ツアー・オブ・ジャパン組織委員会は公式サイトと報道機関向けプレスリリースで、今年の大会開催を中止することを発表した。新型コロナウィルスの感染拡大によるUCI(国際自転車競技連合)の決定や、欧州からの入国制限が始まることなど世界的な情勢を受けて中止の判断がなされた。



今年は伊豆ステージに代わって富士スピードウェイでのステージが予定されていた今年は伊豆ステージに代わって富士スピードウェイでのステージが予定されていた photo:Satoru Kato
今年のツアー・オブ・ジャパンは5月17日から24日の8日間で予定されていたが、今年に入ってから感染拡大した新型コロナウィルスの影響を受け、WHO(世界保健機関)や日本政府など関係機関の対応や国際的なスポーツイベントの動向を注視し、開催の可否が検討されていた。ツアー・オブ・ジャパン組織委員会は、無観客での開催も検討したが、『日本の地域を元気にする社会貢献型の国際スポーツイベント』としての開催実現が困難であると判断。出場選手、観戦者、関係者の健康と安全を最優先し、開催中止を決定したとしている。大会の中止は、2003年(SARS流行のため)、2011年(東日本大震災のため)に次ぎ3度目。

ツアー・オブ・ジャパン開催については、3月25日に東京都内で予定されていた記者発表会を中止し、先にUCIが開催制限期間としていた4月3日の状況を見て判断するとしていた。しかし東京オリンピックの延期が決まった翌日のタイミングで中止の発表となった。

16時からYouTubeで配信された大会中止会見には、大会組織委員会の田中栄作委員長と、大会ディレクターの栗村修氏が出演し、中止の経緯を説明した。

田中委員長は、「新型コロナウィルスの世界的流行を踏まえて中止としました。NTNはじめスポンサー各位、大会関係各位、ファンの皆様にお詫び申しあげます。来年の開催に向け、関係者一丸となって準備を進めたいと考えています」と、述べた。

続けて栗村ディレクターが開催中止の経緯を説明。「当初は4月中旬に開催の可否を判断する予定でしたが、2月末から3月上旬にかけてワールドツアーのレースが途中中止や開催そのものの中止・延期が相次ぎ、UCIから開催中止勧告が出されるなど状況が急変しました。UCIは4月3日までとしていた開催中止勧告を4月30日まで延期し、3月21日からはヨーロッパをふくむ38カ国からの日本への入国に2週間の待機が義務付けられる入国制限が始まりました。このことが決定的となり、24日夜に中止の決定をしました。

多くの観客が集まる大会が移動しながら開催されることがクラスターの発生原因になりかねないことも中止決定の要因に多くの観客が集まる大会が移動しながら開催されることがクラスターの発生原因になりかねないことも中止決定の要因に photo:Satoru Katoツアー・オブ・ジャパンは、不特定多数が集まるイベントであり、それが大阪から東京まで移動していくことはクラスターの発生原因になりかねません。しかし、観戦を制限することは、地域貢献と社会貢献という大会のフィロソフィーに反します。イベント開催のガイドラインが発表されていますが、それを達成することも難しいと判断しました。

オリンピックが来年に延期となり、開催時期によっては影響を受けることになるかもしれませんが、まずは現状の収束を願い、その後の疲弊した世の中に元気を与えられるような大会にしたいと考えています」と語った。

続けて公開された会見第2部動画では、入部正太朗が所属するNTTが出場予定だったことや、2021年ツアー・オブ・ジャパンが5月23日から30日の予定で、新たに相模原ステージが加わることが触れられている。

ツアー・オブ・ジャパン2020 大会中止会見



ツアー・オブ・ジャパン2020 大会中止会見 第2部(開催予定だった2020年大会について)




text:Satoru Kato
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