フィジークの新作ショートノーズサドル「ARGO」をテスト。深い前傾姿勢でのペダリングをサポートするレーサー向けのVENTOと、クッション性の高いフォームを採用した快適性重視のTEMPO、2つのモデルを乗り比べた使い心地の違いを解説していく。



フィジークのショートノーズサドル VENTO ARGO(手前)とTEMPO ARGO(奥)フィジークのショートノーズサドル VENTO ARGO(手前)とTEMPO ARGO(奥) photo:Yuto Murata
フィジーク初のロード用ショートノーズサドルとして開発された「ARGO(アルゴ)」シリーズ。ARIONE(アリオネ)、ANTARES(アンタレス)、ALIANTE(アリアンテ)という定番の3モデルを中核に据えながらも、より幅広いニーズを満たすため、トレンドを取り入れた第4の選択肢としてラインアップに追加された製品だ。

普段のライディングスタイルに合わせて最適なものを選べるよう、VENTO ARGOとTEMPO ARGOという2つのモデルをリリース。今回、その両方を試したのだが、フィジークが分類するようにレース志向でトレーニングをするような、ハードに頑張って漕ぐような走りをするならVENTO。イベント参加などでライドを楽しむような、比較的ゆったりしたペースで走るようならTEMPO、という明確なキャラクターの違いを感じることができた。

VENTO(右)はノーズが前下がり、TEMPO(左)はフラット形状に作られているVENTO(右)はノーズが前下がり、TEMPO(左)はフラット形状に作られている
VENTO ARGOサイドビューVENTO ARGOサイドビュー TEMPO ARGOサイドビューTEMPO ARGOサイドビュー

カーボンレール採用のトップモデルR1(上)、K:iumレール採用のセカンドモデルR3(下)カーボンレール採用のトップモデルR1(上)、K:iumレール採用のセカンドモデルR3(下)
まず、座ってすぐに体感できるのがパッド(フォーム)の硬さの違いだ。VENTOは今までのフィジークサドルと同じタイプ1のフォームを採用。指で押してみてもあまり沈み込まない比較的固めの質感で、腰を据えた時のペダリングにロスがない感覚が強かった。

パワー伝達性を重視した密度の高いフォームのため快適性という面では劣るが、30km/h以上で巡航するようなペースで漕いでいくとサドル荷重も小さくなり座り心地は至って良好だ。ただ、ドカッと腰を預けるように座ってしまうと、路面からの振動も大きく不快感が出てくるため、やはり設計意図に合わせた乗り方で最高の性能を発揮してくれると感じた。

ノーズ先端から75mmを表すラインも引かれているノーズ先端から75mmを表すラインも引かれている サイドエッジに屈曲性を持たせライダーの足の動きに追従する「Wingflex」デザインサイドエッジに屈曲性を持たせライダーの足の動きに追従する「Wingflex」デザイン

VENTO ARGO R1(140mm幅)実測重量182gVENTO ARGO R1(140mm幅)実測重量182g TEMPO ARGO R1(150mm幅)実測重量200gTEMPO ARGO R1(150mm幅)実測重量200g

反対にTEMPOはクッション性の高いタイプ2フォームを採用しており、どんなポジションで乗ってみても心地良い印象だ。VENTOと比べると路面からの振動をカットしてくれる感覚が強く、サドル荷重が大きくなるアップライトポジションでも快適に乗ることができる。適度に弾力のあるフォームのためペダリングがしにくい訳でもなく、そこはやはりレーシングサドルブランドだけある秀逸な作りだ。VENTOとTEMPOを触り比べただけだと「ちょっと硬さが違うな」ほどの印象だったが、いざ乗ってみるとその差は大きく、自身の乗り方に合わせた選択は必須である。

ノーズ形状の差も2つの大きな違い。VENTOは先端が前下がりにカーブしており、下ハンドルを握るような深い前傾が非常に取りやすくなっている。上半身を折り畳むようなエアロポジションでもノーズの圧迫感がなく、スムーズなペダリングに寄与してくれた。レースで集団の先頭を牽いたりアタックを決めて逃げ続けたりするような、長時間低い姿勢で踏み続けて速度をキープするシーンには最適な座り心地である。

