2019/12/27(金) - 08:57
いよいよ2020年に向けてのカウントダウン開始。あの勝利やあのアタック、あの落車...。2019年も素晴らしいレースと記憶に残るシーンの数々がありました。海外ロードレースのシーズンを4回に分けて振り返るプレーバック第1弾、初回は1月から3月までを振り返ります。
1月 世界のロードレースは南半球で開幕
メイン集団を牽引するCCCチーム。このTDUがお披露目だ photo:Kei Tsuji
2019年も海外ロードシーズンは南半球のオーストラリアで開幕。1月にしてシーズン開幕戦として定着したUCIワールドツアー初戦のサントス・ツアー・ダウンアンダーにはリッチー・ポート(オーストラリア)やペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)、カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)、そして新城幸也(バーレーン・メリダ)らが出場。トップスプリンターが揃う大会はサガンを下したユアンによるクリテリウムの勝利で幕を開けた。
サガンとエドモンソンを振り切ったカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) photo:Kei Tsuji
勝利したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が腕を振り回す photo:Kei Tsuji
第2ステージを制しCCCチームに1勝目をもたらしたパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム) photo:Kei Tsuji
スプリンターの共演となる序盤。第1ステージはヴィヴィアーニが勝ち、第2ステージはパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム)が新チームのCCCに1勝目をもらたす。丘のある難関第3ステージはサガン、「コークスクリュー」と呼ばれる激坂の第4ステージはダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)が制したが、第6ステージはユアンが「頭突き」で失格、20歳のジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ)が金星を飾った。総合争いの行方を決める最終ステージではポートが6年連続でウィランガヒル制覇。ステージ3位のダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)がサントス・ツアー・ダウンアンダー史上初の連覇を達成した。
プールスとインピーを振り切ったリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos
総合優勝を果たしたダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) photo:Kei Tsuji
2月
温かい気候の中東レースでトップライダーたちは身体に磨きをかけていく。ツアー・オブ・オマーンでは難易度の高い第2、第3ステージをアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)が制覇、2勝の実力を持って総合争いでも2年連続の制覇となった。
オマーンの白壁の町並みを抜ける photo:CorVos
山頂フィニッシュを制したアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) photo:CorVos
アラブ首長国連邦で開催のUAEツアーはチームTTでのユンボ・ヴィズマの圧勝で開幕。平均57.086km/hを叩き出した黄色いトレインはその力を誇示。ツール・ド・フランスでのその後の活躍もうなずける。スポンサー国の前で気を吐くUAEチームエミレーツはフェルナンド・ガビリア(コロンビア)で勝利。第3ステージはアルカンシェルを来たアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が山頂フィニッシュを制した。第4ステージでは勾配17%の激坂スプリントでカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が勝利。軽量なポケットロケットは上りスプリントの強さを発揮した。クイーンステージの第6ステージではプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)が標高1,458mのジュベルジャイスを制して勝利。総合優勝をものにした。
16分49秒のトップタイムで優勝したユンボ・ヴィズマ photo:RCS Sport
先頭でスプリントするフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)とエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:RCS Sport
ログリッチェをかわして勝利したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:RCS Sport
激坂スプリントを制したカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) photo:RCS Sport
ジュベルジャイス山頂フィニッシュを制したプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) photo:RCS Sport
3月
欧州に春の足音が聞こえる、クラシックシーズン突入の3月。フランドルクラシック開幕戦オンループ・ヘットニュースブラッドでは「ウルフパック」ことドゥクーニンク・クイックステップ旋風が吹き荒れる。
フランドルのまだ寒い春。無数の急坂と石畳を越えていくメイン集団 (c)CorVos
象徴的な教会の急坂「カペルミュール」でグレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム) を含む5人の勝負に絞られたが、ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)が牽制による膠着状態を利用してラスト3kmでのアタックに成功。キャリア初のフランドルクラシック勝利を達成した。
フランドルクラシック初優勝を決めたゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
オンループ翌日のクールネ~ブリュッセル~クールネはスプリンター向けクラシックだが、この日もドゥクーニンク・クイックステップが展開を支配することに。残り16kmからの独走に持ち込んだボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)が勝利を飾った。ウルフパックはその後の「ル・サミン」もフロリアン・セネシャル(フランス)で制し、セミクラシックの締めとなるストラーデビアンケではジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)がヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)との一騎打ちを制して勝利した。
16kmに及ぶ独走を成功させたボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
先着したフロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
ストラーデビアンケ フルサングとの一騎打ちを制したジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:RCS Sport
スペインの春告げレース「ルタデルソル」ことブエルタ・ア・アンダルシアは総合力が問われる5日間レース。このあたりからグランツールの総合を狙う選手たちが本格調整に入る。
