ハイパフォーマンスなアンダーウエアを手掛けるゼロフィットと日直商会がコラボレーションし、ロングライドに特化したサイクリスト用ソックスを新開発。抗菌性、クッション性、サポート性というロングライドに求められる性能を持った、国内生産の高品質ソックスを紹介しよう。



ゼロフィットソックス FOR CYCLISTゼロフィットソックス FOR CYCLIST photo:Yuto Murata
ゴルフ用アパレルを中心に、スキーやホッケーなど様々なジャンルのスポーツで高い評価を得ているハイパフォーマンスウエアブランド、ゼロフィット。自転車競技でも、MTBダウンヒルの井出川直樹やBMXフラットランドの三沢慎太朗といった選手をサポートしている。

シームレスな経編構造を採用することで、自然で快適な着心地を実現した高機能なアンダーウェアをメインプロダクトとするゼロフィットが、デローザやタックスといったブランドを取り扱う輸入代理店の日直商会とコラボレートし開発したのが、今回紹介するサイクリング用ソックス「ZEROFIT SOCKS FOR CYCLIST」だ。

コンセプトとなったのは「ロングライド」。それぞれのサイクリストが自身の最長距離に挑む際に助けとなるようなソックスにしたいという思いをもって、ZEROFIT SOCKS FOR CYCLISTは開発されたという。開発にあたって強力な助けとなったのが、日直商会の社員でもある1,200kmブルベを完走するロングライドスペシャリスト。年間走行距離12,000kmを越えるロングライダーが2年に及ぶ開発に携わり、「クッション性」「サポート性」「抗菌性」という3つの要素を追求して作り上げられた一足となっている。

かかとには汗の吸収にも役立つパイル状のクッション生地を採用かかとには汗の吸収にも役立つパイル状のクッション生地を採用
ロングライド時の快適性に直結するのがクッション性だろう。歴戦のロングライダーの中には、高い剛性を持つカーボンソールを避け、あえてナイロンソールモデルを選ぶ人がいるほど、足への負担は長距離ライドの敵となる。そのストレスを和らげるため、全体的に厚みのある生地を採用すると同時に2種類のクッションを搭載している。

足の甲部分には、硬いアッパー素材によるストレスを軽減するためのアッパークッションが、つま先とかかとには吸汗性を向上させることでロングライドでの蒸れ感を防ぐパイルクッションが配置され、快適性の向上に貢献している。

土踏まず部にはウレタン素材も使用しておりアーチサポート機能を持たせている土踏まず部にはウレタン素材も使用しておりアーチサポート機能を持たせている
長距離ライドでの疲労を軽減するために役立つのがサポート機能だ。今作は3つのサポートエリアによってライド時の疲労を抑えてくれる。カフ部分には広いホールド部によって圧迫感を軽減したフィッティングサポート、土踏まず部にはウレタンを多く配置し強めにアーチを引き上げるアーチライザーサポート、親指の付け根には厚めの素材を用い衝撃を吸収する母指球エリアサポートがそれぞれ配置され、ロングライドの疲労を軽減してくれる。

ロングライドを走り切り、シューズとソックスを脱いだ際のニオイはだれしも気になるもの。その原因となるバクテリアの繁殖を抑えるために、高い抗菌防臭機能を誇る「ポリジン」加工が施されている。スウェーデン生まれのポリジンは、天然銀イオンを用いることで99%以上の制菌性能を誇っているという。更に、高い耐久性も持ち合わせており、日本染色検査協会によるテストでは100回の洗濯後も抗菌性は変わらないという結果を示している。

100回の洗濯後も抗菌作用が落ちないという100回の洗濯後も抗菌作用が落ちないという (c)zerofit
ロングライドの助けとなる機能が詰まったZEROFIT SOCKS FOR CYCLISTだが、機能面だけでなく品質面においても優れているのが特徴だ。100年以上の歴史を持つ兵庫の靴下職人の手作業によって、一足一足丁寧に編み上げられたソックスは、長期間にわたって使い続けることが出来るだろう。S(22-24cm)とM(25-27cm)の2サイズ展開で、カラーはブラックのみ。価格は2,000円(税抜)。取扱いは日直商会だ。