短いノーズとワイドな座面がシッティングで腰を据えた乗り方にマッチするARGOシリーズ短いノーズとワイドな座面がシッティングで腰を据えた乗り方にマッチするARGOシリーズ
VENTOはパワー伝達性を重視した固めのタイプ1フォームを採用VENTOはパワー伝達性を重視した固めのタイプ1フォームを採用 TEMPOに採用されるタイプ2フォームはクッション性があり快適性を重視した作りだTEMPOに採用されるタイプ2フォームはクッション性があり快適性を重視した作りだ

前乗りポジションを実現するショートノーズデザイン、幅広な形状で安定感も抜群だ前乗りポジションを実現するショートノーズデザイン、幅広な形状で安定感も抜群だ
対してTEMPOはノーズ部分までフラットになった形状を採用。深く前傾すると股間にやや圧迫感があるため、上体を起こしたポジションの方がマッチするデザインだ。一方で、ノーズ部分でも体重を支えてくれている感覚があり、サドル全体でライダーの荷重を受け止めることで安定したペダリングをサポートしてくれる作りとなっている。

また、普段から穴あきサドルを愛用する筆者としては中央のホールデザインも好印象。サドルに股が押し付けられるような感覚がなく、長時間のライドでも血流が阻害されるようなこともなかった。大口の開口部を備えながらもベースがしなるような弱さはなく、ペダリングのしやすさは全く損なわれていない。

VENTO ARGOは深く前傾したエアロポジションでも快適なペダリングができるVENTO ARGOは深く前傾したエアロポジションでも快適なペダリングができる
比較的アップライトな姿勢でも長く快適に走れるTEMPO ARGO比較的アップライトな姿勢でも長く快適に走れるTEMPO ARGO
サドルを真横から見ると、座面の中央からテール部分にかけて上方向に傾斜しており、完全フラットではないことが分かる。ノーズ部分を若干上向きにセットすると中央が凹んだVの字カーブを描くため、自然と座る位置が決まるような感覚があり個人的には具合が良かった。もちろん、ノーズを水平にして前後移動しやすいようセッティングするのも有りだ。

基本的には広めの”面”で体を支える設計のため、ラウンド形状のサドルがフィットする人だと使いにくいと感じるかもしれない。しかし、ノーズ部分に座っても安定する全体的にワイドな作りは確実に前乗りポジションを楽にしてくれると実感できた。レールの素材別にR1/R3/R5という3つのグレードで展開されており、予算に応じて選べるラインアップを揃えている。

impression&photo:Yuto Murata
フィジーク VENTO ARGOラインアップ
モデル ARGO R1 ARGO R3 ARGO R5
サドル長 265mm 265mm 265mm
140/150mm 140/150mm 140/150mm
実測重量 182g(140mm) 224g(150mm) -
レール 10×7mm カーボンブレイテッド 7×7mm K:iumレール 7×7mm S-Alloyレール
シェル カーボン強化ナイロン カーボン強化ナイロン カーボン強化ナイロン
フォーム タイプ1 タイプ1 タイプ1
価格 22,200円(税抜) 15,800円(税抜) 11,600円(税抜)
フィジーク TEMPO ARGOラインアップ
モデル ARGO R1 ARGO R3 ARGO R5
サドル長 260mm 260mm 260mm
150/160mm 150/160mm 150/160mm
実測重量 200g(150mm) 242g(160mm) -
レール 10×7mm カーボンブレイテッド 7×7mm K:iumレール 7×7mm S-Alloyレール
シェル カーボン強化ナイロン カーボン強化ナイロン カーボン強化ナイロン
フォーム タイプ2 タイプ2 タイプ2
価格 21,600円(税抜) 15,200円(税抜) 10,800円(税抜)
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