日本でも続々と挑戦者が現れている話題の「エベレスティング」。6月19日(月)には最強市民レーサー高岡亮寛(RoppongiExpress)が11'14"23で達成。しかしその前日の日曜に石井祥平(アーティファクトレーシングチーム)が高岡の記録を上回る11時間05分29秒をマークしていたことが判明した。



エベレストと同じ標高の8,848mを自転車で登るチャレンジ、「エベレスティング」。同じ区間を往復し続けて8848m以上の獲得標高を稼ぐシンプルな挑戦だ。その所要時間を競うサイクリストが世界じゅうで増えている。

雨のなかのエベレスティング挑戦となった高岡亮寛(RoppongiExpress)。記録は11'14雨のなかのエベレスティング挑戦となった高岡亮寛(RoppongiExpress)。記録は11'14"23
6月19日(月)、ツール・ド・おきなわ市民レースで6度のチャンピオンに輝く「最強ホビーレーサー」高岡亮寛(42歳・RoppongiExpress)が伊豆半島の真城峠(距離6km、標高差473m)を19回登るチャレンジをスタートさせた。Mt富士ヒルクライム2018覇者・田中裕士、ツール・ド・おきなわ2018市民210km覇者・紺野元汰も高岡と一緒に走り、ともにエベレスティング達成を目指す。

スタート時は小降りだった雨は徐々に激しさを増し、紺野、田中が体調を崩してリタイア。しかし高岡は走り続け、走行時間11時間01分00秒、スタートからの経過時間11時間14分23秒でエベレスティングを達成した。

石井祥平(アーティファクトレーシングチーム)は11時間05分29秒でエベレスティング達成石井祥平(アーティファクトレーシングチーム)は11時間05分29秒でエベレスティング達成
しかしその記録を上回っていたのが前日の日曜にエベレスティングに挑戦していた石井祥平(アーティファクトレーシングチーム)。1994年生まれの25歳、JBCFレースでは2018年のエリートツアーチャンピオンの石井が挑戦の場所に選んだのは神奈川と静岡県境にある足柄峠。1往復25分×26本を目標に、午前5時35分にスタート。

石井祥平(アーティファクトレーシングチーム)の愛車、トレックMADONE。前輪には慎重を期してアルミホイールを選択した石井祥平(アーティファクトレーシングチーム)の愛車、トレックMADONE。前輪には慎重を期してアルミホイールを選択した 石井はバイクにトレックMADONE(旧)のリムブレーキモデルをチョイス。最大ローギアは39×32T、フロントにはブレーキのマージンをとってアルミホイールをセットして走り、11時間05分29秒をマークした。

石井は次のようにコメントする。「レースもなく、何か挑戦しようと楽観的な思いで、話題のエベレスティングに挑戦しました。コースは距離を伸ばしたくないため、足柄峠中腹から頂上までの平均勾配10%のルートを使用し、約177kmでエベレスティングを達成するレイアウトを選びました。

最初は無心でペダルを回して、辛い時間かと思いましたが、いざペダルを回すと、過去のレースだったり、この峠で先輩と20分走したなー、などなど、やっぱり自転車って楽しいなと再確認する良いキッカケになった気がします。ひとまずエベレスティングを達成する事が出来て良かったです。あとから国内最速級のペースだったのを知って嬉しいのですが、内心はHell500に認定されるかヒヤヒヤしています」。

高岡は「石井君の件は前夜に聞きました。知っていたけど届かなかったので仕方ないです」とコメント。雨の降るなかのチャレンジが不利になったことは否めない。なお石井、高岡の記録は現在では暫定記録で、記録を公式サイトにアップロードしての認定まち状態。認定されれば"HALL of FAME"に記録が刻まれることになる。

なお現在の世界トップ記録はラクラン・モートン(アメリカ、EFプロサイクリング)が2度めの挑戦で記録した7時間29分57秒だ。

エベレスティングを達成した石井祥平のSTRAVAデータエベレスティングを達成した石井祥平のSTRAVAデータ

text:Makoto.AYANO