― 編集部インプレッション

今どきなトール丈のカフを採用。シンプルなデザインでどのシューズにも合わせやすい今どきなトール丈のカフを採用。シンプルなデザインでどのシューズにも合わせやすい
断続的に大きな衝撃がかかり続けるランニング向けのソックスに比べると、ペダリングという運動に求められる要素はそれほど多くは無いのだろうか。自転車用ソックスと言えば薄手でダイレクト感があればそれで十分、シンプルイズベスト、というような風潮があるように思える。

もちろん、その中でも機能性を追求したブランドはあるけれども、どちらかと言えばデザイン性を重視してソックスを選ぶ人が多いのではないだろうか。ロングカフが主流になって以降は、特にその傾向が強くなっているように感じる。

そういった意味で、このゼロフィットのサイクリスト用ソックスはトレンドの真逆にある一足ともいえる。シンプルなカフデザインや触った瞬間にわかるつま先と踵部の分厚さは、逆に新鮮なほど。だが、一度履く前に裏返してみると、その複雑なパターンに驚かされた。つま先、母指球周辺、土踏まず、踵の4つのエリアによってそれぞれ編み方や方向性の異なる生地を用いつつ、更に様々な機能を与えるためのパーツが追加されていることが見て取れる。

全体的に厚みのある生地を採用しておりクッション性を確保。4つのエリアで異なる編み方が面白い全体的に厚みのある生地を採用しておりクッション性を確保。4つのエリアで異なる編み方が面白い
さて、実際に足を入れてみると、サラリとした肌触りで夏場でも快適に履き続けられそうな印象。サポート感の強いアーチ部を中心に、ぴったりと足に密着しており、前後左右どちらの方向にもズレずらい。

実際にシューズを履いてみると、いつものソックスより靴の中が詰まっているように感じる。特につま先側と踵はシューズと足の間が埋められているような印象。だが、柔らかなパイル生地を使っているためか、圧迫感があるわけではなくちょうど良いホールド感を生み出してくれる。指の付け根部に設けられたハニカムパターンが効いているのか、分厚いつま先が蒸れやすいということもない。むしろ積極的に蒸気を排出してくれ、指股に汗がたまらず、5本指ソックスを履いているような感覚だ。

編み方を変えることで適材適所な通気性やサポート性を与えている。つま先のハニカムパターンは効率的に湿気を排出してくれる編み方を変えることで適材適所な通気性やサポート性を与えている。つま先のハニカムパターンは効率的に湿気を排出してくれる
靴とソックス、ソックスと足、どちらの間でも無駄な動きが発生しないため、ダイレクトなペダリングフィールを味わえる一方で、母指球や足の甲といったゾーンはすこし厚手に作られており、普段より快適なクッション性も感じられるのがこのソックスの持ち味だろう。最近多くみられる、薄いアッパーにBOAダイヤルを採用するシューズを使っている人にとっては、甲にダイヤルが当たる違和感を軽減する効果もあるだろう。

カフの締め付け感は強すぎず弱すぎず、非常にストレスフリー。上端の折り返し部の面積も広く取られており、柔らかな肌当たりでありながらライド中にズレ落ちてくることも無かった。長時間のライドでも快適に履き続けられるはずだ。

カフ部分の圧迫感は少なく長時間でも快適に履いていられるカフ部分の圧迫感は少なく長時間でも快適に履いていられる
ロングライド向けという位置付けのモデルだが、ソックスが足と靴の間で動くことのないダイレクトな踏み味は、レースユースでも武器になるはず。距離が長くなればなるほど、本来の売りである快適性も活きてくるだろう。もちろん、グランフォンドイベントやツーリングといった用途にはジャストフィットだ。

惜しむらくはカラー展開の少なさだろうか、ソックスをアクセントに使いたい人にとって、ブラックのみというのは物足りなく感じるだろう。とはいえ、一度足を通してみればこの履き心地から逃れられなくなるかもしれない。反響が大きければ、カラー展開も視野に入ってくるだろう。そのためにも、ぜひ試してもらいたいソックスだ。

優れたクッション性とサポート性を持ったロングライド向けのソックスだ優れたクッション性とサポート性を持ったロングライド向けのソックスだ
ゼロフィットソックス FOR CYCLIST
サイズ:S(22-24cm)、M(25-27cm)
素材:綿/アクリル/ポリエステル/ポリウレタン/ナイロン
カラー:ブラック
価格:2,000円(税抜)

impression:Naoki Yasuoka
photo:Yuto Murata

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