最大22%の石畳フィニッシュが特異な第1ステージはティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)が2年連続勝利。ウェレンスは第3ステージの個人TTも制したが、山岳の厳しいクイーンステージの第4ステージはサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が独走勝利、ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)が総合首位に。最終ステージは第2ステージに続き登りスプリントを制したマッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)がヨーロッパチャンピオンジャージを着ての2勝目。総合優勝はヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)がものにし、アスタナチームに早くも11勝目をもたらした。
2年連続で石畳坂フィニッシュを制したティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) photo:CorVos
登りスプリントで2勝目を飾ったマッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット) photo:CorVos
独走勝利を飾ったサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) photo:CorVos
談笑しながら走るステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)とヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) photo:CorVos
総合優勝に輝いたヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) photo:CorVos
ポルトガル南部での5日間レース、ヴォルタ・アン・アルガルヴェでは話題のネオプロ、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が総合優勝を果たし、大器の片鱗を見せつけた。
第2ステージ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が頂上フィニッシュを制す (c)CorVos
A.S.O(アモリー・スポール・オルガニザシヨン)が主催する「ミニツール・ド・フランス」の異名を取るパリ〜ニースは、初日から強風によってディフェンディングチャンピオンのマルク・ソレル(スペイン、モビスター)を始めとする有力選手が多く脱落する幕開けとなった。スプリントステージではディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)とサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)がそれぞれ2勝を分け合う活躍を見せる。
パリ〜ニース第1ステージ チームスカイがペースアップするその後方では集団が細分化 photo:A.S.O.
総合争いはミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) からリーダージャージを受け継いだエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)が難関山岳の第7ステージで首位に立ち、7月のツール・ド・フランス制覇へ向けての重要な布石となる総合優勝を飾る。ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト)の活躍もあり、コロンビア旋風が吹き荒れた春のレースとなる。
ガルシアを振り切ったディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) photo:CorVos
集団スプリントを制したサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:A.S.O.
リーダージャージを手にしたエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) photo:CorVos
イタリアの「2つの海をつなぐレース」ことティレーノ〜アドリアティコは例年より山岳が厳しめの1週間レース。第2ステージの登りスプリントでジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)がライバルを蹴散らした。第4ステージでは2度落車したアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)が諦めずに劇的なステージ優勝。「ラ・タッパ・デイ・ムーリ(壁を巡るステージ)」と呼ばれた第5ステージではヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)が独走勝利。総合首位のアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がリードを拡大した。第6ステージでは大集団スプリントでアラフィリップが驚きの勝利。そして最終の個人TTでは4月にアワーレコードに挑戦予定のヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)が勝利し、その仕上がりぶりを披露した。そしてTTに強いプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)がAイェーツに0.31秒差で逆転総合優勝に輝いた。
登りスプリントを制したジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari
精鋭4名によるスプリントでアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)が勝利 photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari
集団スプリントを制したジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari
11分23秒のトップタイムで優勝したヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル) photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari
総合優勝を果たしたプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari
そしてシーズン最初のモニュメント(5大クラシック)レース、『ラ・プリマヴェーラ(春)』と呼ばれるミラノ〜サンレモはポッジオでアタックを仕掛けたジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) が13名に絞られた小集団でのゴールスプリントを制して優勝。ストラーデビアンケに続く連勝、そして自身初のモニュメント制覇を成し遂げた。
13名による精鋭スプリントで勝利したジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos
ベルギーのセミクラシック、パリ〜ルーベの前哨戦とも言える石畳レース GPドゥナンではシクロクロスレーサーとして名を馳せるマチュー・ファンデルポール(コレンドン・サーカス)が今季のロードレース2勝目を挙げ、その能力を遺憾なく発揮。ヘント〜ウェヴェルヘム。ドワーズドア・フラーンデレンを走り、シーズン前半戦の最大目標であるロンド・ファン・フラーンデレンを目指すと宣言し、一気に注目を集める存在となる。
独走でフィニッシュするマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス) (c)CorVos
text:Makoto.AYANO
1月 世界のロードレースは南半球で開幕

