naoki.Yasuoka
photo:Makoto.AYANO
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