2019年も海外ロードシーズンは南半球のオーストラリアで開幕。1月にしてシーズン開幕戦として定着したUCIワールドツアー初戦のサントス・ツアー・ダウンアンダーにはリッチー・ポート(オーストラリア)やペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)、カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)、そして新城幸也(バーレーン・メリダ)らが出場。トップスプリンターが揃う大会はサガンを下したユアンによるクリテリウムの勝利で幕を開けた。



スプリンターの共演となる序盤。第1ステージはヴィヴィアーニが勝ち、第2ステージはパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム)が新チームのCCCに1勝目をもらたす。丘のある難関第3ステージはサガン、「コークスクリュー」と呼ばれる激坂の第4ステージはダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)が制したが、第6ステージはユアンが「頭突き」で失格、20歳のジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ)が金星を飾った。総合争いの行方を決める最終ステージではポートが6年連続でウィランガヒル制覇。ステージ3位のダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)がサントス・ツアー・ダウンアンダー史上初の連覇を達成した。


2月
温かい気候の中東レースでトップライダーたちは身体に磨きをかけていく。ツアー・オブ・オマーンでは難易度の高い第2、第3ステージをアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)が制覇、2勝の実力を持って総合争いでも2年連続の制覇となった。


アラブ首長国連邦で開催のUAEツアーはチームTTでのユンボ・ヴィズマの圧勝で開幕。平均57.086km/hを叩き出した黄色いトレインはその力を誇示。ツール・ド・フランスでのその後の活躍もうなずける。スポンサー国の前で気を吐くUAEチームエミレーツはフェルナンド・ガビリア(コロンビア)で勝利。第3ステージはアルカンシェルを来たアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が山頂フィニッシュを制した。第4ステージでは勾配17%の激坂スプリントでカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が勝利。軽量なポケットロケットは上りスプリントの強さを発揮した。クイーンステージの第6ステージではプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)が標高1,458mのジュベルジャイスを制して勝利。総合優勝をものにした。





3月
欧州に春の足音が聞こえる、クラシックシーズン突入の3月。フランドルクラシック開幕戦オンループ・ヘットニュースブラッドでは「ウルフパック」ことドゥクーニンク・クイックステップ旋風が吹き荒れる。

象徴的な教会の急坂「カペルミュール」でグレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム) を含む5人の勝負に絞られたが、ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)が牽制による膠着状態を利用してラスト3kmでのアタックに成功。キャリア初のフランドルクラシック勝利を達成した。

オンループ翌日のクールネ~ブリュッセル~クールネはスプリンター向けクラシックだが、この日もドゥクーニンク・クイックステップが展開を支配することに。残り16kmからの独走に持ち込んだボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)が勝利を飾った。ウルフパックはその後の「ル・サミン」もフロリアン・セネシャル(フランス)で制し、セミクラシックの締めとなるストラーデビアンケではジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)がヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)との一騎打ちを制して勝利した。



スペインの春告げレース「ルタデルソル」ことブエルタ・ア・アンダルシアは総合力が問われる5日間レース。このあたりからグランツールの総合を狙う選手たちが本格調整に入る。
最大22%の石畳フィニッシュが特異な第1ステージはティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)が2年連続勝利。ウェレンスは第3ステージの個人TTも制したが、山岳の厳しいクイーンステージの第4ステージはサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が独走勝利、ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)が総合首位に。最終ステージは第2ステージに続き登りスプリントを制したマッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)がヨーロッパチャンピオンジャージを着ての2勝目。総合優勝はヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)がものにし、アスタナチームに早くも11勝目をもたらした。





ポルトガル南部での5日間レース、ヴォルタ・アン・アルガルヴェでは話題のネオプロ、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が総合優勝を果たし、大器の片鱗を見せつけた。

A.S.O(アモリー・スポール・オルガニザシヨン)が主催する「ミニツール・ド・フランス」の異名を取るパリ〜ニースは、初日から強風によってディフェンディングチャンピオンのマルク・ソレル(スペイン、モビスター)を始めとする有力選手が多く脱落する幕開けとなった。スプリントステージではディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)とサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)がそれぞれ2勝を分け合う活躍を見せる。

総合争いはミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) からリーダージャージを受け継いだエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)が難関山岳の第7ステージで首位に立ち、7月のツール・ド・フランス制覇へ向けての重要な布石となる総合優勝を飾る。ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト)の活躍もあり、コロンビア旋風が吹き荒れた春のレースとなる。



イタリアの「2つの海をつなぐレース」ことティレーノ〜アドリアティコは例年より山岳が厳しめの1週間レース。第2ステージの登りスプリントでジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)がライバルを蹴散らした。第4ステージでは2度落車したアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)が諦めずに劇的なステージ優勝。「ラ・タッパ・デイ・ムーリ(壁を巡るステージ)」と呼ばれた第5ステージではヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)が独走勝利。総合首位のアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がリードを拡大した。第6ステージでは大集団スプリントでアラフィリップが驚きの勝利。そして最終の個人TTでは4月にアワーレコードに挑戦予定のヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)が勝利し、その仕上がりぶりを披露した。そしてTTに強いプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)がAイェーツに0.31秒差で逆転総合優勝に輝いた。





そしてシーズン最初のモニュメント(5大クラシック)レース、『ラ・プリマヴェーラ(春)』と呼ばれるミラノ〜サンレモはポッジオでアタックを仕掛けたジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) が13名に絞られた小集団でのゴールスプリントを制して優勝。ストラーデビアンケに続く連勝、そして自身初のモニュメント制覇を成し遂げた。

ベルギーのセミクラシック、パリ〜ルーベの前哨戦とも言える石畳レース GPドゥナンではシクロクロスレーサーとして名を馳せるマチュー・ファンデルポール(コレンドン・サーカス)が今季のロードレース2勝目を挙げ、その能力を遺憾なく発揮。ヘント〜ウェヴェルヘム。ドワーズドア・フラーンデレンを走り、シーズン前半戦の最大目標であるロンド・ファン・フラーンデレンを目指すと宣言し、一気に注目を集める存在となる。

text:Makoto.AYANO
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